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グリーンリボンキャンペーン事務局 「Second Life Toys」

コミュニケーション・ショーケース №3

  • Communication Showcase  

2017/01/10

グリーンリボンキャンペーン事務局
「Second Life Toys」

 

おもちゃの「移植手術」?
疑似体験で、気付き、きっかけをもたらすキャンペーンとは

 

日本には、臓器移植手術を待つ人が約1万4000人もいます。しかし、実際に移植 を受けられるのは年間300人程度。わずか2%しか移植手術を受けられていないという現状があります。これは言うまでもな く「ドナー」不足が一番の原因です。特に小児移植に関しては、ドナー不足が顕著で、 2015年の小児臓器提供件数はわずか6例にとどまりました。

課題についての認知は広がりつつあります。一方で、実際に臓器提供の意思表示をしている人は、非常に少ないのが現状です。移植医療を身近な物事として考えるきっかけがない。難しい問題だから考えたくない。そんな状況を変えるべく始めたのが、「Second Life Toys(セカンド・ライフ・トイズ)」キャンペーンでした。

この困難な現状を解決するために、多く の人が移植について考える機会を増やしたい。そこで、子どもたちやその親にとって 身近なぬいぐるみをモチーフとしたキャンペーンを実施しようと考えたのです。

キャンペーンでは、今はもう遊ばなくなってしまったおもちゃを「ドナー」として募りました。併せて、傷ついたおもちゃの修復も募集しました。おもちゃに移植手術を施すことで、再び活力を吹き込むのです。

サルの腕をもらったクマ。ドラゴンの翼をもらったクジラ。カエルの手をもらったニワトリ...。傷ついた部分を他のぬいぐるみで修復することで、ぬいぐるみたちは元気に子どもたちの元に帰っていきます。

ドナーとなったぬいぐるみの持ち主へは、 修復したぬいぐるみの持ち主である子どもや、そのご両親から感謝の手紙が贈られます。つまり、ドナーの持ち主も、大切にしていたぬいぐるみが誰かの大切な存在として生き続けること、命をつないでいくことの意義深さを実感することができるのです。今回のキャンペーンでは、移植手術というシリアスなテーマを、身近なぬいぐるみに置き換えました。

その結果、小さな子どもとその両親が、抵抗感なく小児移植に対する関心を持つきっかけをつくることができたのです。おもちゃを通じた「移植医療の 疑似体験」を通して、多くの親子が、移植によって助かる命の存在と、その命を助けるためにはドナーが必要であることに気付き、考え、行動に移し始めました。

Second Life Toysの活動は、全世界で1100以上のメディアに取り上げられました。また多くのタレント、ミュージシャン、アスリートもキャペーンへの支持を表明。移植医療を考えるきっかけとなるこの アクションへの共感の輪は、日本だけでなく世界中に確実に広がっています。

移植手術を受けて、新たな人生を手に入れたおもちゃたち
移植手術を受けて、新たな人生を手に入れたおもちゃたち

クリエーターの視点

電通CDC 木田東吾
MS局 鈴木瑛
PD局 河瀬太樹
4CRP局 礒部建多

自主プレから、グランドクリオに至るまで 。

 

広告の力で、社会に、世の中に良いことができないかな?と考えたのが発端です。そして、ブレストを繰り返すうちに行き着いたのが、臓器移植というテーマでした。例えば、ドナーになるということ。理性では理解できても、感情的に踏み切れない。というか、多くの人は決断する準備ができていないんですね。そんな状況を少しでも変えられれば、と思いました。

テーマが決まってからは、企画を立て、クライアントになってくれそうな企業や団体を探し、提案を重ねました。完全な自主プレです。で、結果的にグリーンリボンキャンペーン事務局が関心を寄せてくれて、このキャンペーンにつながりました。

かなりデリケートな課題なので、ビジュアル面のコントロールは気を使ったところですね。パッと見、違和感がある方がインパクトは強い。でも、それでいいのか? 子どものいるお父さんが見たときに、どう思うだろう。かといって、かわいくなじみ過ぎても、臓器移植という伝えたいことが十分に伝わらない。そんな問いを繰り返し、またクライアントの意見を聞きながら、表現を詰めていきました。

ローンチしてから、まず話題になったのは海外です。まあ、海外のニュースサイトなどにメールをしたりして、地道な売り込みを続けたということもありますけど。日本が、臓器移植に関しては、意外と遅れていること。また、ぬいぐるみというモノに命を見いだして表現したこと。そんなあたりも、興味を持ってもらえた点かなと思います。そこから日本に還流してきた感じです。テーマ自体は普遍性を持っていたから、受け入れられたのだと思います。

おかげさまで、今年のクリオヘルス最優秀賞のグランドクリオをはじめ多くの賞を頂きました。さらに、病院から展示依頼が来たり、アパレル関係とも展開したりと、キャンペーンは広がりを見せています。

来年は臓器移植法施行20周年でもあるので、単なるコミュニケーションにとどまらず、実際の結果に結び付くよう活動をしていきたいですね。