世の課題を映し出すビジネスデザイナーの多種多様
2017/12/05
電通内に、顧客企業のイノベーションを創出するための組織「ビジネスデザインスクエア」が発足しました。本連載では、メンバーが「電通の考えるビジネスデザインとは何か」をお伝えします。今回はビジネスデザイナーの牛久保暖氏が、さまざまなプロフェッショナルが集まる電通ビジネスデザインスクエアの強みについて語ります。
【目次】
▼梁山泊としての電通ビジネスデザインスクエア
▼共通言語となるモジュール開発でシナジーが生まれる
▼論理だけ、もしくは感性だけでしのげる時代は終わった
▼右脳左脳の同時駆動がデフォルトの電通カルチャー
梁山泊としての電通ビジネスデザインスクエア
はじめまして。ビジネスデザイナーの牛久保暖です。今回は電通ビジネスデザインスクエアに集っている人についてお話しします。
前回記事を担当した坂巻匡彦の経歴からも感じられると思うのですが、電通ビジネスデザインスクエアは、かなりとがった専門スキルとバックグラウンドを持った人たちが数多く参加しており、まるで梁山泊のような組織になっています。新卒時から電通で専門性を磨き抜いてきたメンバーに加えて、中途入社のメンバー比率が比較的高く、それが元々の電通のカルチャーとうまくかみ合って、独自のビジネスデザインのアプローチを作り出しています。
中途入社メンバーのバックグラウンドは、プロダクトデザイナー、商社、投資ファンド、編集、ライター、SIer(システムインテグレーター)、証券会社など、さまざまで、それぞれの業界職種で活躍してきています。私自身も、編集・ライターなどのコンテンツ開発やメーカーでの商品企画、戦略コンサルタントを経て、フリーのプランナーとして仕事をしてきた中途入社のメンバーです。
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共通言語となるモジュール開発でシナジーが生まれる
ややもすると、さまざまなバックグラウンドを持つ人が集まる組織は共通言語に乏しく、タコツボ化してしまうリスクもあるように感じられるかもしれませんが、電通ビジネスデザインスクエアのメンバーに関していえば、各人が特定ドメインの専門家でありつつも、横断的で複合的な課題にチャレンジを求めている人が集っているため、メンバー間のコミュニケーション志向が強く、シナジーが起きやすい組織カルチャーが醸成されているように思います。
また、シナジーを通じて編み出された解法について、一回きりの打ち手や暗黙知になってしまいがちなのを回避するために、汎用性の高いモジュールやメニューとして整理&棚卸しすることにもリソースを割いています。それがテンプレートのように安直なものでないため、それを作り上げていく過程で多くのディスカッションや気付きがあり、さらに相互理解が深めることに貢献しています。
では、なぜそういったメンバーを集めているのか。そして、なぜ集まるのかについてお話しします。
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論理だけ、もしくは感性だけでしのげる時代は終わった
なぜ専門性の高い人材が集っているのかといえば、多様な専門スキルを持つメンバーが必要な課題が増えているということに尽きます。
世の中全体として分かりやすいシンプルな需要の刈り取りはだいぶ進み、課題が課題のまま分かりやすく転がっているような状況は少なくなってきているのです。課題のあぶり出しに当たっても、盲点や先入観をあぶり出した上で、視座の高さを変えて観察していく必要があります。
実際に打ち手を考えていくにしても、例えばサービス設計であれば、背後には緻密なオペレーション設計を前提としたビジネスロジックを備えつつも、フロントではユーザーの機微に訴えるUXデザインが必要となります。
電通ビジネスデザインスクエアに日々持ち込まれる案件でも、ぱっと見では戦略コンサルに持ち込まれそうなお堅い感じのお題に見えたのもつかの間、課題の根っこ部分には理屈の積み上げでは突破できなさそうな障壁が見えてきたり…。本当に課題はそれぞれ一品一様かつ構造として複合的です。論理一辺倒でも、あるいは感性だけでも解くことのできない案件がほとんどになってきました。
こういった案件が多いことが、電通ビジネスデザインスクエアの特長だと思っています。
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右脳左脳の同時駆動がデフォルトの電通カルチャー
最近の業界的な動きとして、戦略コンサルがデザインコンサル会社やクリエーティブブティックを買収したり、協業を深めたりといったケースが多くあります。これは先に書いた複合的な課題が世の中全体として増えていることの証左ではありますが、一方で実際にそこで持ち込まれる課題はやはりどちらかというと左脳寄りの経営企画脳に寄ったものになりがちのようです。戦略コンサルの元々の立脚点が左脳寄りなのだから仕方ないのかもしれません。
それに対して電通には元から左脳右脳の同時駆動といいますか、Art(センス) & Science(論理)統合的なビジネスとカルチャーがあります。ストラテジックプランナーに代表される左脳的なマーケティングアナリシスと、表現設計と実装を行う右脳的な広告クリエーティブが長きにわたって共存して結果を出してきている企業風土もあります。
そしてここが一番重要なところですが、その企業風土と実績を理解しているクライアントが多くいるため、「この案件ってそもそもなんなんだろう?」とクライアント自体が問いを定めきれないような問題を抱えたときに、電通に声を掛けてみるか、と気軽に相談してきてくれる関係があります。その相談内容は、それぞれに経験を積んだビジネスデザイナーから見ても毎回驚くような課題ばかりです。
期待値がより上がっていること、また課題がさらに広範なものになってきていることを受けて、電通ビジネスデザインスクエアでは、クライアント企業のいかなる領域でもカバーできるような多種多様なメンバーが必然的にそろってきていますし、今後さらにとがったメンバーが集結していくと思っています。