「15秒おしごとTV」
経営者1000人と出会った先に。
2020/01/07
中小企業と創る、新スタイル求人広告
2020年1月6日に公開した「日本の企業は、バラエティ。15秒おしごとTV」は、“17社の中小企業の魅力を15秒動画で紹介する、新スタイル求人広告”です。その企業にしかない思いや、そこでしか体験できない仕事を可視化し、がんばる企業・団体を応援することを目的としています。
「中小企業白書2019」によると“経済の好循環が中小企業にも浸透しつつある”とあり、経常利益も“過去最高水準となった17年とほぼ同水準で推移”とあります。しかし、19年末から景況指数は低水準に。20年4月からは、中小企業でも働き方改革がスタートするなど、規模の大きくない企業にとっては難しい局面を迎えます。
とかく大企業に目がいきがちな昨今、多様な仕事、働き方、志を持った中堅中小企業や団体に注目し、独自の技術や思いを若年層も含めた多くの方に知ってもらうことで、日本経済を元気にすることを目指しました。日本経済新聞社と中堅中小企業17社、電通がONE TEAMで取り組んでいます。
「社歌コン」の反響から「中間管理職劇場 マルマルの女」へ。
2016年に立ち上げ、これまで3回実施した「社歌コンテスト」は、企業の社内外コミュニケーション活性化を目的に、社歌動画日本一を競う企画です。3回目の2019年は、日本経済新聞社が主催、JOYSOUNDが特別協力になり、174社から応募がありました。うれしいことに、これまで多くの参加企業からたくさんの好意的な反響を頂き、企業の魅力をこれまでと違う切り口で表現し拡散すれば、一定の成果(ブランド強化・採用促進)につながる、と身をもって感じました。
そこで2019年3月、中小企業の採用促進に向けた新企画「中間管理職劇場 マルマルの女」を立ち上げました。
20社の中堅中小企業で働く女性をウェブで取り上げ、ドラマ仕立てのクリエーティブと記事で紹介するものです。参加企業からは、「普段、地道に頑張る社員に注目が集まってよかった」「日本経済新聞に取り上げられるという夢がかなった」「企画を見て学生が入社を希望してくれた」など、ポジティブな反響をもらいました。
「15秒おしごとTV」で企業の魅力を集約
「社歌コン」同様に、大きな反響のあった「マルマルの女」でしたが、サイトの閲覧数やSNSでの拡散には、まだ伸びしろがあると思っていました。
今回の「15秒おしごとTV」は、マルマルの女に次ぐ、中小企業PR企画第2弾という位置付けです。これまでの企画をブラッシュアップし、最初のインパクトを強めることを念頭に「企業の魅力を15秒に集約する」という手法に切り替えました。
おしごとTVには、多くの人が関わっています。17社の参加企業の皆さん、日本経済の背中を押すという使命感を持った日本経済新聞社、社歌コンを一緒に創ってきた、電通パブリックリレーションズの井上大輔さん、CDCの外崎郁美さん(電通ギャルラボ代表)、鎌田明里さん、5CRPの小松崎舞さん、電通クリエーティブフォースの高杉蒔さん、新聞局の川島里佳子さん、ロボットの林隆行監督、須藤江理さん、宇都宮渉さんら、組織も立場も違うメンバーですが、同じ熱量でそれぞれの強みを発揮しています。
1000人の経営者と会い、見えた中小企業の魅力
社歌コン立ち上げ時に相談に乗っていただいた、「情熱の学校」エサキヨシノリさんの紹介もあり、数年かけて約1000人の経営者と会いました。そこには、中小企業ならではの斬新かつ人情味あふれる取り組みが多数ありました。ミナロの緑川賢司社長が創った、喧嘩ゴマで町工場の技術を競う「世界コマ大戦」、浜野製作所の浜野慶一社長が中心となり、町工場の力を結集した深海探査艇「江戸っ子1号」、中小企業の工場でライブセミナーを行い、20以上のオリジナル曲だけで5時間来場者を引きつける「Passion Lives Here Band」、高橋和勧監督による地域連携をテーマにワークショップまでついたロングラン映画「未来シャッター」、マテリアルの細貝淳一社長率いる大田区の企業技術でオリンピックを目指す「下町ボブスレー」など。
経営者では、オリジナルDMに特化し、最高売り上げと働き方改革を両立させた、ガリバーの中島真一社長、ダルマ塗料シェア1位から環境事業でも活躍する島田商店の嶋田淳社長、サプールを応援し、社員のスター性を前面に出す電子部品メーカーフジコンの大島右京社長、ゴム屋魂で人々を魅了し、NIKKEI全国社歌コンテスト情熱賞を受賞したダイワ化工の大藪建治社長、釣り竿用ソリッドでシェア1位である平家製作所の平家利也社長ら、枚挙にいとまがありません。
そこで見えたのは、ただ商品を売るだけではない、人々を熱くする「コンテンツメーカー」としての中小企業の魅力でした。市場調査やフレームワークだけに頼り、やる前から正解を求めて動けなくなるのではなく、ある程度調査した後は自分の感性と情熱を信じて、「正解は自分で作るものだ!」と打ち出した企画の方が、爆発力があることも体感できました。だからこそ、こういう人たちと一緒に仕事がしたいという思いが強くなったのです。
売り上げは、笑顔の総量
一連の活動を通して私が強く感じたのは、「売り上げ=笑顔の総量」だということです。成果を出す経営者は皆さん、最初に数字を求めるのではなく、とにかく人を喜ばせ、笑顔にするためにはどうすればいいか?と考えています。その結果として、後から数字が付いてきています。そして、その笑顔はお客さんだけではなく、“自分たちも笑顔に”という点がポイントです。自分達が楽しむからこそ、その情熱は伝播していくのだと思います。15秒おしごとTVが、そんな笑顔を生む企業と誰かをつなぎ、小さくてもポジティブな何かが生まれたとしたらこれほどうれしいことはありません。