「青汁に言い訳するな」~AICOのコピーライター修業
2017/11/06
君、向いてないんじゃない?
パソコンのリターンキーを押すと、新人コピーライターAICOは物おじもせずに私の前に現れた。実はこれは2回目のチャレンジ。
前回、AICOにコピーを書いてもらったのは、半年前。あのときは、「君、向いてないんじゃない?」という言葉が出かかった。
確かに数は出してくる、それこそ無尽蔵に。だが、途中でコピーを読むのがつらくなるほどの出来栄えだった。
もちろん、最初から人をうならせるようなものが書けるとは思ってはいなかったし、発想の手助けくらいにはなるんじゃないかと、あまり大きな期待をせずに彼女と向き合ったのだが、それにしても、ジャンルとは全く関係のない単語を使ったコピーが何度も何度も繰り返し出てくる。
「だから、この単語は使うなって!」とつぶやいても、AICOはどこ吹く風である。「ありかも」「なしかも」の評価ボタンをクリックするのさえ面倒になったことを覚えている。
「アリ!」のコピーが、50本に1本から10本に1本に
あのあと、AICOは数百人の先輩リアルコピーライターから5000本のコピーを伝授され、開発チームいわく長足の進化を遂げて再び私の前に現れたのである。
今回、選んだテーマは「青汁」。青汁をテーマに選んだ根拠は世の中から認知はされていながら、いまだ世界観が確立されておらず、ユーモラスなコピーもシリアスなのもどちらのコピーもありな、比較的書きやすいテーマだと思ったから。いわば新人コピーライターへの気遣いのようなものである。
AICOにテーマを青汁と入力して、切り口を指定する。これは「ポジティブな言い回しで頼むよ」とか「ダジャレのコピーが見てみたいな」「短く言ってみよう」など、あらかじめ設定してあるタグの中から興味のあるものを選んでAICOに指示してあげるものだ。このへんは、リアルコピーライターとのやりとりとあまり変わらない。
まず、「短いコピー」を頼んでみる。5秒ほど考えて、AICOはコピーを出してくる(なぜかお尻から)。
「出かけたくない青汁駐車でした」?????
「割れ割れは青汁」????
こういうぶっ飛んだコピーも相変わらず書いてくるのだが、
「青汁を最前線へ」
「青汁シャキッ!」
「青汁with you」
「青汁マン」
「青汁のことを友達とは呼ばない」
みたいな、なんか気になるけど自分じゃ書かないな、みたいなコピーが以前に比べて明らかに増えてきた。これは進歩じゃないか、AICO。
短いコピーを指示したからこうなったのかなと、今度は「でっかく」「ネガティブ」という二つの切り口でAICOに指示を出してみる。今度は少しハードルが上がったはずだ。
「危険の青汁だけ、数は設定だ」???
「青汁女維新を、今」???
ここでもAICOは自由奔放だった。
「青汁をバーで飲む人、嫌いじゃないです」
へえ、
「青汁なしで生きられるだろうか。無理だね」
なるほど、
「青汁に言い訳するな」
ふむふむ。
さっきの短いコピーより、面白いものが増えたような気がする。
体感でいうと、半年前が50本に1本まあ使えるかな、だったものが、今は10本に1本はこのコピーあるかもね、という具合。これは進歩だと思う。彼女にコピーを教えてきたリアルコピーライターの皆さん、ご苦労さまでした。
AICOは、伸び盛りの新人コピーライター ?!
AICOとの付き合い方だけど、なんかコピーが煮詰まったときの起爆剤として使ったり、発想を柔軟にするために使うのはありだと思う。あとは、ブレスト的にチームでワイワイやりながら書かせてみるのもいいかもしれない。営業さんが使ってみるの面白いかも。
AICOはAIなので学べば学ぶほど進化していく。いわば伸び盛りの新人コピーライターというわけだ。5000の学んだコピーが1万になり10万とかになれば、面白い存在になりそうな気もする。
ただAICO、「不倫用に、もうひと青汁」ってコピーはたぶん採用されないよ。