LGBT JAPAN 2020〜レインボーカンパニーへの道〜No.6
「アライの輪を広げよう!」~ALLY CIRCLE~
2018/05/30
今年も日本最大級のLGBTの祭典「東京レインボープライド2018」(TRP)が4月28日~5月6日、都内各所で開催されました。
東京レインボープライドとは、LGBTをはじめとするセクシュアル・マイノリティー(性的少数者)が、差別や偏見にさらされることなく、より自分らしく、前向きに生きていくことができる社会の実現を目指し、「性」と「生」の多様性を祝福する祭典です。
今年のテーマは「LOVE&EQUALITY すべての愛に平等を。」。特別な権利や特別な豊かさを求めるのではなく、マイナスをゼロに、同じことを同じように、愛する人を自由に愛する、そんな当たり前の「平等」を実現したいという思いが込められています。
電通ダイバーシティラボ(DDL)の八木まどかが、「東京レインボープライド2018」のリポートをお届けします!
過去最高の盛り上がり!総動員数は15万人を突破!
主催者発表によると、代々木公園イベント広場で行われた、メインイベント「プライドフェスティバル」(5月5~6日)、の来場者数は2日間で延べ14万人。過去最高を更新しました。
また、6日のパレード参加者数も7000人とこちらも過去最高。期間中のその他のイベントの来場者数と合わせて、総動員数は15万2000人という大盛況となりました。
近年注目が集まるのは、企業のブース出展が増えたことです。セブン&アイホールディングス、プレイステーション(SIE)、ビズリーチ、JTなどが初出展しました。まだ社内外のダイバーシティー施策が進んでいないという企業でも、社内の意識を高めるきっかけづくりとしてTRPという場を活用するために出展というケースも多く見られました。
全体で見ても、協賛企業・団体の数は昨年の「194」に対して今年は「213」にも上ることからも、盛り上がりを感じることができるでしょう。6日に行われたパレードにおけるフロート(※各企業・団体によるパレードの列)申込数も「23」から「37」に増え、各企業・団体の積極的な姿勢を感じました。
6日の大トリのコンテンツとして、歌手の浜崎あゆみさんのスペシャルライブが行われ、著名人によるアライ※の表明が増えている近年の傾向を象徴するようでした。ステージではレインボープライドの趣旨に賛同するメッセージとともに、力強いパフォーマンスで会場を盛り上げました。
※アライとは、LGBTはじめセクシュアルマイノリティーの人たちのことを理解し、自分ができる行動をし、支援する人たちのことです(語源は「Ally」=同盟、仲間)。
「アライの輪を広げよう!」~ALLY CIRCLE~
電通ダイバーシティラボとして4回目の出展となる今年のテーマは「アライの輪を広げよう」。「ALLY CIRCLE」と題し、プロのフォトグラファーに写真を撮ってもらい、アライを表明した記念すべき写真を拡散してもらう企画です。
電通ダイバーシティラボでは、これまで2016年には「アライになろう」というテーマのもと「GET!A-License(アライセンス)!」を、2017年は「自分が、自分のアライになる」をテーマに「Me MEDAL factory」というブースを設けました。今年は、みんなでアライの輪を広げていこうとメッセージするためにこのテーマを企画しました。
企画に協力いただいたのはフォトグラファーの村井眞哉さん。ボランティアで参加し、撮影を盛り上げてくれました。
ブースでは「ALLY CIRCLE」と名付けて制作したレインボーの輪の中に数人で入って写真撮影をしました。もちろん一人での撮影も歓迎です。
合言葉は「アライの輪!」。村井さんの掛け声に合わせて参加者は「わ!」と叫びます。この掛け声のおかげで、どの人も笑顔に。
撮った写真はネット上でダウンロードし、自由に活用できるようにしました。「♯アライの輪に入ろう」をつけて拡散をお願いし、実際に撮影後SNSに投稿してくれた人も見られました。
参加した方々の中には、「アライ」の言葉を知らなかった人もいました。マイノリティーのことを理解しようとする気持ちがあればいいですよ、と説明すると「それならできるかも」と参加してくれました。また、多くの当事者の方々もパートナーや友人と一緒に写真を撮ってアライを広める姿勢を表現してくれました。
会場に来た方々が口々に言っていたのは「とにかく人が多い!」ということです。LGBTをはじめセクシュアルマイノリティーへの関心が年々高まっていることが肌で感じられました。
話を聞いてみると、例えば今回初めて訪れた人からは「パートナーがLGBTに関する仕事をしているので、勉強のために一緒に来た」という声や、「普通にイベントとして楽しいし、各企業の気概が感じられるいい機会になった」という感想を聞きました。LGBTについて考えること自体も、身近になってきているのでしょう。
一方、ある当事者の方は「イベントが盛り上がるのはうれしいけれど、それはまだマイノリティーを特別視していることではないか。LGBTという存在がもっと当たり前になってほしい」と語ってくれました。
よりアクションが求められるフェーズに
確かに、LGBT、セクシュアルマイノリティー、ダイバーシティーという言葉自体は日本でも数年前に比べて頻繁に聞かれるようになり、さまざまな問題が議論されるようになってきました。今回の東京レインボープライドの盛況ぶりも、まさにその流れを反映していましたが、「LGBTに関心はあるが、具体的にどう行動すればいいか分からない」と感じる個人や企業の声もまだ多く聞かれます。これからは、より具体的にどんなアクションを起こすかを一人一人考え始めるフェーズに入ってきたのかもしれません。
アクションは必ずしも難しく考えなくても、例えばレインボーグッズを身に着けてアライを表明してみることから始めたり、LGBTの課題について勉強してみたり、一緒に考える仲間を増やしたりしてみるなど、身近なことから始められるかもしれません。
忘れてはいけないのは、ダイバーシティーは一部の人たちの問題ではなく、みんなの問題だということだと思います。自分の個性やセクシュアリティーに自覚的になる、そして、100%は理解できないかもしれないけれど、目の前の他者の生き方を知ろうとすることで、次のアクションが見つかるかもしれません。
DDLはこれからもDiversity&Inclusionの視点で「誰しもマイノリティー性を持っている。だからみんなが暮らしやすい社会をつくっていく」ために、今後もさまざまなソリューションを提案していきます。
●電通ダイバーシティ・ラボ(DDL)
人権や国籍、年齢、性別やジェンダー、障害の有無、言語や文化の違いなど、「人と人との『ちがい』を大切にする多様性あふれる社会が『豊かな未来』につながる」という考え方に基づいて、電通と電通グループの様々な領域のスペシャリストから結成されたソリューション・ラボです。
多様性あふれる豊かな未来の実現に向け、主に「障害」「ジェンダー」「多文化共生」「ジェネレーション」の4つのテーマを設定して、企業や団体にダイバーシティに関するナレッジや具体的なソリューションを提供しています。
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URL: http://www.dentsu.co.jp/ddl/
E-mail: diversity@dentsu.co.jp
●ダイバーシティウェブマガジン「cococolor」とは
cococolorは、人々の違いを、豊かな「個性」として尊重することが、みんなが楽しく暮らせるダイバーシティ社会を形成するヒントになるという信念のもと、電通ダイバーシティ・ラボが運営しているウェブマガジンです。
障害・ジェンダー・年齢・国籍・人種…など様々な切り口から人の多様性に関わるテーマを扱っており、ダイバーシティをより身近なものに変えていくことを目指しています。