3分で分かる広告の法律落とし穴No.3
広告企画やプレゼンにおけるサンプルイメージの取り扱いには注意!
2018/02/22
この連載では、書籍『広告法』の中から、特に実務的にフォーカスしたい点を取り上げて、Q&A形式で解説していきます。
今回は、広告企画やプレゼンにおけるサンプルイメージの取り扱いについて取り上げます。
Q.広告の企画やプレゼンテーションの際に,完成形のイメージを共有するために,ヴィジュアル、音楽などについて既存の作品をサンプルイメージとして使うことがあります。どんなことに気を付ければよいでしょうか?サンプルイメージの利用としては、例えば既存の写真・映像などのヴィジュアルをサンプルイメージとしてプレゼンテーションにおいて使用し、「このようなイメージのグラフィック広告にします」と説明したり、企画チーム内で「このようなイメージのオリジナル曲を作曲するのはどうか」と内部で検討したりするようなケースです。
A.完成品がサンプルイメージに強く影響を受けることによって、著作権侵害(複製・無断改変など)が問題となることがあります。著作権法に基づいて使用の差止めや損害賠償請求を受けることもあるのです。
したがって、サンプルイメージの取り扱いについては、広告ビジネス実務的には細心の注意を払う必要があります。
あくまでもイメージ共有のためにサンプルイメージを利用した場合においても、完成した広告制作物が、サンプルイメージとは別の独立した創作物として認められるかどうかについて迷うことがあるかもしれません。
このような場合には、企業内の専門セクション等のチェックを受けるようにしてください。
【基礎知識】
著作権について簡単に解説します。
1.著作権とは?
①「思想又は感情を創作的に表現したもの」は著作物
②「著作物を創作した人」が著作者
③「著作者が著作物を独占的に利用できる権利」が著作権
2.著作権が有する権利とは?(以下が全てではありません)
① 他人に無断で自らの著作物を複製(コピー)されない権利
② 他人に無断で自らの著作物を改変されない権利
③ 改変したものを利用されない権利
したがって、他人が思想又は感情を創作的に表現したもの(=著作物)を無断で広告に利用(無断複製)したり、少しだけ変えて利用(無断改変)したりする場合には、著作権侵害の問題となり得るというわけです。
詳しくは、広告に関連する法規制を網羅的に、実務的に、理論的に解説を試みた『広告法』を手に取ってみてください。