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インフルエンサーマーケティング2.0No.3

インスタグラム投稿から見るインフルエンサーファンの姿

2018/10/15

第2回では、インフルエンサーのタイプ分類を行い、タイプごとの購買行動への影響力や、PR投稿への抵抗感の違いを明らかにしました。一方で、インフルエンサーから影響を受ける側のインフルエンサーファン※はどのような人たちなのでしょうか。

第1回でもいくつかのデータから、インフルエンサーファンの概観をお伝えしました。特に10代女性は、「身近さの醸成」から「商品購入」に至るまでの各パーチェスファネルで強い影響を受けていることが分かりました。

ただし、インフルエンサーを活用したプロモーションの効果は、一方的にインフルエンサーファンの商品認知や購買意向を高めることだけではありません。

例えば、インフルエンサーによるPR投稿を起点として、商品に関する口コミが広がったり、インフルエンサーとファンの間でやりとりが起こったりします。また、SNSに何らかの投稿を促すキャンペーンと連動させることも多くあります。そのため、インフルエンサーファンが普段どのようにSNSを使っているかという観点も重要です。

そこで今回、男女250人のインフルエンサーファンのインスタグラム投稿写真(直近11投稿)を分析し、その類似度から、インフルエンサーファンのタイプ分けを行いました。

※ “インフルエンサーファン”の条件
・主要SNSいずれかを1日1回以上閲覧
・「インフルエンサー」認知(言葉だけでなく、「なんとなく概念を理解」のレベル)
・「インフルエンサー」のページや動画を週1回以上閲覧している
・「インフルエンサー」の紹介する商品やサービスに興味を持ったことがある

インフルエンサーファンの6タイプ

今回の調査では、インスタグラムユーザーであるインフルエンサーファンを6タイプに分けて、それぞれの属性やインフルエンサーとの関係性などを分析しました。タイプ分けに用いた投稿内容は、類似度から10のカテゴリー※に分け、その構成比をレーダーチャートで示しています。

※セルフィー、ネコ、犬、海系、フードに加え、次の5カテゴリーがあります。
・「女子系」:ヘアスタイル、ヘアカラー、長い髪、女の子など
・「子供系」:子、幼児、おもちゃなど
・「光系」:イブニング、太陽光、夜、光、点灯など
・「シティー系」:ランドマーク、市街地、シティ、空、青など
・「木花系」:花、木、春、自然、フローラなど

では、この6タイプ、①等身大リア充タイプ②プチインスタグラマー③おでかけ写真家④料理レコーダー⑤カルチャー情報通⑥ペット好きさんをレーダーチャートで見てみましょう!

皆さんの身の回りにも、これらのタイプに当てはまるような方がいるのではないでしょうか?

この6タイプについて、インフルエンサーマーケティングにおいて重要な商品購入意向醸成と、PR投稿への抵抗を比較しました。

タイプによって大きな差がついており、インフルエンサーマーケティングとの親和性が異なることが分かります。本稿では、特にインフルエンサーの影響力を強く受ける、「等身大リア充タイプ」と「プチインスタグラマー」について解説します。

①等身大リア充タイプ

一般的な若年層のインスタグラムユーザーです。6クラスターの中で最も大きな構成比となっており、男女比は1:2。投稿内容は、特定のジャンルに偏っておらず、多種多様です。

使用しているハッシュタグの傾向は、オケージョン系(#ランチや#クリスマスなど)や場所・地名系(#東京や#ディズニーランドなど)が上位に挙がりますが、突出して多いものはありません。一方で、コミュニティー系(#○○さんと繋がりたい、#○○部など、インスタグラム内で仲間とつながるためのハッシュタグ)は少なくなっています。

何か決まったテーマを持って投稿しているわけではなく、友達と外出したときなどに自然体で投稿しているようです。リアルな友達とのコミュニケーションの一環として、インスタグラムを使用していると想像できます。1カ月当たりの支出金額のうち「イベントやフェス」に使用する金額は8227円で6タイプで最も多い金額です。

第2回で紹介したインフルエンサーの三つの指標「3R」のうち、人柄がよい・人望があること(Resonance)と、みんなが知っていて有名であること(Reach)を重視してインフルエンサーをフォローしています。

またインフルエンサーの投稿に求めることとしては、トレンド情報を教えてくれること41.6%(平均値よりも+9.4)が一番に挙がっています。

②プチインスタグラマー

20歳前後の女子学生が中心です。ファッション・美容などに関心が高く、いわゆるインスタグラマーという言葉から想像される投稿カテゴリーにもっとも親和性の高いタイプです。

周囲からは最新情報を聞かれることが多く、平均フォロワー数も全タイプ中もっとも高くなっています。

使用しているハッシュタグはオケージョン系が1番ですが、2番目にブランド系(カフエや服のブランドなど)が挙がっています。

インフルエンサーファンではありつつも、自分自身もインフルエンサーと同じように、「情報を発信する側」という意識が強いのではないでしょうか。

インフルエンサーに対しては、みんなが知っていて有名であること(Reach)を重視しています。自分自身も有名になりたいという気持ちの表れかもしれません。

インフルエンサーの投稿に対しての期待は、どの項目も軒並み高めですが、特に平均値と差がついているのは、トレンド情報を教えてくれること54.2%(平均値よりも+22.0)と、その人の好みが伝わる52.1%(平均値よりも+19.1)です。

効果的なインフルエンサーマーケティングのために

第2回では、インフルエンサーによって、ファンから期待される内容が異なっており、PR投稿の影響にも差があることを明らかにしました。

さらに本稿では、アンケートデータとインスタグラム上の投稿内容の掛け合わせによって、インフルエンサーファンのタイプごとのプロファイルを分析しました。それにより、インフルエンサーに対して期待する内容や、受ける影響はもちろん、SNS上の発信力や、使用するハッシュタグの傾向も見えてきました。

インフルエンサーファンには、情報の受け手としてだけではなく、発信者としての側面もあります。ここから得られたインサイトは、インフルエンサーを通じてクチコミを広げていくためのヒントにもなり得るのではないでしょうか。

以上のように、効果的なインフルエンサー施策の立案には、インフルエンサー自身と、ターゲットであるインフルエンサーファンの両面からの分析が必要です。その商材がマッチしているインフルエンサーは誰なのか。期待に沿った投稿内容になっているのか。どういったハッシュタグを用いることが適切なのか。

それには、インフルエンサーに関するデータの蓄積はもちろん、一部はソーシャルリスニングのような手法も必要になってきます。次回は、そのためのツールや手法をご紹介します。


【調査概要】
調査時期:2017年12月~2018年2月
調査会社:電通マクロミルインサイト、クロスリング
調査手法:インスタグラムデータのクローリングと画像解析、クラスタリング
サンプル構成:15~49歳の全国の男女250 人