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ArounD 30 ○○をもっと面白くするアイデアNo.4

「JEWELRY」をおもしろく

2016/10/05

電通の若手アートディレクターが考える「○○をもっと面白くするアイデア」をご紹介。今回は、高橋優さんによる「JEWELRYをおもしろくするアイデア」です。

U Takahashi 「JEWELRYをおもしろく」

JEWELRYをテーマにコミュニケートを。

──なぜ「JEWELRYをおもしろくする」というテーマにしたのですか?

高橋:この作品は、2年ぐらい前に電通香港にいたときのものです。

初めのころは、一人も知っている人がいない場所に独りで、はてどうやって周りの人たちとコミュニケーションしていこうかと思いまして。日に日に、相手と会話をすることで知っていくことはできましたが、話をしていると、実は相手が今日お誕生日だったり、彼女ができたというハッピーなトピックを持っていたり、元気そうに見えて実は熱を出していてつらかったりとか。

人間には誰しも目には見えにくい、ココロのサインがあると思います。
そんな「実は⚪︎⚪︎なのよ」的なことをプチトピックとして話すきっかけをつくれたらいいなと思いました。

365日、同じ気持ちな日なんてないわけで、ラッキーな日やブルーな日、自分にとって特別な思いのある日もあると思います。ジュエリーみたいに身に着けるものって、セカンドスキンとして自己を表現するアイデンティティーにもつながるので、それをテーマに、人とコミュニケートできるものがつくれたらと。

あとは、ジュエリーを一つしか香港に持っていかなかったので、一つのハードで毎日違うデザインになったらいいなと思ったのも、きっかけのひとつです。

ココロのサインに合わせてデザインが変えられるように。

──この作品を考えるときに特に意識したことはありますか?

高橋:会話のきっかけになったらいいなと思ったので、それにつながるような絵文字記号のモチーフを取り入れて、一つ一つ違って無限にあるイメージです。その日によって選べるように。単純に気分を表す色やパターンのものからハートマーク、泣き顔、名前とかFightなどのメッセージを入れられたり、なぜかテントウムシもあります。あとは、サンタクロースや誕生日を祝うろうそくなども。これを見て、泣きマークの日はどうしたの?とか言って会話をするきっかけになったらいいな、というネクラ的発想ですね。

まずは1個のもので365日、ココロのサインに合わせてデザインを変えていく、みたいなことがやりたいと思いました。

当時、デジタルリングは世界でも出てきていたものの、なかなか細かな図柄ができるものがなかったので、デジタルガジェットに強いクリエーターに有機ELのディスプレーならできるだとか単価はいくらなのかなど、いろいろ聞きまくっていました。ここ数年で一気にデジタルジュエリーは増えましたね。

科学は、深い。

──今、気になっているモノやコト、教えてください。

高橋:最近というか大学のころからですが、科学はやはり興味があって、人間の感覚機能である嗅覚や聴覚、神経回路とか、女性と男性でのあらがえない違いとかを知るのは面白いなと思います。人間は本当に良くできたロボットだなと、感心しちゃいます。書籍でいうと、立花隆さん・利根川進さんの『精神と物質』とか。

デザイン•アート系だと「スペキュレーティブ・デザイン」という未来を思考するための問いのデザインをしていくテーマの本や、大学時代から好きなシュールレアリズムの本を読み返したりしています。

そうすると、いろいろな点がつながっていく瞬間があって、時代は違うけれど同じようなことを言っていたり、発見ができて面白いです。もれなく、これらの要素を混ぜこぜにした救いようのない悪夢を見たりもしてうなされます(笑)。

あとは香港から帰ってきて、日本って本当に住みやすく、人が優しく、きめ細やかだなとしみじみ痛感しました。もっと自分の国のことを知りたいので、秋に島巡りをしたいと思っています。