loading...

ArounD 30 ○○をもっと面白くするアイデアNo.15

「地球儀」をおもしろく

2017/03/09

電通の若手アートディレクターが考える「○○をもっと面白くするアイデア」をご紹介。今回は、くぼたえみさんによる「地球儀」です。

地球儀を面白く

境界線を外してみたい

──なぜ「地球儀」を面白くしたんですか?

くぼた:この地球儀は、気候で素材を分けています。ツンドラ気候だったら冷たいアクリル、砂漠はザラザラ、熱帯雨林気候はフワフワ…など、気候のイメージに合った素材で作ることによって、地球自体を感じられるものを作りたいと思いました。普通の地球儀って国境で色分けされてるじゃないですか。でも国境って人間が作ったもので、自然界にはない線だから、それを外して純粋に「地球という球体」を考えたとき、どういう感覚になるか確かめたかったんです。

──それは、どういう感覚なんでしょうか?

くぼた:普段私たちは、「日本」とか「東京」とか、「会社」「学校」「家庭」とか、いろんな枠の中で生活しています。そういう既存の境界線を外して、より直感的なものに変換することで、シームレスな空間のつながりを感じられたらいいなって。この場所も、地球の裏側も、どこでも、「なんだ、つながってるじゃん」って思えたら、きっといろいろなことが変わると思うんです。

──ものすごく深いですね…。

くぼた:はい(笑)。でもこの作品は広告じゃないから、そこまで伝わらなくていいと思っています。この地球儀を見て「美しいな」と思ってもらえたら、それだけでうれしい。もちろん、この文章を読んでくれて、いろいろ考えてくれたら幸せです。

いつも、作るからには見た人に、なにがしかお土産を持って帰ってもらいたいと思っていて。美しいものやかわいいものって、一瞬見ただけでも幸せになれますよね。広告でも、インフォメーションだけじゃなくて「わぁ」ってアガる気持ちを持って帰ってほしい。そんな思いで作っています。

地球儀

作り手のニヤニヤが伝わってくるものが好き

──今気になっているモノ・コトを教えてください。

くぼた:何か一つのジャンルを深くっていうより、何でも見て、何でもクビを突っ込むタイプなんです。ただ、映画でも音楽でもお洋服でも建築でもなんでも、作った人の愛情がはみ出てるようなものが好きです。作り手のニヤニヤが伝わってくるもの(笑)。それを想像しながら見たり聴いたりしています。

──作り込む感じって、「地球儀」のコンセプトにも通じますね。

くぼた:例えば映画を見るときは、映画美術を細かく見てしまう。主人公の部屋に置いてあるものから、どこまで掘り下げて人物設計しているか伝わってくるじゃないですか。きっとこの主人公はこういう幼少期を過ごして、今こういう心境にいるから、本棚にこういう本を並べているんだな、とか。そういう作り込みのある作品は、見ていて幸せな気持ちになりますね。