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【グローバル】世界の潮流はニュー・ノーマルへNo.4

2020/06/18

街の活気を取り戻す、OOH広告の新しい使われ方。

これまで世界の街並みを色鮮やかなものにしていたOOH広告(アウト・オブ・ホーム=屋外広告・交通広告)が姿を消しています。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、外出が制限され、人々の行動が大きく変化したためです。

私は今、電通イージス・ネットワーク(以下DAN)のOOHを専門とするイギリスの会社Posterscopeに出向し、世界のOOHメディアの売買に携わっています。こうした苦境の中でPosterscopeでは、これまでとは違ったアプローチでのOOH媒体の活用を実現。本記事では具体的な事例と併せて、OOH媒体の新しい使われ方を紹介します。

右肩上がりから一転、コロナ禍で大きな影響を受けたOOH広告

ここ数年間、世界的なトレンドとして、広告主からOOH広告への期待が非常に高い状態にありました。イギリスで街を歩いていると、日本でもよく見られる飲料・菓子類の広告をはじめ、金融機関や、インターネット系のスタートアップ企業など、幅広い広告主がOOH広告を活用していることが分かります。

ヨーロッパのハブとなっているヒースロー空港を中心とした旅客者の増加と、都市部(ロンドン)への人口集中は止まらないという予測もあり、イギリスでもOOH広告は右肩上がりに成長し続けるメディアという評価を受けていました。

実際、2010年に約1200億円だったイギリス国内のOOH広告の収益は2019年時点で約1780億円と、この10年で1.5倍の成長を見せています。

参考:
https://www.outsmart.org.uk/sites/default/files/uk_out_of_home_revenue%20-%202020%20Q1.pdf 


しかし、コロナウイルスの感染拡大により、このポジティブな状況が一変します。外出制限(医療従事者以外の外出は原則禁止)と都市機能の停止(薬局とスーパーマーケット以外の営業停止)により、交通量が激減しました。

通信キャリアなどを中心に位置情報データを持つ多くの事業者は、ロックダウン中の交通量は70%から80%減と伝えています。ロックダウンが緩和されても、前年より交通量が多くなる見込みはないと言われており、こうしたデータが広がっていくことによって、OOHメディアの立場は苦しい状況に追い込まれています。

イギリスでは、ロックダウン発令後の1週間ほどで、予定されていた多くのOOH広告への出稿が見合わされ、空き枠となったスペースには、政府からのお知らせが掲載されるようになりました。

政府の広告

Posterscopeでは、こうした状況を少しでも打開するべく、OOH広告を媒介として「個人の声を発信する」という新たな取り組みにチャレンジをしています。

社会に寄り添い個人の声を可視化する、OOH広告の新しい活用法

これまで、OOH広告は、通勤・通学・旅行者などをターゲットに、媒体の強制視認性を評価され、多くの企業/ブランドに活用されていました。

企業からの広告出稿が減る中、Posterscopeでは街や駅など、生活空間に設置され、人々の生活との距離が近いというOOH広告の強みを生かして、企業だけではなく個人にも活用してもらうことはできないかと、模索を開始。そんな考えから実施に至った、イギリス国内の事例を二つ紹介します。

事例1:Messages of Support for Healthcare Workers
PosterscopeとDANのクリエイティブブランドであるmcgarrybowenが、地元の写真家の協力を得て実施したOOHキャンペーンです。現地の医療従事者向けに送られた、子どもたちからの感謝のメッセージを、プロの写真家たちが撮影し、医療施設の多いエリアに設置されるOOH媒体に掲出しています。医療従事者の皆さんを支援すべく、媒体社は枠を無償で提供し、子どもたちの声を可視化しています。

Messages of Support for Healthcare Workers
子どもたちからのメッセージを家の外からプロの写真家が撮影
Messages of Support for Healthcare Workers
医療従事者の通勤経路に撮影した子どもたちからのメッセージを掲出

事例2:#thank you NHS キャンペーン
二つ目の事例はウェブ/SNSと連携したキャンペーンです。
現在ウェブ上では、「thank you NHS」(NHS=イギリスの国営医療事業)という医療機関/従事者への応援と寄付を目的としたSNSキャンペーンが広がっています。指定のハッシュタグ(#thankyouNHS)付きのSNS投稿をウェブサイト上でカウントしているのですが、このSNSの投稿数を、OOH媒体にも掲出しています。

ウェブ上ではリアルアイムの投稿数がカウントされています
ウェブ上ではリアルアイムの投稿数がカウントされています
バス停のデジタルサイネージ
バス停のデジタルサイネージに、集まった投稿の数が表示されています

こうした個人の声を可視化する動きはイギリスだけでなく、既に日本でも始まっています。デジタルOOH(DOOH)の媒体社であるLIVE BOARDはクラウドファンディングプラットフォームであるGoodMorningと連携し、コロナによって影響を受けている人や団体・サービスに対して資金を募るプロジェクトの支援を、自社媒体を通じて実現しています。

クラウドファンディングのOOH広告
都内42面で、コロナ支援に関連したクラウドファンディングのプロジェクトを告知する広告が流れています

これらの事例は、OOHメディアの新たな可能性を感じさせます。

それは、
「ブランドや商品と消費者を結びつけてきた媒体としてのOOH広告は、個人や特定のコミュニティー(ファンや地域)の声を届ける場所として活用できる」
ということです。

オンラインサロン、アーティストのファン、地域のスポーツクラブなど、行動を起こしたい人の声をクラウドファンディングやSNSなどのプラットフォームを通じて見える化し、OOH媒体によってオフラインで露出することで、不特定多数の人にアピールすることができ、その様子は、オンラインで再度SNSを通じて発信することが可能です。

OOH広告の説明スライド
個人の声をプラットフォームに集め、それを生活者に届けます

現在、SNSでOOH広告に関連した投稿を調べると、「屋外・電車の広告が少ないと街に活気がない」「経済が止まっているように感じるので心配」といった声が上がっているのを見掛けます。企業はもちろん、個人の声を表現する場所として、OOH広告を活用してもらうことは、街の活気や明るさを取り戻すことに貢献できるのでは、と思っています。

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