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ジャパンブランド調査2019から考える、今の日本・これからの日本No.7

2019/12/18

日本といえば「食」の時代~今、求められている日本食とは?~

本連載第3回では日本でやりたいことのトップが「日本食を食べること」であること、第5回では優れていると思う日本の物事、興味関心のある日本の物事のトップが両方とも「日本食」であることを紹介しました。

アジア諸国やハワイ、ニューヨークなど、日本人がよく行く旅先でも日本料理のお店があるのを目にします。かつては「日本食」といえば「寿司」一辺倒という印象でしたが、今はどうなっているのでしょうか? 

2018年12月に20カ国・地域で実施した「ジャパンブランド調査2019」から、これからのインバウンドビジネスのヒントを探る本連載。今回は「日本食」に焦点を当て、深掘りしたいと思います。

「日本食といえば寿司」は健在。新たに「日本酒」「ラーメン」が登場!

日本の食べ物 認知・経験・今後の意向 認知上位20項目

日本の食べ物で知っているものは何かを聞くと、トップは「寿司」。次いで「日本酒」「ラーメン」という結果になりました。「日本酒」の認知は高いですが、アルコールである影響か、経験や今後の意向はあまり高くありません。経験も今後の意向も高い「ラーメン」の方が、世界的に人気が高そうです。

性年代別で見ると、日本食、特に日本料理については女性、中でも20~30代の若年女性がよく知っている傾向がありました。女性20代では「ラーメン」の認知が6割を超え、「そば/うどん」も半数の人が知っているなど、全体的にスコアが高い結果でした。

日本の食べ物 認知トップ5

3年前(2016年)の結果を見てみると、「寿司」は認知・経験・今後の意向すべてでトップとなっており、この傾向は調査が始まって以来変わらず、不動の1位をキープし続けています。

しかし特に「認知」について比較してみると、2位以下は大きく順位を入れ替えており、この3年間で急速に日本食の幅が広がっていることを感じます。上位に入っていなかった「日本酒」が2位に、4位だった「ラーメン」が日本食の代名詞だった「刺身」と「天ぷら」を抜いて3位にランクインしました。

背景には、訪日する多くの外国人観光客の体験や口コミの発信が大きく影響していると思われます。2018年度の調査で訪日経験者に「日本でやったこと」を聞いてみたところ、「日本食を食べた」という人が8割強で1位。また日本に来た外国人観光客が、自国で食べる日本食との違いに驚き、その様子を撮影した動画が広く拡散されています。本物の日本食の面白さ・美味しさが発信されることで、さらに日本食への理解が深まり、関心が高まっていると考えられます。

アジアは和牛、欧米は野菜や果物。エリアによって食べたいものが違う!

今後食べたいと思う日本の食べ物 トップ5

続いて、「今後食べたいと思う日本の食べ物」の回答結果をエリア別に見てみると、それぞれ傾向が違うことが分かります。東アジアでは「寿司」を抑えて「牛肉(和牛)」がトップ、ASEANでも「牛肉」は5位にランクインしていることから、アジアにおける「和牛」の人気の高さがうかがえます。

一方、北米では「野菜」がトップ。欧州でも2位以下は「米」「魚介類」「果物」「野菜」と食材が占めています。欧米、特に欧州ではまだ日本料理のバリエーションが知られていないということもありますが、食材への関心が高いことが特徴的です。

2018年度の調査では「日本の食材のイメージ」を聞いていますが、「品質が良い」「見た目(色・形など)がきれい」といった項目が上位に挙がっていました。

前回の記事でMade in JAPANのイメージについて「品質」への評価が高いと書きましたが、食材でもそのイメージが持たれており、見た目がきれいな食べ物の今後のポテンシャルを感じさせます。

日本の食品を買いたくなるのはどんなとき?エリアごとの違いに注目

日本食材を購入したくなる情報源・機会 トップ3

欧米でも関心の高い日本の食材・食品ですが、日本政府の推進もあり、今後ますます輸出量が増えていくことが予想されます。日本の食材・食品を買ってもらうためには、どのような取り組みが効果的なのでしょうか。

日本のことをよく知る東アジアでは、「本場の日本での評価や食べ方」を知りたいと思う人が多く、親日度の高いASEANでは生産者の紹介や生産過程の説明など、「日本でその商品がどのように作られたか」に重きを置く傾向があります。

欧州・北米では、日本食がまだまだ知られていないので、まずはどのようなものかを知る「試食」やその使い方について知りたいと思う傾向があることが分かりました。この結果を見ると、日本との心理的な距離感や日本食の浸透状況の違いも踏まえた、エリアごと、国ごとの売り込み方を考える必要性に改めて気づかされます。

インバウンドをテーマとした連載を通して、外国人観光客が増えているだけではなく、その人たちを起点に、日本の製品のイメージや評価の高まりや、日本食の広がりを実感することができました。また、日本に対する意識には、エリアごとに差が大きいことも改めて分かったのではないでしょうか。

2020年、さらに2025年大阪・関西万博に向けて、インバウンドを起点にビジネスチャンスはまだまだ広がっていきます。特に来年は今後の日本を左右する大きな節目になる年。まだ日本に来ていない人・関心がない人を、このチャンスを生かして巻き込んでいくためにはどうすればいいのか。翌年以降につなげられるよう、この調査結果も参考に施策を立てていただければと思います。


ジャパンブランド調査2019の概要
・目的:食や観光、日本産品など「ジャパンブランド」全般に関する海外消費者の意識と実態を把握する
・対象エリア:20カ国・地域
中国(グループA=北京、上海、広州、グループB=深圳、天津、重慶、蘇州、武漢、成都、杭州、大連、西安、青島)、香港、台湾、韓国、インド、シンガポール、タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピン、オーストラリア、アメリカ(北東部・中西部・南部・西部)、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ロシア、トルコ
※今回は、過去の調査の推移で変化の少なかったブラジルを除外し、インバウンドで注目が高まるトルコを追加しました。
・調査手法:インターネット調査
・対象者条件:20~59歳の男女 *中間所得層以上
 *「中間所得者層」の定義(収入条件):OECD統計などによる各国平均所得額、および社会階層区分(SEC)をもとに各国ごとに条件を設定
・サンプル数:中国はA・B300名ずつで計600名、アメリカは600名、それ以外の地域は各300名の計6,600名
・調査期間:2018年12月
・調査機関:株式会社ビデオリサーチ