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超高齢社会の課題解決ビジネスNo.1

2019/12/19

超高齢社会の課題解決ビジネスにどう取り組むか?

新しいビジネスチャンスの「超高齢社会」

シニアの生活風景

日本は、世界で最も高齢化が進んだ国であることは、すでに多くの皆さんはご存じのことでしょう。2018年時点の日本の高齢化率(人口に占める65歳以上比率)は28.1%。人口の3割弱が高齢者です。今後、高齢化は一層加速します。2060年には人口の4割近くが高齢者となると考えられており、その中でも特に増えるのは後期高齢期(75歳以上)の人々です。

一般に人間は、後期高齢期になると多くの人がさまざまな身体機能に支障や不調を来すようになります。目の見えづらさ、耳の聞こえづらさ、腰や膝の痛みなどの有訴を感じる比率が高まり、高血圧症、糖尿病などが原因となり重症化する率も増加します。さらには、身体認知機能の低下で介護状態となったり、転倒、窒息、交通事故など不慮の事故に遭遇する可能性も増加します。

高齢者数が増加することは、結果として高齢者由来の社会課題を引き起こすことになってしまうわけですが、‟こうした社会課題解決をビジネスとして取り組みましょう“というのが本コラムの主張です。

高齢社会課題に「ビジネス」として取り組む意義と理由

今まで、こうした高齢者の課題解決に取り組んできたのは、主に行政や自治体、医療法人、社会福祉法人、NPOの人々でした。活動の財源は主に社会保障給付費などの税金や社会保険料が中心です。しかし今後、人口減少が進み、成熟した経済成長局面に移行した日本において、これらの財源に頼り続けることには限りが生じます。むしろ、こうした課題をビジネスチャンスと捉えて、果敢にチャレンジしていくことが、これからの日本において求められているのです。

高齢社会の課題解決ビジネスを後押しする三つの理由

ビジネスチャンスを後押しする背景には主に三つの理由があります。一つは、高齢者絶対数の増加です。現在の高齢者数は3557万人(2018年)ですが、この数は2040年には、360万人増加し、3921万人となります。人口減少社会の中で唯一伸びるセクターなのです。彼らの全てが大きな課題を抱えるわけではないですが、課題潜在市場と捉えることは間違いではないでしょう。

二つ目は、日本のみならず世界各国においても、高齢化が同様に進むという事実です。とりわけその傾向は先進諸国、アジア各国において顕著です。アジアの高齢者は、現在の3億3150万人(2015年)に対し、2040年には2.4倍の8億239万人に増加すると予測されています(国連推計)。

高齢化が先行する日本市場において、新たな高齢課題解決ビジネスのモデルや商品を生み出すことができれば、世界市場につながる大きな可能性を秘めているのです。そうしたビジネスの芽は既に出始めています。具体的な事例については、本連載の第3回でご紹介したいと考えています。

そして理由の三つ目は高齢者そのものの内実の変化です。高齢者数が増加すると述べましたが、その中身は現在と同じではありません。今後高齢者の仲間入りを果たしていくのは、団塊世代をはじめとする戦後生まれの人たちです。彼らは、物心ついて以降、日本の高度経済成長とともに育ってきた人々。戦前生まれの人たちが、どちらかといえば節約や倹約を美徳としたのに対して、戦後生まれの彼らは、消費する喜びを知っている。

今まで高齢者向けの商品やサービスは、自分自身で選択するというよりは、息子や娘が買い与えるといった性格の商品も多かったですが、これからは、本人の選択眼がモノをいいます。シビアな彼らのメガネに適う商品・サービスが開発できれば、可能性は大きく広がっていくことでしょう。

高齢社会課題の対応の幅は大小さまざま

冒頭で、高齢社会の社会課題と大上段に構えましたが、課題の大きさや幅は実はさまざまです。個人の日常生活のちょっとした困難をサポートし、将来の状態悪化に備える「予防」視点のサービス・商品開発も、課題解決のひとつでしょう。個人の日常生活や社会生活の健全な維持が困難となった場合に、地域住民でサポートする体制を構築すると「コミュニティーにおける課題解決」もその範疇に含まれます。

もちろん、交通事故防止や災害時に被害者となりやすい高齢者の救済防止視点での課題解決、認知症高齢者の日常生活をいかにサポートするか、といったアプローチも高齢社会の課題解決テーマなのです。

高齢社会における課題の整理

社会課題テーマは、大きく個人・地域・社会という三つのレイヤーに分けることができます。①加齢により日常生活に困難(身体機能、五感機能、認知機能)を抱えた個人が増加し、そうした人々の、②周辺環境の変化(単身化、人口減少、過疎化など)が重なることで、地域そのものが各種の困難(買い物難民、コミュニティーの消失)を抱えるようになる。そして、さらには全国レベルで②高齢化由来の社会課題事象が多発(高齢者により交通事故、認知症による行方不明者の増加)こうした個人、地域、社会といった各レベルで社会課題が発生しているのです。

もちろん、これ以外にも解決すべきさまざまな課題事象があります。まずはそうした課題事象の中から、何をテーマに取り組むべきか考えていきましょう。自らの身の回りに起こった課題でも構いませんし、新聞やニュースで取り上げられた記事なども課題意識の醸成に参考になるでしょう。

以上、第1回は超高齢社会における課題解決ビジネスの全体像についてお話ししました。次回はいかにビジネステーマとして課題発見し、ビジネス開発につなげていくかお話ししたいと思います。

書籍『超高齢社会の「困った」を減らす 課題解決ビジネスの作り方』もご覧いただけましたら、幸いです。