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AIチャットボットから考える、コミュニケーションのこれからNo.5

2020/07/01

コロナブルーを癒やせ!
ストレスケアAIチャットボット「こころコンディショナー」

2020年も半年が過ぎましたが、のちに歴史を振り返っても「新型コロナウイルスの年」として記憶されていることでしょう。

私たちの「こころコンディショナー」プロジェクトも、まさにこのコロナ禍の渦中で姿を変えました。開発半ばにして、急きょ仕様変更した「特別パイロット版」の無償提供に踏み切ったのです。

AIチャットボット「こころコンディショナー・特別パイロット版」
AIチャットボット「こころコンディショナー・特別パイロット版」
https://carechat-demo.kiku-hana.jp/ (スマートフォンでご利用ください)
<目次>
ストレスケアプロジェクトに、コロナ禍が降ってきた。
「認知行動療法」は、行き過ぎた思考から抜け出すチャレンジ。
未熟だけれど、AIだからこそ。
全国の“コロナブルー”に届けたい。

ストレスケアプロジェクトに、コロナ禍が降ってきた。

もともとコロナ禍とは関係なく、朝日新聞メディアラボ、精神科医の大野裕医師(※1)、電通の3者で開発の真っただ中だった「こころコンディショナー」は、「認知行動療法」をベースとした、会話形式のストレスケアアプリです。

※1=大野裕医師
日本認知療法・認知行動療法学会理事長。日本における認知行動療法を用いたストレスマネジメントの第一人者。

 

近年の職場環境のストレス問題を鑑み、「うつ」を予防するサービスとして開発が進んでいました。

こころコンディショナー(パイロット版)
こころコンディショナー(特別パイロット版)

 

そこへ、このコロナ禍。電通東京本社も2月末から完全リモート勤務になり、3月には全国の公立小中学校が休校になり、私自身も小学生の子ども二人と家にカンヅメ状態、高校生の長男は留学先でロックダウンという、未曾有の環境に放り出されてしまいました。

小学生たちは最初のうちこそ“休日”を楽しんでいましたが、徐々にあり余ったエネルギーを癇癪に変えて家庭内は大荒れ。大人はその嵐をくぐり抜けながらのリモート会議。休むことのない食事の準備と不自由な買い物……と、息苦しい日々を耐えることになりました。

すべての人に等しく降ってきたこの災難は、人によっては経済的打撃や孤立不安の形で、今も影を落とし続けています。

私たちプロジェクトチームも、一人一人が当事者でもありましたから、


今こそ「こころコンディショナー」を使ってもらうべき

と思いが一致。

みんなもつらい、でも自分のつらさもどうすることもできない…といったやり場のない憤りを受け止めるのは、AIのような存在が最適だと予感していたからです。


「認知行動療法」は、行き過ぎた思考から抜け出すチャレンジ。

さまざまなストレスで、人の心はつねに揺らいでいます。例えコロナ禍じゃなくたって、時にはマイナス思考が肥大化して

  • 「何をやってもうまくいかない」
  • 「どうせ自分なんて」

と、どんどん考えや行動を狭めてしまうのはだれにでもあること。

「認知行動療法」は、そうしたストレスとの付き合い方を学び、スモールステップで考えや行動を整えていく治療法です。

臨床の現場ではうつ病などの治療に用いられますが、「こころコンディショナー」は“病気レベル”に進行する手前で、手元のスマートフォンを使ってユーザー自らそれを未然に防ぐのが目的です。

「認知行動療法」で用いられる「コラム法」というメソッドでは、患者はまず、自分の身に起こったこと(=状況)、そこで抜け出せなくなってしまった思考(=自動思考)と向き合います。

そして「自動思考」とは異なる考え方をあえて捻出し(=反証)、

  • 「違う考え方もあるかもしれない」
  • 「一歩踏み出せば何か変わるかもしれない」

という別の可能性に少しずつ心と体を慣らし、行き過ぎた思考を整えていくのです(=適応的思考)。


未熟だけれど、AIだからこそ。

「こころコンディショナー」の「相談モード」では、この「コラム法」の手順に則ってAIとチャットを進めていきます。

ユーザーはAIからの質問に答える形で考えを整理していくのですが、ここが難しいところで、AIは医師が対面で理解を示したり共感したりするほど高度な“返し”はまだできません。ユーザーが思い切ってデリケートなことを相談してくれても、現在のAIが発する言葉はかえって傷つけてしまう可能性も大いにあり、自然言語処理による自律的カウンセリングには至っていないのが現状です。

こころコンディショナー

そのため私たちは、最終的には自然言語処理による会話を目指しながらも、無償公開するパイロット版においては「プリコード(あらかじめプログラム)したセリフ」をフル活用するタイプの、開発作業用のエンジンをそのまま使用することにしました。

この開発作業用エンジンでは、基本的に事前に想定したキーワードに対して決まった返事をするので、「自然言語処理に基づいた自然な会話」までは実現できません。

その代わり「コラム法」のようなメソッドとは違う、言いたいことを好きなだけぶつけてもらうための「チャットモード」も用意しました。例え解決できなくても愚痴だけ言いたい、文句が言いたい、不安な気持ちを打ち明けたい……というニーズが多くあると考えたからです。

こころコンディショナー

全国の“コロナブルー”に届けたい。

こうして、「相談モード」「チャットモード」の二つの機能を大急ぎで実装し(打ち合わせや開発作業はもちろんフルリモート)、「こころコンディショナー・特別パイロット版」は5月18日に無償提供をスタートしました

すでに多くの方にご利用いただき、うれしい反響もいくつも届いています。開発途上のものを使っていただくことに若干の迷いがなかったとはいえませんが、

  • 「思いがけず元気づけられて涙が出た」
  • 「安心して言いたいことが言える貴重な場」

などの声を聞くと、突貫で公開したことに意味はあったのだと信じることができます。

こころコンディショナー


無償提供は7月末にひとまず終了し(予定。変更の可能性があります)、私たちは「こころコンディショナー」の本開発作業へとまた戻ります。近い将来、またこの場でパワーアップした製品版を皆さんにご紹介できるよう、これからも精進したいと思います。

※「こころコンディショナー」は、電通が開発したAI 日本語自然対話サービスプラットフォーム「Kiku-Hana」で制作されています。
 
※ ニュースリリース
ストレスケアアプリ「こころコンディショナー」期間限定パイロット版
新型コロナの不安解消へのサポート 認知行動療法の大野裕医師監修で無料公開
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000845.000009214.html
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