2017年デジタルの10大潮流No.9
注目されるプロキシミティー
2017/02/20
前回に引き続き、電通イージス・ネットワークのカラの「TOP 10 TRENDS」から2017年の大潮流を紹介します。
注目されるプロキシミティー
プロキシミティーは、マーケティングにおいて非常に重要になってきている。直訳すると近接性。点としての位置情報だけではなく、移動中を含むユーザーをターゲットにしてアプローチできるようになったからだ。
Bluetooth Beaconは、位置情報マーケティングの大きな希望だったが、関連技術がBluetoothではなくWi-Fiを利用するようになりその座を奪われる可能性が出てきた。Wi-Fiログイン時の情報でターゲティング広告を表示できるためだ。
アウト・オブ・ホーム・マーケティングも急速に変化している。例えば、住宅ローン利用客の拡大を狙ったスペイン・サンタンデール銀行の英国でのキャンペーンでは、各列車の出発時刻に合わせて、到着駅近辺の不動産情報などを出発時刻表に掲示、位置情報に基づいた広告を通勤客に発信した。
Snapchatは多くのキャンペーンで位置情報を利用している。例えば、クリスピー・クリーム・ドーナツは、米国における「Talk Like a Pirate Day」(海賊みたいになっておしゃべりする日)のプロモーションとして、店舗内でSnapchatを使ったときだけ出てくる限定レンズ(顔や動画を面白く加工する機能)を提供し、来店を促した。
アイスクリームブランドのCornettoはNetflixなどと組んで、プロキシミティーを利用した、カップルのための「コミットメントリング」を開発した。近距離無線通信NFCのテクノロジーを使っており、このペアリングをした二人が一緒に部屋にいるときだけNetflixなどのストリーミングサービスを視聴することができる。これで一緒に見るのを楽しみにしていたシリーズドラマを先に一人だけで見られてしまうことがなくなるというもの。
位置情報によるトラッキングの可能性を追求するため、さまざまな取り組みが行われている。
• GoogleとFacebookは、近隣エリアにいる人を実店舗に集客する上で、広告がどの程度有効であるかを追跡調査している。Snapchatも同様の分析に取り組んでいる。
• プロキシミティーは、将来のターゲットとなり得るオーディエンス(例えば、先月映画館に行った人、フェスティバルに行く人など)を抽出するためにも利用されている。
プロキシミティーとは、デジタルとフィジカルの橋渡しのようなものだ。
「位置情報」は、「時間」や「オーディエンス」といった他の要因と一体で考える必要がある。金曜日の夜8時には絶好のロケーションが、日曜日の朝11時には最悪の場所かもしれないのだ。