人と違うアイデアのために何をしてるんだっけ?(後編)
2013/08/29
廣田:藤本さんは、(人とは違うアイデアを生み出すために)どんなことに気をつけていますか?
藤本:僕自身は夜型すぎて生活者としてはまともじゃないですが、異端者である自覚は忘れないようにしています(笑)。まあ「普通」ということ自体がひとつの虚構だと思うので、世の中と自分で共有できる部分、接点をちゃんと見極めるということなんですかね。自分の実感にないことをコピーで書いても絶対伝わらないと思うし。
あとは、自分が見て「しっくりくる感じ」にはしないように気をつけています。「いいね」とか「うまいね」とかっていう感じ、危険なんですよ。まとまってて安定感はあるんだけど、それって先人たちによって確立されたスタイルだからであって、すでにどこかで見たことのあるもの。どれだけよくできていても、既視感はすべてを何割引きかにしてしまう。
廣田:「いいね!」って「一応、読みましたよ」って意味で押しちゃってる時もありますからね(笑)。自分の投稿がたくさん「いいね!」されたからって喜んでいてはいけないかもしれない…。
藤本:ああ、確かにそういうものかもしれないですね。
ちなみに広告の反応をソーシャルメディアで見ていると、違和感とか異物感みたいなものがあった方が反応がよかったりします。前はずうっと「これ、なんか気持ち悪いな…」というのを避けてきれいにまとまってる表現を選んでいました。でも収まりがよすぎちゃうと、ダメなんです。「ヘンだな」「気持ち悪いな」っていうものって、単純に目立つし。それに、みんな見たことのないものを見たいんです。見たことないから人とシェアしたくもなるわけで。
八木:それ、すごく参考になります! わたしも、ついつい安定しているレイアウトを選びがちですが、先輩にもっと感覚的にデザインしてみたらってよく言われます。デザインで「ヘンだな」を狙ってみるのもおもしろいですね(笑)。
廣田: 藤本さんが「普通」ということ自体が虚構とおっしゃいましたが、アイデアの出し方もそれぞれ特徴的で、実際に出てくるアイデアもとても個性的ですね。それでいて、とても共感できる。共感って、平均とか普通から生まれるのではなくて、どこまでも個別的で、ちょっとヘンなところから生まれるのかもしれませんね。