若者が分かれば未来が見える ~「若者離れ」発売記念連載~No.3
【若者離れ診断】あなたの“若者離れ度”は!?
2016/08/24
電通若者研究部(電通ワカモン)の新著「若者離れ」と連動した連載コラム。
第1回「今起こっている“大人の若者離れ”って?」、第2回「知らない大人は損してる!? 若者の「質の影響力」って?」のコラムの中では、若者たちが持っている可能性や新しい価値観について触れてきました。
今回は、“若者離れチェックリスト”を使って、ついつい大人がやってしまいがちな若者への行動についてお話しします!
あなたの“若者離れ度”を今すぐチェック!
ワカモンは書籍「若者離れ」の中で、“若者離れ度チェックリスト”というものを作成しました。
まずはあなたの“若者離れ度”をチェックしてみましょう。
このチェックリストはその名の通り、若者離れ度=若者の価値観とどれだけズレているかを測るもの。リストの項目にもあるように、あなたも若者に「いいからやれ!」「これだから今の若いやつは…」と言っていませんか?
実はこのリスト、大人が若者にやってしまいがちな行動の例ともいえます。どの辺がNGなのか? 特にやりがちな二つの行動について具体的に説明したいと思います。
NG①
部下や後輩に「これだからイマドキの若者は~」と説教モード
このセリフ、思わず言ってしまっている人も多いと思います。この発言のNGなポイントは、若者を“集団”として扱う「レッテル貼り」になっているところ。「イマドキの若者は~」と話し始めてしまうことで、「ああ、この人は私と向き合ってくれていないな…」と受け取られ、若者が心を閉じてしまいます。目の前にいる若者個人、つまり「I」に対して向き合っていないのです。
前回お伝えしたように、若者にとって「I」を肯定できるかどうかは重要なポイントです。「I=自分らしさの肯定感」の有無によって、ポジティブな力にもネガティブな弱さにもなり得ます。だからこそ、大人が若者と関わるとき、その「I」とどのように向き合うか、どう生かしてあげられるかといったことがより強く求められるのです。
目の前にいる人と向き合う、という考え方自体は、若者とのコミュニケーションだけにとどまらない、当たり前の考え方ともいえますが、若者とのコミュニケーションの場面では案外ないがしろにされがちです。改めて自分の若者への向き合い方を振り返り、“集団”ではなく“個”に向き合うことこそ、ワカモンが考える理想的な大人のスタンスです。
NG②
部下や後輩への指示は「理由はいいから、とにかくやれ!」
若い社員などに対してこう言っている上司や先輩も少なくないと思います。
しかしこのセリフも言ってはいけないNGワード。この言葉を使う背景には、おそらく自分自身がこのようなスタンスで育てられ、“実際に成長した!”と感じていたり、“いちいち丁寧に説明するのが面倒くさい”“言葉にして説明するのが難しい指示…”など、そこには実体験に基づく理由があると思います。
時には「いいからやれ!」が意味をなす場面もあることは事実です。
ただ、ここで大事なことは、今の若者たちはデジタルネィティブ、SNSネイティブと呼ばれるような、情報洪水ともいえる時代に生まれた世代だということ。前回も触れましたが、「それ以前の世代では思いつかなかったような独創的なアイデアで、事業や商品を想像していく力」つまり、「質の影響力」が備わってる世代、ともいえます。
年長者の方がどんな時も正しく、偉い。長く働いている人の方が正しい。といった、これまで当たり前のように認識されていたさまざまな「前提」に疑問を投げかけ、異なるアプローチや解釈を行うことができるのが若者なのです。
大人に求められる理想的なスタンスは、
面倒くさがらずに向き合うこと
もちろん、これまでの前提を否定する必要もありません。しかし、彼らと向き合うときには、「Why」(なぜ、どうして、何のために)の共有が、彼らを納得させる重要なポイントになります。
つまり、“Whyなき命令”ではなく“Whyの共有”を行うことが非常に重要であり、大人に求められる理想的なスタンスであるとワカモンは考えます。いちいち理由を説明することは面倒かもしれませんが、最初に理由や意義の共有をすることで、後のコミュニケーションの円滑さが格段に変わってくるはずです。
ワカモンでは、若者に無理に共感するのではなく、かといって頭ごなしに否定もしない大人の理想的なこのスタンスを、「ズレ愛スタンス」=若者とのズレを愛するスタンスと定義しています。
今回、電通ワカモンが考える大人の理想的なスタンスの一部を、「若者離れチェックリスト」を用いて少しだけご紹介しましたが、次回はさらに“ズレ愛のある大人のスタンス”を掘り下げて、なぜ“ズレ愛”を持つことが大事なのか?についてご説明したいと思います。