コンテンツマーケティングの現場からNo.34
編集力×マーケティング力
2017/02/20
コンテンツマーケティングを進めていくには、どんな力が必要なのでしょう?
これは、国内外で出版されている各種指南書においてもしばしば語られていますが、執筆者の問題意識や課題感によって主張はさまざまです。またコンテンツマーケティングに関わる皆さまに、それぞれの意見があるテーマだと思います。また、私たちのようなサービス提供サイドに対して、クライアントサイドが何を期待するかによっても変わってきます。
コアとなるのは「編集力」と「マーケティング力」
そんな中でも、一つ明らかなのは「いまの社会人一人が持ち合わせているスキルだけでは足りない」ということ。少なくともこれまでの日本においては、コンテンツマーケティングで必要とされるようなハイブリッド人材を育てる産業がなかったので、ぴったり合うスキルの持ち主に出会うことは非常に難しいと思われます(もちろん、全てを兼ね備えたスーパーな人材がどこかにいる可能性はありますが)。
実際、コンテンツマーケティングを進めていくためには、デジタルの基本知識があるのはもちろんのこと、例えば、企画力、編集力、分析力、戦略立案の力、チームマネジメントやプロジェクト管理の力、さらにはマーケティングのことも分かっていなければならないし、事業のことも分かっていた方がいい。必要なスキルを挙げているときりがありません。
ではこの中で、最もコアとなる力はどれか。これまで試行錯誤してきた経験でいうと、「編集力」と「マーケティング力」ではないかと思います。なぜなら、この二つはすぐに身に付くものではないからです。
コンテンツマーケティングに必要な編集力とは具体的に以下の項目があります。
①情報をシンプルにすること
②情報と情報をつなぎ、そこから新しく独創的な価値や視点を生み出せること
③一貫したメッセージを設計できること
④企画力
⑤企画を実現し、質の高いアウトプットに仕立てる力
①や②は、コンテンツの企画、編集などにおいてしばしば言われる基本作業です。
③は最も難しいところかもしれません。広告では「コンセプト」といわれたり「ブランドメッセージ」といわれたり、コンテンツマーケティングの世界では「ミッションステートメント」と言ったりする部分に関わること。これはいざつくってみても、どれが正しくてどれが上手く機能するのか、経験がないと判別しにくいですし、セオリー通りにつくってみたものの実際は形骸化しているケースもよくあります。また、そもそも「コンセプトをつくる」という習慣のない人間がチームの中心にいる場合、無意識のうちに抜け落ちてしまうこともしばしば起こります。
どのようにマーケティング課題の解決に貢献できるか
コンテンツマーケティングは、つい企画力、コンテンツ力に気をとられがちですが(もちろんそこも大事なのですが)、実際に大事になってくるのは「コンテンツを手段として、どのようにマーケティング課題の解決に貢献できるか」という部分です。このとき、初歩レベルでもマーケティングの基礎知識が必須になります。
実際にコンテンツマーケティングの作業に携わってみると、例えば以下の作業がコンテンツの企画と同じくらい必要になってきます。
①提供価値やマーケティングゴールの整理
②セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング
③メッセージやタイミングの整理
④マーケティングコミュニケーションの仮説とそれを検証する方法(計測方法)
⑤戦略のPDCA、コンテンツのPDCA、両者の設計と連携のプランニングと実施
このうち①②は広告キャンペーンのプランニングに慣れていればさほど難しいことではありませんが、③は広告と似て非なる部分があるので要注意です。④⑤は「運用が前提になっている」つまり「ずっと続けていくことが前提になっている」作業の経験がないと、意外と忘れ去られがちです。
その結果、「ターゲットを決めてコンテンツを発信してみた、数字はまあ良かったと判断した…それで?次どうすればいいの?」と、長い道のりを経たところで先に進めなくなってしまい、せっかく始めたコンテンツマーケティングが尻すぼみに終わってしまうのです。あるいは、前回のPDCAサイクルからの学びを生かすことなく進めていき、気が付くとあまり得るものがない、お金ばかり掛かるといった状況に陥ったりします。
コンテンツマーケティングを推進していくためには、いろいろな力や知識が必要です。また、自分が得意だと思っていた分野も、デジタルにより次々進化しています。
キャッチアップ、アップデートは大変な作業ですが、それだけどんどん成長していける領域でもあります。