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ビジュアル・ブレークスルー・パワー!(後編)

Dentsu Design Talk №111

  • 市村 純
  • 岡本 崇志
  • 片岡 圭史
  • 里見 勇人
  • 青木 圭吾
  • 足立 光
  • 川腰 和徳
  • 小柴 尊昭

2017/12/02

ビジュアル・ブレークスルー・パワー!(後編)

グローバル化とデジタル化が同時に進む社会の中で、ビジネスにおけるビジュアルの力はますます重要になっています。今回のデザイントークは、電通ビジネスデザインスクエア未来創造室とビジュアル制作・提供のアマナのコラボ企画です。具体的には「ビジュアル×クリエーティブPR」「ビジュアル×新規事業」「ビジュアル×テクノロジー」「ビジュアル×インナー活性化」「ビジュアル×デジタルマーケティング」の五つのテーマをオムニバス形式で、電通とアマナのプロデューサーやクリエーターが“ビジュアルの持つ力”の本質に迫ります。


ビジュアル×インナー(クライアント企業)活性化

小柴:四つ目のテーマは、「ビジュアル×インナー(クライアント企業)活性化」は、私からお話しいたします。

ビジュアル・ブレークスルー・パワー!小柴氏
電通 小柴尊昭氏

クライアント企業の社内の風土改革で、テーマに上ることが多いのは、現場からのボトムアップの活性化です。私はこの課題解決に「写真」が役立つと考えています。

「アース ミュージック&エコロジー」を展開するアパレルメーカーのストライプインターナショナルは、社員同士のつながり深め、ボトムアップの提案を増やしていくために、社内に即席スタジオをつくり、全社員に自分が大切に思うものを持ってきてもらい、一緒に写真を撮るポートレートをつくりました。

そして、それを廊下に張り出したところ社内で話題が生まれ、来社した人からも「いい会社ですね」と言われるようになったそうです。同社が「カンブリア宮殿」で紹介されたときにも、このポートレートが取り上げられました。

ポートレートには、一人一人の多様性の肯定と組織に帰属するプライドを醸成する効果があります。新入社員が入ってきた時に、その写真を撮ることもひとつのイベントになります。

ストライプインターナショナル

最近では「企業写真部」のプロデュースを始めています。タマホームでは、フォトトレーニングを実施して、入社式などの写真を社員が撮ることで、コミュニケーションが円滑化した効果が見られました。

また、インナー向けのアプリケーションも開発しています。これもストライプインターナショナルの事例ですが、「世界一楽しい社員名簿」というアプリを制作しました。これは部署や立場を超えてメッセージを送り合える機能も搭載され、つながりを可視化できるアプリです。

アマナの中でも、年間1万5000件の案件で使われたスキルやノウハウを共有するコミュニケーションツールが浸透しています。このようにボトムアップの声を拾い集めて可視化することで社内が活性化していきます。

ビジュアル×デジタルマーケティング

片岡:最後のテーマは「ビジュアル×マーケティング」になります。電通ビジネス・ディベロップメント&アクティベーション局バリューチェーン戦略室 ディレクターの青木圭吾さんと、アマナ コンテンツパートナーディビジョン 執行役員の市村純さんです。

ビジュアル・ブレークスルー・パワー!青木氏・市村氏
(左から)電通 青木圭吾氏、アマナ 市村純氏

市村:ここ数年で起きた大きな変化は、スマートフォンの普及で消費者にとって「コンテンツ」が与えられるものではなく、自分で検索して取りに行くものになったということです。

そのため、ビジュアルや文章を絡めるなどした小さなコンテンツを複数つくり、大きなコミュニケーションにしていく手法にシフトしています。

青木:情報量が爆発的に増え、人はたくさんのコンテンツを見て、納得しないと購買に至りません。

一方で誰もが簡単にコンテンツをつくる時代になり、情報の信頼性が問題になっています。ニールセンが米国で実施した調査では、信頼できるのは「ブランドサイト」や新聞に代表されるような「信頼のおけるソースのコンテンツ」であるという結果が出ています。

つまり企業は、ユーザーとの接点として、ブランドのオウンドメディアを充実させざるを得ない状況になっています。

市村:しかも、100人いれば100通りの価値観があるわけですから、たくさんのコンテンツを出さなければいけません。

ある企業のオウンドメディアは、立ち上げ当初はうまくいっていなかったのですが、コンテンツ数が300を超えた頃から、数字がグンと伸びはじめました。ユーザーがそのオウンドメディアに自分の好きなコンテンツがあると認識して、回遊し始めたためです。

この例のように、ユーザーが自分にふさわしいコンテンツがあると認めれば、それが企業のコンテンツだろうが、メディアのコンテンツだろうが、サイト内を回遊するというデータが出ています。

これからはコンテンツの質や数が必要になるため、グローバルで5000メディアのコンテンツを2次利用する権利を持つニュースクレドとパートナーシップを結び、企業のコンテンツマーケティング活動の総合支援を行うサービス展開を7月からスタートしました。

コンテンツの運用は、本当に大変です。しかし、このニュースクレドのプラットフォームがあれば、必要なコンテンツを検索して、スケジュール通りにユーザーに届けることができます。人力でコンテンツを制作していたときは1カ月かかっていたものが、わずか2日で実現できたという声も届いています。

このサービスのポイントは、コンテンツのパフォーマンスデータが取得できることです。コンテンツの閲覧数や、売り上げへの貢献のデータを見ながら、ビジネスを展開できます。

青木:これまでクライアント企業がオウンドメディアを開設する場合、オリジナルコンテンツの制作が課題でした。特に業態が幅広いと、コンテンツの切り口が無数にあるため、何を優先すべきか判断しにくかったのです。そうした時に、ニュースクレドが提唱しているのが「ライセンスドコンテンツモデル」です。

例えばネットフリックスは、ビジネスのスタート当初、オリジナルコンテンツは1本もありませんでした。しかし、ライセンスコンテンツを大量に収集し、ユーザーの閲覧状況を把握することで、自分たちのサービスに欠かせないコンテンツをあぶり出しました。そしてミッシングピースを、オリジナルコンテンツで埋めていく戦略に出たのです。

企業のオウンドメディアも、いきなりオリジナルコンテンツを制作するよりも、ライセンスコンテンツで一定のKPIを埋めてから、状況を分析して、課題を解決していくべきではないかと思います。

企業はこれまでのような「安いよ!買って!」というプッシュ型のコミュニケーションから、ユーザーに「価値がある」と思わせて引き付けるプル型のコミュニケーションへとシフトしています。

市村:今回のニュースクレドとの提携では、「アート&サイエンス」という考え方を大切にしています。コンテンツマーケティングには、コンシューマーが潜在意識の中で求めているものを理解するというツールとしての機能もありますので、サイエンスとしてデータをきちっと取って、それに基づいて適切なアートやクリエーティブを提供していくことが求められます。

本日ご紹介した事例のように、企業はさまざまなコンテンツを自社サイトに出すことで顧客の潜在意識を“見える化”して、その人たちに合うイベントやコミュニケーションをしていけばいいのではないでしょうか。それを表現したのが「アート&サイエンス」という言葉です。

小柴:「アート&サイエンス」は、すごくいい言葉ですね。デジタルサイエンスという言葉が先行して使われていますが、それが「クリエーティブ」と融合するタイミングにきていると思いました。クリエーティブとデータが“結婚”することで、クライアント企業の事業に貢献する可能性を大きくなると思います。

<了>
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