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電通クリエイターによるアート展「ONE CREATIVE」ReportNo.3

2020/04/07

見たいものをつくる、というモチベーション。

2月16~29日、東京・日本橋のgalerie H(ガルリアッシュ)で電通クリエイターによるアート展「ONE CREATIVE」Vol.2を開催。

ONE CREATIVE ロゴ

普段、広告をつくっているクリエイターが、クライアントの課題解決という形ではなく、内面から湧き出るものをカタチにしたらどうだろう、というこの企画。 シリーズ第3回では、第1CRプランニング局の平田優アートディレクターに話を聞きました。

作品01
 

一期一会の感情を切り取る。

ギャラリーに入ると、2面の壁にまたがるように複数の絵がつながって展示されていて、よく見ると、マスクをつけた人の顔らしきものがびっしりと描かれています。 額縁などに入れることなく、描いた紙をそのまま壁に張り付けるシンプルな展示方法が印象的です。

──これは、どういったテーマでつくられたものですか。

同じようでいてちょっとずつ違うもの、それらがいっぱい並んでいるのを見るのが大好きです。自分が見てみたいものをつくる、ということをテーマにしています。今回はマスクを被ったいろいろな表情の顔をたくさん並べました。

作品「マスク」
作品「マスク」
作品「マスク」

──水彩ならではの色のにじみがとてもきれいです。同じマスクをつけた人がいるかな 、と思ってよく見てみましたが、全部違いますね!ところで、なぜマスクなんでしょう?

感情が表現できる、「顔」というモチーフに常に強くひかれています。マスクをかぶる顔で、どう感情を表現できるかを模索しました。

参考作品
参考作品

──見えないところを想像させるということは、見る人によって、表情や感情がいろいろ変わってきそうです。

私の描いた絵を見ていただき、自由に感じて、自由に考えていただけたら幸いです。二度と同じ表情のものは描けない、という一期一会な感じでとても楽しかったです。

見てもらうことで完成する。

──広告のアートディレクターとアーティストとしての活動では、作品を制作する上でどのような違いがあるでしょうか。

広告制作は、伝えたいことを伝える「もの」を作る作業だと思っています。逆に私の作品は、伝えたいことは特にありません。わたしにとっての制作とは、すごく個人的なことを一人悶々と掘り下げていく作業です。その先に出来上がった「もの」があり、その「もの」を人に見てもらうことで作品として完成だと思っています。

広告制作はたくさんの人と関わりながら作業を進めて行きます、それと対極にある孤独な個人制作。どちらも楽しめる性格でよかったと思います。

──同じ作品制作でも、両者に対する意識としては真逆なのですね。広告の制作者とアーティスト、二つの顔があることで良かったことはなんですか。

仕事とプライベートのオンオフがはっきりできるのが良かった点です。それと、どちらの制作活動も広告、作品、ともに刺激になっています。先ほどの話にもありましたが、どちらも楽しむことができて本当によかったです。

──ありがとうございました。
 


 

見る側に感じ方を委ねる、という平田さん。作品を通してセッションをしているようで、こちらも作品に参加している気分になりました。

電通第1CRプランニング局では、昨年から、有志団体「ONE CREATIVE」としてアーティスト活動をしています。プロデューサー役の村松秀俊クリエーティブ・ディレクターにも話を聞きました。

A面とB面が、それぞれを高め合う。

──どのようなきっかけで、アーティスト活動を発信するようになったのでしょうか。

昨年、日本最大級のアートイベント「アートフェア東京2019」にONE CREATIVE と題して1CRP局でアート作品を作っている有志で出展しました。

電通からアートフェア東京に出展したのは初めてでしたが、6万人を超える来場者があるイベントに出展することで社内外から大きな反響がありました。

アート職で入社してきたクリエイターは元々美術大学などでアート作品を制作していた人が多くいます。日頃の業務では前に出せない自己表現を発表できる場を作り自分の表現の幅を広げたり、新しいビジネスチャンスを掴むきっかけになればと思い、この活動をプロデュースしています。

──広告業だけでもかなりハードな活動かと思いますが、その傍らでさらにアーティスト活動も、というのはどういうところに原動力があるのでしょう?
 
アートディレクターとして広告制作に携わる事が本業ではありますが、そこから発展してアート活動を行う人もいますし、日頃の業務とは真逆のアプローチでクラフトにこだわりプリミティブな作品を制作している人もいます。

クリエイターとして自己表現を広げるアーティスト活動はとても大切なことで、ひいては業務にも生きてくると思います。

──広告制作がアウトプットであるのに対して、アーティスト活動は、考えようによってはインプットと位置付けることもできますね。実際に、アーティスト集団として発信することによって、現場になにか変化がありましたか。
 
ONE CREATIVEとして世の中に発信することにより、実務である広告のアートディレクターとしてのA面に対してアーティストとしてのB面を認知してもらえます。

実際に展示会場に足を運んでいただいたクライアントが出展者のB面を気に入って新しい仕事が生まれたり、社内のプロジェクトに呼ばれたり、B面を発表することで新しい自分に気付きを与えることもできました。

クライアントワークは、与えられた課題に対して最善を尽くすクリエイションが求められますが、アーティストとしての作業はその課題ですら自分で見つけ、自分の世界観で表現するという大変難しい作業です。

制作時間も制作費も自分で判断しなければならず、個々の負担も大きいと思います。しかし、それ以上に自分の作品を作り上げ世の中に発表できたことは本人の大きな喜びになり次へのステップにつながるのではないでしょうか。

──最後に、今後の展開を教えてください。
 
現在はONE CREATIVEというくくりで活動していますが、電通全体で見てもこのようなアーティスト活動をやっている人は少なくないと思います。

今後はこのアーティスト活動が電通のビジネスにつながる可能性もあると感じますので全社的に広げて行けたらと思います。ギャラリーなどでの展示発表だけではなく、企業と組んでアート性の高い商品開発やイベントなどにも広げていけたらと考えています。

──ありがとうございました。
 


 

電通クリエイターの中にはいろいろな自己表現の方法を持っている人がいます。 次回は、若田野枝さんの作品をご紹介します。