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初めまして!「クラフトPR」No.1

2019/12/23

コミュニケーションの新潮流?
「クラフトPR」って聞いたことある人、手挙げてー!

今、本当の意味での広告とPR、言い換えればクリエーティブとPRの本質的連携、融合が求められる時代となっている。そんな新たなステージで新機軸の提案を行うために立ち上げられた「dentsu CRAFTPR Laboratory」について、電通パブリックリレーションズの井口理氏と電通のクリエーターの橋本怜悦氏が語った。

左から電通・橋本怜悦氏、電通パブリックリレーションズ・井口理氏
左から電通・橋本怜悦氏、電通パブリックリレーションズ・井口理氏

Q:「クラフトPR」という言葉の出自は?

井口:「聞いたことある人、手挙げてー」と書きましたが、造語なんで誰も手、上げてないですよね、多分。(笑)実はこれは2019年のカンヌライオンズで、PR部門の審査委員長が「PR is a Craft, Not a Channel」と語ったところからきています。その意味においてはいろんな解釈があると思いますが、われわれはこれを「メディアを含む第三者経由のアプローチだけがPRの主戦場ではない」ということを言い表したのだと受け取りました。そういう「限定されたチャネル」ではないということです。

昨今、PRに関心が高まる一方で「PR=パブリシティー」という一元的な理解が蔓延してしまっていて正直「これはヤバい」と思っています。「パブリシティー」はPRにおけるひとつの手法でしかありません。PRは広告も含めたさまざまなソリューションを駆使して、生活者や社会の理解と共感をつくり、最終的な着地点へと導くこと。その役割は統合コミュニケーション戦略の指揮官であるべきという気持ちがあり、これを機に再度こういった誤解を払拭すると共に新しい価値ややり方を示さねばと思ったんです。

今回出てきたこの「Craft」という言葉はクリエーティブではすでに当たり前に定着しているところに、「何かブリッジできそうだな」とわれわれは考えました。折しも私が2012年にカンヌの審査員をしたときのPR部門審査委員長が「PR業界には表現力が不足している。これは大きな反省点である」と嘆いていましたからPRもクリエーティブをもっとうまく活用しなければいけない。今まさに、この「Craft」という言葉がきっかけとなって「クリエーティブとPRの連携」を見直す時期なんじゃないかなと思ったわけです。

2019年PR部門グランプリ「Tampon Book」(掲載許諾:Female Company)
2019年PR部門グランプリ「Tampon Book」(掲載許諾:Female Company)

事例解説
ドイツの生理用品に掛かる高い税制の変更を迫る取り組みで、エントリーしたのはドイツのオーガニック生理用品販売をするThe Female Company。実はドイツの消費税は標準税率が19%と非常に高く、食料品や水道水といった生活必需品や新聞雑誌、書籍といった文化的なものは軽減税率として7%の設定となっている。一方で、それらのカテゴリーに入るということから、いわゆる贅沢品と言われそうな食品であるトリュフやキャビア、文化関連でいえば油絵なども7%と低い税率である。

ドイツ人は内税方式に慣れきってしまっており、あまり「何々の税率は高い!」といった不満は噴出しないようだが、女性の生理用品であるタンポンもそういった矛盾する税率の中、19%という高い税率で置き去りになっていたという。このアンフェアな事実を顕在化させ、議論し変更させるために行われたのがこの取り組み。

書籍にかけられる消費税が7%(生活必需品のカテゴリー)であることを逆手に、15個のタンポンが入った46ページの本として販売することで税率の矛盾を突いた。「言われてみればひどいよね」と、これに気付いた女性たちが一斉に声を上げ、税率を議論する議会でも女性議員が賛同し、50年ぶりに税制改正への動きが始まる。国内での署名は瞬くまに17万を超えており、社会を巻き込んだ事例となっている。

生理用品を書籍としてリポジショニングする、またその書籍には女性の生理が自然の摂理であることをイラストなど用いて分かりやすく伝えており、こういった表現にクリエーティブ力が存分に生かされているといえるだろう。

例えば、2019年のPRグランプリである「Tampon Books」。これはPRとデザインひいてはクリエーティブが高い次元で融合し着地をしている好事例です。PR目線で紡いだストーリーを、より分かりやすく伝えるための表現としてクリエーティブが生きている。これを見ても分かるようにクリエーティブも今後はクライアントの真の理念を共有し、共に歩む存在として全体設計の中でどのような関わり方ができるのかを常に考えていかねばならない状況なのではないかなと。

実際に営業戦略や事業企画、さらには経営企画などにも意見が求められる場面は日々増えてきていますから。そんな中、昨今いわれる「企業の社会的存在意義」の再確認、またそれらをいかにコミュニケーションへ融合していくかの提案が期待されるようになっています。次の時代に向けて、クライアントと共に“あるべき姿”を突き詰め、その実現のためにどのような軸足でアプローチしていくのか、これを考えたときにクリエーティブとPRの融合でクライアント貢献するというのがチームの目標です。

Q:実際にクリエーティブとPRの連携、融合はどのようになされるのでしょうか。
 


橋本:僕らが目指すのは、社会における生活者の関心をベースに、企業・団体といった情報発信主体側のメッセージを「クリエーティブ×PR」の目線で融合させ理解促進、共感醸成を達成するコミュニケーションプランニングです。例えば僕らはかなり長い年月一緒に仕事をしています。僕らのやり方はクリエーティブとPR双方の視点でつくられたストーリーを持ち寄り、ビジュアルやファクト、その他アウトプットに関わる要素までをすべて検証した上で最適な解を提供する、というものです。

そもそもクリエーティブ領域には「Craft」という言葉がありましたが、それはメッセージを伝えきるその表現力、また品質のことでした。同じく今回、PR領域でも「Craft」という言葉がフィーチャーされましたが、これはあらゆるコミュニケーション施策を統合し、意識変化、態度変容まで導く推進力だと定義づけました。

これまでのクリエーティブとPRの連携は、広告表現に話題になりやすそうな要素をまぶしておく、あるいは動画クリエーティブをPRで拡散させる(バズをつくる)といったところにとどまってしまっていた。今回の連携ではもっと深いものを目指します。

企業の意思をくみ、さまざまなコミュニケーションにきっちりと練り込んでいく。その連携自体が既にストラテジーでもあり、また企業好感度を上げるコーポレートコミュニケーションの要素も持ち合わせるといった高いレイヤーで実行されます。そういうプランニングの最上位レイヤーでこの有機的な連携、融合を実現します。

CRAFTPR

Q:今後の活動スケジュールについて教えてください。

井口:まずはこの「クラフトPR」の概念を皆さんに知ってもらうべく、国内外の事例などをひもときながら実際の業務に取り組んでいきます。この概念に興味のあるクライアントや営業さんをはじめ、クリエーター、マーケター、PRパーソンなど、いろいろな領域の方が声を掛けてくれることを期待したいですね。

われわれが目指すのは目前の仕事ではなく、そういった業務領域の進化です。現場的な仕事の中で、現在のマーケティングの変化を理解しながら、それに応えるコミュニケーションプランニングを実践していく、そういった立場を目指しています。また日々積み重なる事例をひもとくことで、「クラフトPR」の業務推進に理想的なチーム体制やプランニングプロセスなども、どんどん共有していければと思っています。

「クラフトPR」のサイト
「クラフトPR」のサイト

橋本:「dentsu CRAFTPR  Laboratory」はラボという体を取っていますが、研究で終わるものではありません。日々の取り組み、すなわち実践を踏まえた上での知見の蓄積とさらなる実務への反映をスパイラルに展開していきます。僕らの事例を中心にしたworksサイトを立ちあげたので是非皆さんに見てほしいですね。それぞれがどういう視点で仕事に取り組んでいるかなどその立ち位置やプロセスがよく分かると思います。またここからダイレクトに仕事の相談もできるようにしていますので、まずは一声掛けてくだされば。この最初の会話だけでも皆さんに何かを残せる自身があります(笑)。

問い合わせ先:offer@craftprlaboratory.com


【dentsu CRAFTPR  Laboratory】

 困っている人、手をあげてー!今から会いに行きます!

dentsu CRATPR LABORATORYは、クリエーティブとPRの高次元での融合をベースに、クライアントの真の課題に対し、その社会的存在意義を背景としながら統合コミュニケーション提案をする専門集団です。日々のマーケット状況や社会環境を把握しつつ、最新のデータや社会目線を取り込み、最適なソリューションを提示いたします。