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AIコピーライター、AICOのお仕事

AIが巻きおこすセレンディピティー №2

  • 狩野 芳伸
  • 福田 宏幸
  • 堤 藤成

2017/05/25

AIコピーライター、AICOのお仕事

前回に続き、プロジェクトメンバーの座談会をお届けします。今回はAIがつくり出すコピーの面白さについて話しました。AIコピーライター AICO福田:前回どこまで話しましたっけ?

堤: 2015年秋に人工知能コピーライタープロジェクトがスタートして、勉強会をしたり、試行錯誤する中で新聞広告クリエーティブコンテストでのファイナリストなどにつながったりした、という話でしたよね。(※前編参照)

福田:そうでした。それで、次の方向性を考えていたころ、電通社内の新聞局の担当から相談があったんですよね。

堤:「新聞広告の日に、フジサンケイビジネスアイで、人工知能コピーライターAICOを使って広告がつくれないか?」という相談でした。ただし…。

福田: 1020日の締め切りはマストであり、オリエンいただいた日程から時間がかなりないギリギリのスケジュールでした。

堤:とはいえ、せっかくいただいたチャンスでもありましたので、狩野先生にも相談させていただきました。

狩野:宣伝会議賞に向けていろいろトライアルを重ねてアルゴリズムなども強化しておりましたので、現在のベストを形にしようということになりました。

堤:そして、実際にまた上がってきたコピーを見ていると、「新聞広告は経費じゃない。」とか、さらにここでは言えない、ある意味空気を読まない言葉がいっぱい挙がってきていたんです。

でも、この仕事で入ってもらったADの森大地くんと話していると「空気を読まない」ところが、いいところなんじゃないか?という話になりました。

福田:人間が提案すると「失礼な!」となってしまうことも、「AI がこんなの書いてきまして…」となると、人間の受け取り方も変わってきますしね。

堤:実際、今回はフジサンケイビジネスアイを発行する日本工業新聞社の社長決裁だったので、AIが書いたコピーに人間のコピーライターが、企画意図を補足する形で提案しました。

キャッチコピーの制作意図

福田:前代未聞の座組みですよね。

堤:そうですね。もしかしたらAI時代の、これからのコピーライターの役割は、コピーを選ぶことと、コピーにコンテクスト(文脈)をつくって、広げることも大事になるような気がしました。

福田:この時は、AICOが書いた大量のコピーの中から、3点を選 んでプレゼンしました。

AICO制作のコピー案

堤:「新聞広告は経費じゃない。」というのは、広告をコストと捉える向きが多い中で、効果的な広告は、むしろ積極的な投資として考えるべきだという、ある意味正当なメッセージになっていますね。

福田:今のAIは、そこまで意味を捉えられないので、偶然だとは思いますけどね(笑)。

堤:偶然ということでいうと、セクシーという単語を出せたのもすごいですね。これは、普通の文脈からは、なかなか思い付かないですから。これを、もっと狙ってできるようにするのが、今後の課題ですね。

 福田:よく、「コピーを書くのは、まぐれでもできるけど、コピー を選ぶのは、まぐれではできない」と言いますよね。まぐれを、新入社員と置き換えてもいいかもしれません。これから、AICOもコピーを選ぶ能力を高めていってほしいと思います。

堤:実際に社長に提案して選ばれたコピーは…。

フジサンケイビジネスアイ新聞広告の日新聞広告15段
フジサンケイビジネスアイ新聞広告の日新聞広告15段※20161020日掲載【福田 宏幸(CD)  AICOCW)  藤成(CW※ボディコピー部分) 森 大地(AD)】

堤:…でした。未来に向けての前向きなメッセージになっていて、その点が、新聞広告の日の原稿にふさわしいということで選ばれたのではないでしょうか。 

福田:昨年の秋のこの新聞原稿は、AIが書いたキャッチコピーがたぶん初めて新聞広告に使われた事例になったのではないかと思いますね。

狩野:そうですね。私もこの時に、記事にコメントを寄せさせていただいたので、そちらをあらためて紹介したいと思います。

AIには「分析・推測」と「生成」の自動化が期待されているのではないか。後者の生成は必ずしも正解がないのでより難しい。「自然な文章」と「広告として面白い」ことが求められるが、時に相反する。さらに「よい広告」はさまざまな意図が短い文章に重ね合わされている。そのように凝縮されたコピーを生成するには、ものまねを超えたレベルの処理が必要であろう。

インターネット広告は単価が安くパーソナライズしやすいが、新聞広告は同じものを多くの人に見てもらうため、高品質で信頼感のある広告が求められる。研究の進展につれ、自動生成することと同時に、これまでプロの感覚でしか分からなかった、新聞広告をよくする要素が見えてくるかもしれない。

堤:やはり、AIとの取り組みで、広告に向き合う人にとっても、新たな可能性が広がりますね。

福田:海外では、すでに検索連動型広告などでAIが活用されていて、3000万ドルぐらいの資金を集めたスタートアップ企業もあるようです。デジタル広告だと、フィードバックも大量に得ることができるので、AIとの相性はいいですよね。今後の展開が期待されます。

堤:広告以外にも発展するといいですね。

福田:そうですね。人間のコピーライターが作詞、脚本、サービス開発、コンサルティングなど、広告以外にも活動範囲を広げているように、AIのコピーライターも活動範囲が広がるのは、十分考えられると思います。

もちろん、広告・マーケティング領域でも、AIの力を借りることにより、TPOに合わせたリアルタイムの広告制作ができたり、一人一人にカスタマイズされた広告というものが可能になってくるでしょうね。

堤:ちなみに、このあたりからは、さまざまな使い道を探るべく、社内外の多くの方にも協力いただき、プロジェクトがさらに発展しつつあります。

福田:実際に、クライアントとのブレストに活用されたり、生活者調査と掛け合わせた仕組みなど、さまざまなトライアルも始まっています。また、同プロジェクトや勉強会に触発されて、新たなプロジェクトも生まれつつあります。また実はAICOの同僚、AIマーケターの構想も進んでいたりなどという話も…。また、このあたりのことは、次回以降のお楽しみに!