採用課題は、経営課題。採用にもクリエイティビティを。No.2
求む、失敗人財。「石の上に3年も待てない」時代の就活の形。
2020/05/27
<目次>
▼これから「当たり前」になる価値観を表舞台に
▼ガクチカではなく、ガクシツを
▼いまの若者は「石の上に3年も待てない」
▼就「社」活動から本当の就「職」活動へ
これから「当たり前」になる価値観を表舞台に
「若者から未来をデザインする」をスローガンに掲げる電通若者研究部(電通ワカモン)は、若者を年齢や世代論で捉えるのではなく、「最初に新しくなる人」として定義しています。
日本のイノベーション能力の総合ランキングは、ここ数年間で低下しているという調査結果(内閣府 平成30年度年次経済財政報告)があります。UberやAirbnbのようなイノベーティブなサービスが、なぜ日本から生まれないのか?
その原因の一つとして、若者が社会にアクセスする機会が少ないことが考えられます。「社会人」という言葉が象徴するように、社会の「前」と「後」で若者(学生)と社会の間に断絶があるのではないでしょうか。
UberもAirbnbも、「モノをわざわざ所有しなくていい」といった、若者にとっては当たり前になりつつあった価値観をビジネスに転換したものでした。
まだ当たり前ではないけれど、これから当たり前になる。
そんな半歩先の未来を象徴する若者が、社会に働き掛ける機会をもっとつくることができたら、日本のイノベーション力向上にもつながるはず。
そこで、若者が失敗を恐れず挑戦できる社会の実現を目指し、電通ワカモンは、キャリア支援NPO法人エンカレッジと「失敗人財プロジェクト」を発足。皮切りとして、2020年1月、企業と学生が失敗談のみを語り合うキャリアイベント「失敗説明会」を開催しました。
イベントには、エントリーシートで事前に選考した約40人の「失敗人財」の学生と、日系大手企業から外資系企業、気鋭のスタートアップまで計7社が集まりました。
ガクチカではなく、ガクシツを
注目したのが、就職活動を中心に定番化した「ガクチカ」という言葉。
「ガクチカ」とは「学生時代に力を入れたこと」の略で、検索すると「ガクチカの書き方」「ガクチカの例文10選」といった結果が表示されます。
メイクや服装といった就活スタイルの「見た目」の同調圧力だけでなく、就職活動には実は「話す内容」にも同調圧力がある。表面的な美辞麗句や紋切り型の自己アピールに終始しがちです。
本イベントで学生に話してほしいのは、「ガクチカ」ではなく「ガクシツ」。すなわち「学生時代に失敗したこと」です。もちろん、失敗を正当化してほしいわけでも、自慢してほしいわけでもありません。その時、世の中をどう捉え、どう変えたかったのか。そんな意志ある挑戦をしたけれど失敗してしまった人を「失敗人財」と名付けることで、失敗を恐れずに挑戦する若者を増やすことを目指しました。
いまの若者は「石の上に3年も待てない」
電通ワカモンが独自に全国の大学生に調査した結果、就職した企業で仕事にやりがいを感じられなかったら、8割以上の学生が3年以内に退職すると考えていることが明らかになりました。
いまの若者は「石の上に3年も待てない」。
だからこそ、就職活動において、企業が学生を選ぶ構図ではなく、企業も学生も対等な立場で、合う/合わないを判断できる場をつくっていく必要があります。
失敗説明会では、「何を・どう取り組んでいるのか」というWhatでもHowでもなく、失敗談を語り合うことで、その根底にある「なぜ挑戦したのか」のWhyの部分で企業と学生がマッチするきっかけをつくることも目指しました。
オンライン面談も浸透しつつある中で、オフライン面談のようには相手の熱量や人間性を測りきるのが難しいからこそ、企業は一層、画面の目の前の学生のWhyの部分を掘り下げていくことが重要です。
就「社」活動から本当の就「職」活動へ
新型コロナウイルスの影響で在宅ワークもあっという間に浸透し、「働く」にまつわる常識や当たり前が急速に変化している昨今。正解のないこれからの働き方は、ただ選ぶのではなく、一人一人が発明する時代へ向かっていくと考えられます。
これまでの就職活動が、企業に入社することを目指す「就社」活動だとすると、これからは一人一人の意志や問いに根差した職に就く本当の「就職」活動が加速する。企業に勤めない働き方も多様化していき、「就職とは企業に入ること」という考え方は古いものへ。自分の職能を定めてフリーランスの選択肢を選んだり、新卒入社のタイミングから一社で働くのではなく、複数社でパラレルワークするといった「就職」も増えていくでしょう。
電通ワカモンでは、合同説明会やインターンシップ、採用コミュニケーション開発など、就職活動のリデザインを通して、若者と社会の新しい関係性づくりに挑戦しています。
高校生・大学生を中心に10〜20代の若者の実態にとことん迫り、若者と社会がよりよい関係性を築けるようなヒントを探るプランニング&クリエーティブユニット。
https://dentsu-wakamon.com/