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radiko(ラジコ)はデータで“マーケティング装置”に変わる

メディアビジネスにおける「ラジオ」の新しい可能性No.2

2019/03/20

radiko(ラジコ)はデータで“マーケティング装置”に変わる

従来マスメディアと呼ばれてきたラジオが、変革を遂げようとしています。その中心にいるのは、スマホやPC、スマートスピーカーを通じてラジオを聴くことができる「radiko」(以下、ラジコ)というアプリです。

現在、ラジコが試験的に提供している広告商品「ラジコオーディオアド」(前回記事参照)では、ターゲットユーザーごとに音声広告の“出し分け”が実現しました。それによりこれまでのマス広告では実現できなかった柔軟な打ち手が可能となったのですが、ラジコオーディオアドの価値を引き出すためのカギは膨大な「データ」にあります。

本コラムでは、電通のマーケティング手法を “人”基点に統合したフレームワーク「People Driven Marketing」の観点から、ラジオの持つ大きな可能性について、電通データ・テクノロジーセンターの永田大貴がお伝えします。

<目次>
ラジオの効果を「人基点」で可視化するRadio Dotsが登場
「網羅性」「個人聴取」「DMP活用」ラジコログ三つの特長
新時代のマーケティング装置「ラジコオーディオアド」の強みとは?

 

ラジオの効果を「人基点」で可視化するRadio Dotsが登場

RadioDots

2018年11月、電通の「STADIA」にラジコの聴取ログデータ(以下、ラジコログ)を連携するためのツール、「Radio Dots」(ラジオ・ドッツ、β版)をリリースしました。

STADIAとは、テレビ視聴ログデータを中心とした生活者の行動データに基づいてデジタル広告配信や効果検証を行える、電通独自のマーケティングプラットフォームです。

STADIA
テレビ視聴ログ、OOHの接触データといったオフラインメディアでのユーザーの接触状況と、各種KPIへの到達状況を推定・分析し、広告配信につなげられる「STADIA」。2018年からは新たにRadio Dotsが加わり、ラジオ番組やラジオ広告への接触状況もSTADIA上で推定・分析できるようになった。さらに、電通のPeople Driven DMP(後述)とデータ連携し、広告配信することも可能。

従来のラジオでは番組や広告に接触した人を判定することが難しかったのですが、ラジコログがあれば、「広告や番組をどれほどの人が聴取してくれたのか」「聴取によってどれほどの人が行動してくれたのか」を、実行動ベースで把握することが可能です。今後は、より納得感のある形で、広告の価値をクライアントに伝えられるようになっていくと思われます。

ここからは、ラジコログというデータの持つ三つの特長を見ていきましょう。

「網羅性」「個人聴取」「DMP活用」ラジコログ三つの特長

People Driven DMPを活用した提案やデータ分析を行ってきた筆者から見て、ラジコログには大きく三つの特長があります。

■特長① ログの「網羅性」

2019年3月現在、ラジコには93の民放ラジオ局(※)が加盟しており、MAU(月間アクティブユーザー数)で700万人ほどのユーザーが利用しています。

※全国の民放ラジオ局は全部で101局(100社)

 

この網羅性とデータ規模がもつ意味は、「データの偏りが小さい」ということ。言い換えれば、「代表性の担保」(=世の中全体を偏りなくデータで表現できているか)を十分に達成できているということです。

実ログデータの分析で、「代表性の担保」はたびたび問題になりますが、ラジコログに関してはその問題は解消されているといっていいでしょう。

■特長② 「個人で」聴取するというメディア特性

ラジオ(ラジコ)には「個人でコンテンツや広告に接触する」という特性があります。このようなメディア特性により、広告やコンテンツの価値の検証が適切に行えます。

一見当たり前のようですが、広告の効果を検証する際に、個人でのメディア接触を判定することは時として困難なものです。例えばテレビの場合、世帯内において家族などの複数人で共有しながらコンテンツや広告に接触するケースが多くなります。

■特長③ DMP活用による広告価値の向上

ラジコでは個人を特定できない形式でデータを取得し、プライバシーポリシーに従って効果的な広告配信のために利用しています。その効果を高める取り組みの一つに、データマネジメントプラットフォーム(DMP)の活用があります。

DMPを活用するメリットは、ユーザーの属性に応じて適切な広告を配信できるようになることです。広告主にとっては「マーケティング効果の向上」、ユーザーにとっては「関心のない広告接触の軽減」といったメリットが生じます。

電通では7.5億ユニークブラウザのオーディエンスデータを持つ「People Driven DMP」を開発していますが、People Driven DMPのデータを起点にラジコオーディオアドの配信を行うことで、より高い広告効果が得られることが期待されるでしょう。

新時代のマーケティング装置「ラジコオーディオアド」の強みとは?

ラジコログの持つこれら三つの特長は、「ラジコオーディオアド」の配信や広告効果の分析において非常に重要です。

たとえユーザーの行動を分析し、効率的なターゲットや的確なユーザーモーメントを理解できたとしても、それを速やかに、かつ検証可能な形で施策につなげられなければ効果は薄いでしょう。その課題を解決するのが、ラジコオーディオアドです。

ラジコオーディオアドでは、設定したターゲットごとに別のラジオCMを配信できます。さらにRadio Dotsを活用することで、配信結果をもとに「どのようなターゲットに対してどのような広告が有効か」を分析し、再びラジコオーディオアド配信につなげるという形で、PDCAを回すことができます。

ラジコオーディオアド
地上波のラジオCMの常識を覆すラジコオーディオアド。リスナーのセグメントごとに異なるラジオCMを出し分け、さらにRadio Dotsにより広告効果の検証も可能。

従来のラジオCMは、リーチという観点からは、テレビなどと比べるとどうしても見劣りする面があったと思います。しかし、そもそもラジオというメディアの素晴らしさの指標は、リーチする力だけなのでしょうか?

ラジオの持つメディアとしての特性は、主に以下のようなものです。

  • コアファン……ニッチだからこそ熱狂的なファンがいる、また聴取者の関与度が高い
  • ながらメディア……移動中や作業中など、何かをしながら聴くことができる
  • 多方向性……パーソナリティーとリスナーという関係に加え、SNSを通じての他者とのコミュニケーションが活発

これらのメディア特性は、マーケティングを考えたときにとても重要な要素です。

例えば、「ながらメディア」であるということに着目し、リスナーが外出している可能性が高いときにラジオCMを配信することで、来店を促進できる可能性がぐっと高まると考えられます。こうした効果のことを広告のリーセンシー効果と言ったりします。

上記以外にも、ラジオ特有のメディア特性はいくつもありますが、それらの素晴らしさを伝えることが、これまで必ずしも十分にできてこなかったように感じます。それは広告においても、コンテンツにおいても然りです。

今、その状況を変えることができる時が訪れようとしています。生活者のインサイトを理解して、適切な人に適切なタイミングで適切な情報を届けられるようになったラジオは、そのメディア特性を最大限に生かした新たなマーケティング装置へと進化していきます。

その鍵を握るラジコオーディオアドと、Radio Dotsの今後にご期待ください。