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「届く表現」の舞台裏No.16

加山雄三氏に聞く
4回目の成人式を迎えた若大将の、自己分析

2017/07/25

「『届く表現』の舞台裏」では、各界の「成功している表現活動の推進者」にフォーカスします。今回は、今年80歳を迎えた加山雄三さんに今後の活動に込めた思いを伺いました。

6月17、18日に開催された「ゴー!ゴー!若大将FESTIVAL in OSAKA」で
6月17、18日に開催された「ゴー!ゴー!若大将FESTIVAL in OSAKA」で

自分でも信じられないですね。こんなに現役を続けられると思っていなかった。4月が80歳の誕生日だったんですが、今年はその前後でトリビュートアルバムを出したり、東京国際フォーラムで記念ライブやったり、活動は盛りだくさんです。7月末にはフジロックにも出るんですよ。数年前に出た時の印象が鮮烈で、また出たいなあとずっと思っていたら、今年は4万人入るメイン会場でのオファーが来ました。まだまだこの先、来年に向けても活動予定はてんこ盛りです。

音楽はね、ジャンルを問わず全部好きなんです。これは親のおかげだと思います。父はクラシックから現代音楽までの領域をカバー。母は流行歌、民謡、小唄。踊りも花柳流の名取ですからね。子どものころから和と洋に囲まれていたんですよ。僕は実は演歌も作るんです。前川清さんや八代亜紀さんが僕の作った曲を取り入れようとしてくれています。片や、スチャダラパーが僕の曲にラップをつけてくれた時は感動したね。こんなことができるのかって。パンピーというラッパーがやった「お嫁においで」なんか、ネットのアクセスが数百万ですからね。息子さんの横で漏れ聞いたおやじさんが逆に「なんだそれ加山の曲じゃないか」なんてコミュニケーションが発生してる。

そうそう、若い人の音楽には進化を感じます。テクニックも歌い方も。若い世代のアーティストとの関係は、自分としても心掛けて増やすようにしたんです。刺激を受けますよ。ああ自分も劣化しちゃいけないってね。また、僕の周りは若いスタッフばっかりで、みんな生き生きと飛び回っているけど、これも同じ。彼らは新しい情報をバンバン入れてくれる。そうすると自分も刺激を受けて情報を仕入れて逆に入れてやったり。僕が圧倒的に年上だから上司みたいなもんだろうけど、ここで階級のような関係ができてお互いものが言いにくくなったら、きっとだめになっていく。会社組織でも、きっと同じでしょう。アーティストでもスタッフでも、若い人がアイデアを出したら、とにかく聞く耳を持つ、これが一番大事。

元気の秘訣というのはよく聞かれますが、僕は、メディアとかで健康にいいといわれてることは、たいてい前から自然に実践していた、結果として。睡眠はたっぷり8時間はとる。朝起きてまず青いもの、緑色のものを見る。木や海ですね。大葉を2 枚ちぎって匂いを嗅いで深呼吸する。朝晩必ず水をかぶることを、もう何十年も続けている。指を動かすのが老化防止にいいといいますが、ピアノ、ギター、陶芸、絵画、全部そうですね。激しい運動の後に活性水素水を飲むのも、随分早くから実践してました。

心の持ち方でいうと、好奇心は旺盛な方がいいと思いますね。LINEでのコミュニケーションも早くからやってるし、ゲームにもはまっています。僕のクルーザー光進丸にはバーチャルリアリティーの機器が2台あるんですよ。一番いけないのは、人のせいにしたり、人をねたんだりする心の状態かな。これは自分の健康の最大のマイナス要因になると思います。生きていれば、試練や困難は必ず与えられる。僕はこうしたものは、人生を歩む上で乗り越える大事なテーマだと思っている。物事をいい方へいい方へと考えていく努力は、自分の心の開発みたいなことで、こうした気持ちも健康とかに大きな影響があると思います。

僕自身が幸せを感じる時っていうのは、人が幸せに思うことをやれた時なんですよね。自分の役割だとも感じます。だから、歌を歌って大勢の人が幸せに思ってくれたら、それが僕の幸せだし、大事な役割なんだと思います。

この先、90歳までには、サンフランシスコまで自分の船で行ってゴールデンゲートブリッジの下をくぐってやりたいですね。そん時は、ジェットバスにつかって、汽笛を鳴らしたいねえ。5回目の成人式の時? きっとまだ歌ってると思いますね。

3月に発売された、生誕80 周年記念REMIXアルバム「加山雄三の新世界」
3月に発売された、生誕80 周年記念REMIXアルバム「加山雄三の新世界」