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【続】ろーかる・ぐるぐるNo.131

ナイショにしたい静岡の話

2018/05/10

ゴールデンウイークも終わっちゃいましたが、例えば東京在住の皆さま。週末、一泊のドライブに出かけるとしたら、どこにしますか?

山や海、温泉や遊園地。いろいろな選択肢がありますが、ぼくのオススメは静岡。それも観光施設のそろった伊豆方面ではなく、静岡市を中心とした中部エリアです。途中、御殿場のアウトレットモールで妻のご機嫌を取りつつ、夜は静岡駅のすぐ近くにあるお気に入りの居酒屋で「國香」「志太泉」といった地酒と真剣勝負です。

先日もそのお店を予約できたので、ぶらり行って参りました。そもそもなんで温暖な静岡にうまい日本酒があるのか? そこには先人の努力があります。

昭和60年頃といえば日本酒の世界も大量生産、大量消費が「常識」でした。しかし酒どころのイメージが希薄な静岡で、規模も大きくない蔵元が、その常識に従って商売をしていても、勝てる見込みなどありません。そこで彼らはいち早く吟醸酒や純米酒などの特定名称酒にシフトしました。「量より質」という発想の転換であり、「コンセプトの変更」です。

そしてそのイノベーションを支えた技術革新が「静岡酵母」の発見でした。フレッシュで飲み飽きしない静岡型吟醸を生み出す酵母の研究は、県の研究所で進められました。このオリジナルの技術開発によって、静岡はよそがマネできない清酒づくりを実現したのです。

もちろん富士の伏流水をはじめとする名水の存在も見逃せません。最近は独自の酒米(酒造好適米)の栽培も進んでいます。

新幹線を使えば片道わずか1時間。呑兵衛の皆さんが遊びに行かない手はありません。

遊びに行ったら「お土産」も気になります。うなぎパイは浜松だし、静岡市界隈は一般的に名物が少ないなんて声もあるでしょう。しかしそれだって、ちょっと視点を変えれば大丈夫。

今回のドライブでも、ご近所さんに用宗港そばのお魚屋さんで買った名物「しらす」をお届けして大好評でした。そもそも「用宗のしらす」は特別です。ふつうは2そう1組で漁をして、ある程度取れたところで港に戻るのですが、この港は3そう1組。1そうは運搬専門なので、鮮度が抜群。ご自慢の生しらすはショウガ醤油で、釜揚げは静岡の居酒屋さんで教わった通り、あらびき黒こしょうを振りかけただけで。もう最高のさかなです。

一緒に買ってきた地物(最近は「しずまえ鮮魚」なんて呼ぶそうですが)の鯛はお刺し身で。大きなアラは煮付けと塩焼き。黒はんぺんをバターソテーにして。

山の幸だって負けてはいません。隣町藤枝のフルーツトマトやきゅうり、新タマネギ、ブロッコリー、スナップエンドウはまとめてサラダに。山菜のコシアブラだって県内産。東京に戻っても、なお美食の宴が続きます。いかがでしょう、少しは気持ちが動きましたか?

実はちょっと前まで、この静岡市界隈は観光の受け入れに、あまり熱心とは言えませんでした。例えば静岡駅から近くにある名勝「久能山東照宮」まで行くにしても、バスが1時間に1本あるかないかだったからです。

よく言えばのんびり、穏やか。悪く言うと豊かな分だけ商売っ気のない静岡人。それでも、いろいろな方々の努力で少しずつ変革が進み、最近、久能山にも無料のシャトルバスが走るようになりました。

時間があれば「静岡おでん」巡りもできます。ランチには最近メディアで話題の静岡県内でしか展開していないレストランチェーンで赤身肉のハンバーグも良いでしょう。ようやく「観光に静岡市」というコンセプトが絵に描いた餅ではなくなりつつあります。

なぜ静岡へそんなに肩入れするのか、ですって?(笑)それは思えば7年前、静岡駅南銀座商店街や久能山下のイチゴ狩り農園を舞台にしたドラマ「からくり侍セッシャー1」のプロデューサーを務めたので、いろいろなご縁に恵まれたからなのでした。

「日差しが温かく、お茶とみかんがおいしくて、でも人が通過するだけだから、静岡は日本の『縁側』だね!」なんてやゆする人もいますが、この土地の豊かさ、そして人々の温かさを知っていただきたいのです。もしかするとその一端がいまGYAO!で無料公開中の「セッシャー1」で感じていただけるかも。お時間があれば是非。

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どうぞ、召し上がれ!