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「日中の外出率が高い」10のメディアライフスタイル

メディア行動データ × ソーシャル・シークエンス分析 №3

  • 美和 晃

2018/09/11

「日中の外出率が高い」10のメディアライフスタイル

電通メディアイノベーションラボは、ビデオリサーチのひと研究所と共同で、現代のメディアライフスタイルを七つのグループ、30のスタイルで読み解くプロジェクトを実施しました。連載の第1回でプロジェクトの全体像をご紹介しました。第2回では、七つのグループのうち日中の在宅率が高い二つのグループについて詳細をご説明しました。

今回は、日中の外出率が高い三つのグループ「③月~金外出族」「④早寝早起き族」「⑤深夜メディア族」に含まれる10のスタイルについて紹介していきます。前回とは対照的に、この三つのグループは、月曜日から金曜日までの平日は朝に外出して夕方以降に帰宅する生活リズムを共通して持っています。また、働いたり学校に通ったりしている人々が中心となっており、10スタイルのうち8スタイルでは男性の比率の方が高くなっています。

三つのグループが互いに異なっている点は、朝の活動開始時刻と夜の就寝の時刻です。「③月~金外出族」をある程度平均的な生活とすると、「④早寝早起き族」は朝の活動開始時刻も就寝時刻も早めで、「⑤深夜メディア族」は逆に朝も夜も遅めのグループといえます。

「月~金外出族」の5スタイル

それでは、「③月~金外出族」から順にご紹介していきましょう。

このグループの五つのスタイルに共通するキーワードは“朝7時”といえます。朝7時を合図として、次の三つの出来事が重なってきます。

・朝7時には、このグループのほぼ全ての人が起床し、活動を始めた状態になる
・朝7時には、それまでに起床していた人が外出していく
・その結果、朝のメディア接触の山が、朝7時をピークとして形づくられる

③月~金外出族

このように見ると、何だか、典型的な家庭の目まぐるしい朝の風景が浮かび上がるようですが、メディア接触の山が夜に片寄っているのか朝・夜の二つに分かれているのか、という点と、重点的に接触しているメディアがどれなのか、という点でスタイルが異なっています。

このグループでは、男性に多いのがメディア接触の山が夜に片寄る二つのスタイル「13.夜中心テレビ視聴型」と「14.夜中心PC&モバイル利用型」であり、女性に多いのが朝・夜の二つに分かれている「15.土日外出・朝夜メディア利用型」と「16.土日在宅・朝夜メディア利用型」の二つのスタイルです。「17.月~金の外出時ラジオ聴取型」はそのどちらとも異なりますが、男性に多いメディア接触のスタイルです。

今回は「14.夜中心PC&モバイル利用型」を見てみましょう。

「14.夜中心PC&モバイル利用型」は、平均年齢30歳・未婚の男性に多く見られるスタイル

 

「14.夜中心PC&モバイル利用型」は、男性がおよそ3分の2(65.1%)を占め、平均年齢が30歳と、全30スタイルのうちで最も若くなっています。このため、未婚率が73.1%と高く、また高校生や大学生・短大生が合計19.9%と、高い割合で含まれています。

このタイプのメディア接触の特徴を挙げると、

①朝のメディア接触はピークでも20%だが、夜はテレビ視聴以上に、PCやモバイルでのネット利用が盛んとなり、21時台のピーク時には6割を超える人がメディアに接触する。

②特に、宅内でのネット動画とりわけモバイル動画(ピンクの網掛け部分)の視聴時間が平均18分と、30スタイルの中で最も長い(PCでのネット動画<紫の網掛け部分>は17分)。

実は、このタイプの人々の起床・外出・帰宅・就寝の時刻は、同じグループで隣り合っている「13.夜中心テレビ視聴型」の人々とほとんど変わりません。隣り合っているということは互いにスタイルが似ているということでもあります。ちなみに、「13.夜中心テレビ視聴型」の人々は、30スタイルの中で最も構成比が高い(12.7%)典型的な人で、平均年齢が10歳上の41.9歳になり、そのほとんどが企業の勤め人です。

つまり「13.夜中心テレビ視聴型」が「現在」のメディアライフスタイルの典型像だとすると、ここで示した「14.夜中心PC&モバイル利用型」は「10年後」のメディアライフスタイルの典型像を先取りしている可能性があります。自宅内メディア接触の中心がテレビ視聴に限らずPCやモバイル(特にモバイル動画の視聴)へと大きく拡大している若年層の存在には引き続き注目が必要でしょう。

そこで、このスタイルへ分類された人の中から1人を取り上げ、1週間の行動を見てみましょう。

「14.夜中心PC&モバイル利用型」の1週間のメデイアライフスタイル

ここに示したのは、事務・研究職に従事する31歳の男性の1週間のメディアライフスタイルです。平日をみると朝7時30分頃に起床した後、テレビのながら視聴から生活がスタートします。また日中に仕事した後、20時前後に帰宅しますが、宅内でテレビを視聴するのは1週間のうちわずか1日にとどまります。むしろ、就寝前までのリラックスタイムになってから、モバイルの利用が1時間ほど続くことが多いようです。また、週末にはPCでのネット利用の存在感が増していることも分かります。

このような生活記録からは、堅実で規則正しい生活を送る若手サラリーマンの生活像が浮かび上がってきます。朝、仕事に出かける前のテレビ視聴がまだまだ健在であることからは年配サラリーマン層にも通じる世代間の連続性も感じられます。一方、帰宅後に見られるテレビ関与の低さとデジタル機器への親和性には、明らかに上の世代との断絶を見て取ることができます。

「早寝早起き族」の2スタイル

続いて、「④早寝早起き族」についてご紹介します。

このグループは先ほどの「③月~金外出族」よりも朝早く起床し、夜は早めに就寝することを特徴とした、男性が多めのグループです。

④「早寝早起き族」

このグループは、起床して活動を開始する時刻が5時台と6時台でシンプルに分かれます。そのうち、ほぼ全ての人が6時台には起床し、逆に夜0時までには就寝する「18.早寝早起き型(6時起床)」の人々の平均年齢は36.4歳と、若くなっています。

今回は「18.早寝早起き型(6時起床)」を見てみましょう。

「18.早寝早起き型(6時起床)」は、中堅層の男性がボリュームゾーン

 

「18.早寝早起き型(6時起床)」の月曜日のシークエンス

「18.早寝早起き型(6時起床)」のスタイルは、男性が全体の4分の3(75.2%)を占め、特に、中堅層である男性35~49歳がボリュームゾーン(30.3%)となっています。一方、女性を見ると約半分(男女全体の12.1%)がティーン(12~19歳)に属しています。このようにメインの年齢階層が男女で異なる点が特徴といえます。

このため、メディア接触の特徴は独自のスタイルがあるというよりも、各世代ごとに親和的なものが自然に選ばれています。例えば、年配男性では朝晩にテレビが選ばれやすくなっていますし、若年層ではモバイルが一日を通じて選ばれやすいメディアになっています。その結果が、上に示すような、多彩なメディア接触をしているバランスのとれたグラフになっています。

このスタイルの中で、この多彩なメディア接触のバランスを一人で実現しているかのような人の1週間のメディアライフスタイルの例を挙げておきます。

「18.早寝早起き型(6時起床)」の1週間のメディアライフスタイル

逆にいうと、このスタイルに属するほとんどの人はこのような多彩なメディアに触れていることは少なく、ほぼ間違いなく個人ごとに特定のメディアへと偏っています。6時台に起床するという共通の特徴が際立っていたために、このタイプの人々の「メディア接触パターン」の分類が不十分にとどまった点はプロジェクトに残された課題かもしれません。

「深夜メディア族」の3スタイル

連載第3回の最後に、「⑤深夜メディア族」についてご紹介します。このグループには生活とその中でのメディア接触パターンの特徴が共にくっきりと表れています。

⑤「深夜メディア族」

まず「深夜メディア族」に共通する特徴は、今回の三つのグループの中で最も夜遅くまでメディアに接触して過ごしているという点です。男女比はやはり男性中心で、平均年齢も全て30代半ば前後と、若年層を中心としたグループです。

また、時間の過ごし方を見ると、三つのスタイルとも平日の日中を基本的に外出先で仕事や学校などで生活しており、他のグループと共通しています。ただし、その中で「22.均一生活・23時ピーク型」では、日中も2割ほどの人が在宅しており、仕事や学校の時間が比較的フレキシブルな人々のスタイルと考えることができます。

さらに、三つのスタイルが最も異なっているのは、土日も平日に近いぐらい外出している(「20.土日外出・22時ピーク型」)か、逆に、かなり在宅して過ごす(「21.土日在宅・23時以降ピーク型」)か、という点です。

今回は「21.土日在宅・23時以降ピーク型」を見てみましょう。

「21.土日在宅・23時以降ピーク型」は、典型的なホワイトカラーサラリーマン

「21.土日在宅・23時以降ピーク型」の特徴は、平日は日中ほとんど外出しているのに対し、土日は多くの人が在宅して過ごしているという点です。この特徴を示すために月曜日から日曜日までの7日間全ての過ごし方をグラフとして表してみます。

「21.土日在宅・23時以降ピーク型」の1週間のシークエンス

「21.土日在宅・23時以降ピーク型」のスタイルは、今回ご紹介している「日中の外出率が高い」3グループ・10スタイルの中で最も男性比率が高く、81.9%に上ります。職業を見ると、全30スタイルを見渡す中でも「事務・研究職」が占める割合が44.0%と最も高く、また雇用形態もフルタイム雇用の正社員が全体の76.9%を占め最も高くなっています。典型的なホワイトカラーサラリーマンのスタイルといえるかもしれません。

平日、このタイプの過半数の人が帰宅するのは夜22時台以降で、就寝するのはだいたい深夜1時から2時の間という夜型の生活パターンが基調となっています。その反動といえるでしょうか、土曜日と日曜日を見ると、日中でも5割以上の人が在宅しています。

こうした生活リズムの中でのメディアライフスタイルの特徴は、このスタイルの名前の通り「23時以降にピーク」を迎えている点なのですが、それ以外にも興味深い特徴が見つかります。

例えば、平日の帰宅後や土日の終日に赤く塗られた部分が目立ちます。これは録画した番組の再生(タイムシフト)視聴です。このスタイルの人々にとっては、テレビのタイムシフト視聴が、夜遅く帰宅して就寝するまでの限られた時間の中でリアルタイムのテレビ視聴に代わる効率的なコンテンツ接触機会になっています。また、土日のタイムシフト視聴が多いのは、平日時間がなく視聴できずに録りだめておいたテレビ番組を一気に視聴する、“リベンジ”の時間になっていることがうかがえます。

次に、このような生活を送っている男性40歳サラリーマンを1人取り上げ、1週間のメディアライフスタイルを見てみましょう。

「21.土日在宅・23時以降ピーク型」の1週間のメディアライフスタイル

ここに示したのは、40代に入ったばかりの男性サラリーマンの1週間の過ごし方です。月曜日から金曜日は、帰宅時刻が22時以降、時には23時台にまで及び、就寝が深夜1時台となっている日があることが分かります。また、その反動からか、土日はほとんど外出せず宅内でさまざまなメディアに接して過ごしているようです。

この方のメディア接触の基本は宅内でのテレビ視聴ですが、平日は、赤く塗られているタイムシフト視聴の方が青いリアルタイム視聴よりも長いことが分かります。さらに、若い世代の特徴といえるモバイルでのネット利用も深夜にかけて盛んです。一方、土日になるとテレビのリアルタイム視聴、しかも専念視聴が多く見られますが、やはり日曜日にはタイムシフト視聴が多くなっています。

本来テレビ好きでも、仕事が忙しくて平日はゆっくりテレビを見られない人々や、仕事以外でもモバイルなどでたくさんの世の中の話題にも触れているけれどもその一つとしてテレビ番組にも触れていたい、と考える情報意欲旺盛な人たちが、このスタイルの中心層を成していることがうかがえます。

ソーシャル・シークエンス分析から浮かび上がる「メディアの役割」

今回は、月曜日から金曜日まで日中基本的に外出している人々を中心とする三つのグループ、10のスタイルの特徴についてご紹介してきました。

「月~金外出族」では、一見して典型的なサラリーマンの生活リズムを送る点では共通していても、世代間のメディア接触の違いがスタイルとして色濃く反映されることが示されました。同じ生活リズムでも世代の違いにより、基調の役割を与えられるメディアが異なることが改めて示されました。

また、「土日在宅・23時以降ピーク型」スタイルで見たタイムシフト視聴は、時間の長さからいえば、他のグループやスタイルと比べて多いわけではありません(むしろ、前回ご紹介した在宅時間が長くリアルタイムのテレビ視聴が長いグループの方が、タイムシフト視聴の時間もはるかに多くなります。社会全体で見るとタイムシフト視聴がリアルタイム視聴を代替する役割を果たしているというのは実は正しくありません)。

しかし、その上で、タイムシフト視聴に、少ないリアルタイム視聴時間を埋め合わせる大事な役割を担わせている多忙な人々がいるという解釈も、ソーシャル・シークエンス分析を行うことで初めて浮かび上がってきました。こうしたことは、メディア接触の特徴を1日の視聴時間だけから解釈していると、決して見えてきません。

このように各メディアの役割は、世代の軸や競合-補完の軸で話題になることが多いテーマですが、ソーシャル・シークエンス分析を通じて具体的に可視化することができます。

次回は、不規則な生活を送る二つのグループ、8スタイルについてご紹介していきたいと思います。