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事業推進がうまくいかないときに試すべき「リソースハック」とは?

デジタルソリューションを乗りこなせ! 新規事業開発との向き合い方No.3

2019/01/15

事業推進がうまくいかないときに試すべき「リソースハック」とは?

新規事業・新規サービスを立ち上げた直後や、事業フェーズが変化した際に、事業推進がうまくいかなくなることがあります。

そういう場合、マーケティングやグロースハックといった施策ベースのサービス改善が必要なことももちろんありますが、デジタルソリューションの検討に入る前にチェックすべきことがあります。今回は「そのサービスや事業を内部で運営するチームの構成要素」に着眼し、課題解決をするための考え方、リソースハックと私が呼んでいる手法の切り口の一部をご紹介します。

<目次>
その1.事業を推進するための経営資源=リソースをチェック
その2. 四つの観点から “ボトルネック”をあぶり出す
リソースハックをする上で大切なこと
 
 

その1.事業を推進するための経営資源=リソースをチェック

うまく事業を推進できていないとき、事業オーナー(※1)の最も重要な仕事の一つは、事業を推進するための経営資源、つまり「リソース」に気を配り、最適な形に調整していくことです。

※1 役職や会社規模に限らず、あるサービスや事業の主体となる責任者


ここで最適化すべき事業のリソースとは、一般的にもよく使われる言葉ですが、いわゆる「ヒト・モノ・カネ・情報」です。

まず「ヒト」です。メンバーの人数、価値観や嗜好性、スキルなどを把握して、アサインの量と質が最適なバランスになるように決定していく必要があります。正社員だけでなくその事業で働く人すべての契約形態も全部合わせて考えます。つまり、あるタスクを内製するべきか、外注するべきかといった判断を含みます。

次に「モノ」です。オフィスの場所や、パソコンのようなハードを指します。サーバーや情報配信インフラなどのライセンスも含みます。事業に対して適切なハードやインフラを必要なだけ持っているのかを考えていきます。

「カネ」はキャッシュだけではなく、株式、債券なども含めて考えます。ベンチャー、スタートアップでは特に、キャッシュフローを見ていくことも大切です。

最後のリソースは「情報」です。デジタル/アナログを問わず、事業に関する情報と、その伝達事項のことです。公開/非公開のもの、構造化されているもの/非構造なもの、どちらも含みます。例えば、言語化されているコンセプトやサイバーセキュリティーのためのキー情報などが該当します。

「ヒト・モノ・カネ・情報」は、お互いが密に連携しています。求人広告に求人「情報」が出ているから「ヒト」が応募してきますし、人感センサーという「ハード(モノ)」があることで「データ(情報)」が集まります。また、営業の「ヒト」がいるから「カネ」を調達しやすいという考え方もあるでしょう。

連携するということは、例えば、「ユーザー調査をしたいが、人的なリソースがどうしても足りない」というケースで、「ヒト」以外のリソースで補完する選択肢もあるわけです。シンクタンクから既にある市場の「データ(情報)」を購入したり、レポーティングをRPA(※2)など「モノ」で自動化できるかもしれません。

※2 Robotic Process Automation(ロボットによる業務効率化)


プロジェクトがうまくいかないのは、多くの場合、この四つのリソースのどれかが足りていないことや、事業オーナーがリソース同士の関係を包括的につかめていないことが原因です。必要なリソースを調達し、かつ最適な形でマネジメントできるように、リソースの整理や把握を心がけましょう。

もしも問題点がいくつかあったときは、リソースの中でも最も影響が大きく、重要な「ヒト」から改善を行います。私が特に重点を置いて考えていることが、タスクを外注するか、内製するかの判断です。

【外注か内製かを判断する五つの観点】
観点1.スピード⇒早急に実施したいか/したくないか
観点2.知見化⇒自社で知見として持ちたいか/持ちたくないか
観点3.会話頻度⇒そのタスクで発生するコミュニケーションが定常的なものか/一時的なものか
観点4.総費用⇒人件費をコスト換算した場合の総費用でどちらが安いか
観点5.責任・判断⇒判断に大きな責任を持つべきものか/会社の事業戦略の軸となるものかどうか

ということを総合的に考えて判断しています。自分達がスキルとして実施できるかできないか、目先の予算を持っているかどうかといったことは関係なく、あくまでも五つの観点を優先して決定しましょう。

リソース

 

その2. 四つの観点から “ボトルネック”をあぶり出す

事業推進がうまくいかないときは、チーム内のどこかに“ボトルネック”があることもあります。

ボトルネックを見つけるには、チーム内の環境に目を向けることが有用です。具体的には「ゴール・プロセス・ルール・文化」の四つの要素を考えます。

■ゴール
「ゴール」とは定性的なミッション、定量的な事業指数(KGI・KPI)の両面で、「ビジネスとしてどこを目指すのか」を明文化したものです。

大事なのは、ミッションと事業指標の整合性です。例えば、定性的に「○○市場でリーダーになろう!」というミッションを掲げているのに定量的な売り上げ目標が市場の1%未満だったら、リーダーになることに現実味がなく、人を動かす説得力もありません。

■プロセス
次の「プロセス」とは、そのサービスや事業の「推進方法」です。会議体、メンバーの役職、役割分担、事業内の意思決定方法を可視化します。

「RPAなど人間以外による定期レポート」「役職通りではないキーマンの存在」「誰と誰が仲が良く頻繁に話しているという人間関係」などの要素も、推進のプロセスと考えます。

■ルール
「ルール」とは、現実的に動かせない、前提条件や決まりごとです。法律や条例に加え、大企業の人事制度や就業規則なども該当します。

もし事業オーナーがコントロールできないルールがあり、そのルールが完全に事業成長のボトルネックになっている場合、事業を成功・成長に導くためのルール改正への働きかけが必要となります。

■文化
最後の「文化」とは、チームが持つ雰囲気や明文化されていない価値観です。事業オーナーがワンマンで意見が言いにくい場にしていることも文化ですし、社内で困っている人がいたら自然と助け合う、プライベートまで仲が良いなども文化です。

事業ごとに適した文化体系があり、文化体系が「モノの調達へのプライオリティーの付け方」や「人材(ヒト)の定着」にも影響します。

四つの観点

事業推進に問題が起こったら、この四つの観点から考えていき、ボトルネックをあぶり出します。その後、ボトルネックとなっている要素に優先順位をつけて、一つずつ解決方法を考えます。

なお、この検証を実施する際には、ある意味サービスそのものの運営にメスを入れることになる場合もあります。紛糾させることのないよう、全体の議題にすぐに上げるのではなく、慎重に、そしてできるだけ建設的な言い方でヒアリングやディスカッションをしていくことが重要です。

リソースハックをする上で大切なこと

事業が伸び悩んでいるからと、対症療法的にソリューションを導入するよりもチーム内に潜む問題点を見つめ、根底の問題を発見した方が有効であることも多いはずです。

今回紹介した二つの方向からアプローチを行うリソースハックは、私が実際に事業推進時に使っている考え方です。

「リソースの最適化をしたいが、それ以前にボトルネックになっている要素がありそうだから、まずは四つの観点から検討しよう」または「ボトルネックになっている要素に当たりはついたが、根本的に解決するにはリソースの最適化から着手した方がよさそうだ」というように、その1、その2の両方向から考えることをお勧めします。

リソース配分や、チーム環境で何がボトルネックになっているのかというリソースハックで出てくる問題は、実際に検証してみると、事業オーナーやメンバーにとっては耳が痛い内容だったり、チーム内に共有しにくい内容もあります。

しかし、チーム一丸となって直視して、リスクや損失を可視化し、地道につぶしていくことが大切です。また、違和感があったときに言い出せる関係をチーム内につくっていきましょう。

どうしても言いづらい場合、事業への投資家や監査役、管轄している役員など、事業を俯瞰して意見が言える人がアサインされている環境であれば、その人から「ここが問題じゃないか」と言ってもらうことも手だと思います。

事業推進を妨げるような問題は、一度解決すればよいというものではなく、事業規模の変化や、内部・外部のささいな変化のたびに出てくる可能性があります。事業やサービスをより持続可能な経済活動にしていくため、ぜひ今回紹介したリソースハックを参考にしてみてください。