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令和のテレビパワーNo.4

2020/06/30

コロナ禍における、「タイム広告」の有用性とは?

テレビCMには、広告主が個別の番組を提供し、その番組のCM枠内で放送する「タイム広告」と、番組とは関係なくテレビ局が定める時間に挿入される「スポット広告」があります。

本稿では、コロナ禍で企業が広告宣伝の見直しを図る今、「タイム広告」の有用性を考察します。

景気後退期における広告の重要性 

新型コロナウイルスの影響が経済面にも及ぶ中で、「今この時期に宣伝費をかけるのは得策ではない」と、宣伝活動を縮小している企業も少なくないでしょう。

過去にも、
・1991年のバブル崩壊
・2001年のITバブル崩壊
・2008年のリーマンショック
と、大きな景気後退期がありました。

しかし、これらの時期における広告投資と、その後の企業決算を分析すると、どの時期においても広告投資を維持・拡大できた企業と減少させた企業では、その後の売り上げ回復に大きな差が出ていることが分かりました。

特にリーマンショック時においては、広告投資を減少させた企業群は、売上高を2007年の水準に戻すまでに約10年かかっています。

テレビ出稿量と売り上げ
電通による集計。出稿量:広告統計、企業売上:SPEEDAより。分析対象企業:2008年時点の年間テレビ出稿量上位300のうち上場企業(単体決算参考)。2009~11年のテレビ出稿量を2008年(リーマンショック時)と比較、「維持・増加グループ」と「減少グループ」に区分し、売り上げ推移を分析。

また、最近の生活者調査(※1)によると、生活者の92%は、「混乱する環境下、企業が社会に対して何かを発信することが大事」と感じていて、広告を通じた新しい情報を求めている姿が浮き彫りとなっています。

広告を半年間止めた場合、生活者とブランドとのリレーション価値が大きく減少する(※2)ともいわれ、広告を通じた生活者との絆づくりを継続的に行っていくことが重要です。

※1 電通コロナ禍独自調査。2020年5月。
※2 カンターメディアリサーチ。
 

タイム広告は、ミドルファネル強化につながる

ブランドと生活者のリレーション構築において、テレビ広告は大きな役割を担うことができます。本連載の1回目では、「テレビの3UP効果」について説明しました。

「テレビの3UP効果」とは、以下の三つです。
・素早く届けられる「Speed-UP」
・多くの人を巻き込む「Scale-UP」
・低関心層の生活者にも興味喚起が可能な「Interest-UP」

テレビ広告にはタイムとスポットの2種類がありますが、タイム広告は特に「Interest-UP」に強みがあり、昨今マーティング課題にも上がる、「認知」よりも深い中間指標=ミドルファネルの強化に有効だと筆者は考えています。

ファネル図


先日、私たちは、「タイム広告の有用性」を伝えるビデオを作りました。制作に当たり、タイム広告の効果と価値を改めて考えてみました。
 



広告主にとって、テレビのタイム広告は、
「広告効果が見えにくい」
「スポット広告に比べてリーチが取れない」
「長期間固定される=固定費になる」
という印象を持たれることもあります。

しかし、裏を返せばタイム広告の持つ「訴求したいターゲットを狙って、長期間にわたり継続・反復的に訴求できる」特性こそが、ミドルファネル強化には必要な要素でもあることが見えてきました。

ターゲットを含む幅広いリーチでトップファネル拡大に強みを持つスポット広告と、以降でご紹介するミドルファネル強化に強みを持つタイム広告。これらを戦略的に併用することで、生活者とブランドの関係をより強固にすることができます。

とあるブランドについて、提供番組の視聴者は非視聴者に比べてブランドへの「好意」「購入意向」が大きく上昇していることが分かりました。これらはミドルファネルのとりわけ「ブランド・ロイヤルティー」 に相当する指標です。

その理由として、
・狙いたいターゲットの含有の高い番組を選ぶことができる
・OA時間帯、コンテンツを選択することで、消費者の心に刺さる瞬間を狙えること
が考えられます。

タイム広告1
※ACR-ex2019から。

長期にわたる継続接触の価値

近年、ブランドのミドルファネルの強化には、時間をかけたコミュニケーションが必要であることが次第に分かってきました。そもそもミドルファネルに該当する指標は、トップファネルに相当する「認知」 の指標と比べて変動が緩やかなことが特徴です。

今回、広告接触回数を同程度に合わせて、短期間に集中接触したグループと、長期間にわたり継続的に接触したグループとの効果差を検証したところ、「認知」では差が見られなかったものの、「興味関心」「信頼」「好意」「購入意向」といったミドルファネルに相当する指標では大きな差が生じていました。

いわゆる「単純接触効果」とは、何度も繰り返し接することで好意や印象が高まることをいいます。ターゲットが好む番組コンテンツの中で、長期にわたって繰り返し広告を見せ続けられるタイム広告には、「単純接触効果」をより強く生み出す力があると考えられます。

長期集中出稿
調査・実験方法:電通オリジナル 2017~18年調査実施。特定番組に6カ月間CMをOA、期間中にスポット広告もOA。ブランド調査を、事前、スポット広告投下後、6カ月後に3回実施。タイム長期広告接触者とスポット短期広告接触者を、CM接触データを用いて総接触回数が同程度となるように調整した上で、事前調査からの変化幅を集計したもの。

また、生活者の購買行動は日頃から常に発生しており、安定的な売り上げ確保の観点からも、継続的な広告接触は有効でしょう。タイム広告に関しては、「同じ枠でオンエアし続けるため、同じ視聴者にしかリーチできないのでは」という懸念もよく挙げられますが、この点に関しても、6カ月の提供により視聴者は少しずつ入れ替わり、複数番組を組み合わせることで、十分なリーチを稼ぐことも可能です。

ある一定の予算規模を想定した場合のシミュレーションではありますが、リーチを加味した広告効果のスコアでは、予算を全て短期集中スポットキャンペーンで実施する場合よりも、予算全体の40%程度を長期継続のタイム出稿に活用する場合のほうが、期間全体を通じて良いスコアを得るという試算結果も得られています。

タイム広告2
半期予算10億円の場合。電通DiaLogシミュレーターで算出し、対象階層は個人全体。「購入意向率」は電通オリジナル調査による。なお、選択する番組により結果は異なります。

最後にテレビのタイム広告の強みを改めてまとめると、「長期にわたって、狙ったターゲットに、狙ったタイミングで接触させることで、ミドルファネルの強化を可能にできる」ということになります。

景気後退期だからこそ重要な、ミドルファネルの強化。

テレビのタイム広告を有効に活用することは、生活者との絆を深め、効果的な広告の実現の一助となるはずです。