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クリエイティビティーの過去、現在、そして未来No.5

2020/03/23

クリエイティビティーの行く末とは? 〜白土謙二、提言する〜

拡張するクリエイティビティー

(編集部注:本コラムは、2019年8月5日に電通第3CRプランニング局で実施された白土氏の講演を再編集したものです)

 

我々はいま、クリエイティビティーとはなにか?ということを見失いかけている

4回にわたって「クリエイティビティーの過去、現在、そして未来」というテーマでお話ししてきましたが、クリエイティビティーの源は、一言でいうなら、「想像力」(imagination)だと思います。 

「想像力」(imagination)とは、なにか?もう、お分かりですよね。疑うこと。思いめぐらすこと。考えること、思いつくこと。トライすること、そして、実現することです。

製造現場の人と会う。何に困っているか聞く。経営者と会う。何に困っているかを尋ねる。「想像力」を無限に働かせながら、相手のことを知る。相手の懐に飛び込む。そうしたことから、みんな、逃げている気がする。

それが、今回の連載コラムで、私が一番お伝えしたかったことなんです。

ビジネスに成功事例はいくらでもあるけど、100%成功が約束されたケーススタディーなどというものは、どこにもない。だから、違うジャンルの人と会う。知らない本を読む。そして、想像力を膨らませていく。

ちょっと過激な言い方になりますが、電通、あるいはこの業界は、もはや周回遅れになってきている。そのことに気づいていないのではないか。あるいは、気づいていても、どうすればいいのか分からなくなっているのではないか。

いわゆる広告の制作現場から距離をおいて久しい私ですが(現在の私の肩書は「思考家」です)、そのことを危惧しています。

物事の本質を見極めること。 クリエイティビティーを語る上で、それが大切なことだと思う

 

僕が電通のインタラクティブ・ソリューションセンターでリーダーを務めていたときにつくったオフィスについて、お話しします。

畳の部屋もある広い空間で、作業台としても使える卓球台は、使わない時には折り畳むことができる。机は分解できて、自分たちで組み立てられるようになっている。フリーアドレスで、ノートブックはあるものの自分のデスクはありません。
 
日本の古い建築でも、書斎は北側に作るのが当たり前なんです。外の景色を見ながら働く人って、いないでしょ。光が入ってパソコンが光ったら、みんな目を悪くしてしまいます。北側に作った方が、温度差も上下しないし、光も入ってこないから集中して仕事ができる。

そういう当たり前のことが、現代のオフィスでは体現できていない。まさに、想像力の欠如から起こることだと思います。

社会環境課題解決を企業活動と組み合わせれば、チャンスになる

たとえば、SDGs。いまは怪しいくらいのブームですけど、これをブームと捉えずに、社会環境の問題は山積しているわけですからそれと企業活動とを組み合わせれば、色々な提案が必ず出来るはずだし、日常作業をちょっとでも拡張していけるはず。

それを、クライアントと一緒に勉強するところから始めてみてもいいと思っています。なんなら、競合相手といっしょに、その業界全体で考えたっていい。

誰もやったことのないことを「実験」するのだから、自ら垣根をつくってしまうのは、もったいないことだと思うんです。

「クリエイティビティーの過去、現在、そして未来」5回にわたる連載コラムにお付き合いいただき、ありがとうございました。

過去の広告から、クリエイティビティーのもつ普遍的な「型」を学ぶこと。
現代企業が抱える「課題」と対峙し、その本質を見極めること。
「好奇心」と「想像力」をもって、未来と向き合い、解決に挑むこと。

大事なことは、表現に逃げないこと、表現で満足しないこと。広告という枠組みで磨いてきた私たちのクリエイティビティーは、ビジネスを革新させるだけでなく、社会をより良くする力としても、今後ますます必要とされるのだから。

この連載が、皆さまの未来、そしてクリエイティビティーの未来になんらかのヒントを提供できたなら、こんなにうれしいことはありません。