複眼的視点で全体像を把握し、
あらゆる手を尽くす
2020/06/08
あらゆる業界が大きく変化している時代。何が起こるか、先が見えない時代。
広告業界でも、新しい職種がいろいろ生まれています。
今回はその中から、電通のグループ内でも注目の職種「ビジネスプロデューサー」をご紹介。
顧客企業のビジネスをいかに豊かなものにしていくか。それぞれのやり方で、あの手この手で取り組んでいます。
どんな仕事をしているのか、この先どんな世界を目指していくのか、聞いてみました。
連載第7回は、菅原拓也さんを紹介します。
デジタル化した時代に最適な商品、サービスを
私の場合、電通が3社目です。他の広告会社からインターネットベンチャーを経由して、2008年に入社しました。デジタルを核としたマーケティングコミュニケーションの仕事に従事しています。
今や、デジタルは社会や事業、生活の環境そのものです。その環境下でクライアントの商品やサービスを最適な形で社会やユーザーに浸透させていく。あるいは、商品やサービスをデジタル化する。そのために、さまざまな仕組みや方法を考えて提案し、あらゆる手を尽くして実行していく仕事です。
クレジットカード会社の顧客創造に向けたコミュニケーション開発や仕組みの構築、食品メーカーの自社ECサービスの開発、ECプラットフォーマーの利用者拡大に向けた継続的な統合マーケティングコミュニケーションなどを支援させていただきました。
領域を狭めずに取り組んだ仕事の掛け合わせ、
蓄積が次の手に
大切にしていることは、二つあります。
一つは、複眼的に全体を見ること。クライアントやスタッフ、生活者、この仕事はたくさんの視点が交差します。なので、自分の先入観や限られた知見に固執せず、ありのままを観察し、複眼的視点で全体像を把握することを心掛けています。
二つ目は、「あきらめない、逃げない、人のせいにしない」という戒めです。昭和っぽいですかね? 私は基本あきらめがよくないんです。あきらめなければ、大変でしんどいことも何とかなりますし、たとえ不本意な結果でも後から笑って振り返ることができますよね。
そうやって仕事をする中で、新しいことを見たり、知ったり、気付いたり、できることが増える。すごいなって思える人、信頼し合える人に出会う。それ自体が楽しくて、幸せなことかなって思います。領域を狭めず、求められること、興味のあることに向けて、越境しながら仕事の幅を広げていきたい。ビジネスプロデューサーの役割は、目的に向けてあらゆる手を尽くすことだとすると、一見バラバラな仕事の掛け合わせや蓄積が、実は次の手につながるんじゃないかなと思ったりもします。
個人的には、『堕落論』にすごく影響を受けています。「生きよ堕ちよ」という一文が有名な坂口安吾の評論ですが、高校生の時に現代文の模試で出合い、頭を殴られたような衝撃でした。なにせ堕ちよ=墜落ですから。
何があっても人生は生きるに値する。彼の言葉から湧き出る「生きる」ことを全肯定する覚悟や思想に、事あるごとに勇気をもらっています。