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リモート時代の心をつかむ超言葉術No.5

2020/09/25

「聴す」を「ゆるす」と読むと知ってちょっと泣いた

見えない、聞こえない、という空間

8月末、うれしい出来事がありました。3年をかけて僕が関わってきたプロジェクト、ダイアログ・ミュージアム「対話の森®」が東京のウォーターズ竹芝にオープンしたのです。

対話の森
(C)Natsuki Yasuda / Dialogue for People

 どんなミュージアムなのか?

ここに展示されているのは、絵画でも、写真でもなく、「対話」です。視覚や聴覚に頼らず、「見えない」や「聞こえない」といった非日常の空間で人との対話を楽しみながらダイバーシティを体験することができます。

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」のことをご存じの方もいらっしゃるかもしれません。文字通り、「暗闇の中の対話」を体験できるソーシャルエンターテインメントのことです。参加者たちは、真っ暗闇の中にグループで入り、暗闇のエキスパートである視覚障がい者のアテンドに導かれ、驚きに満ちた発見をしていきます。日本に上陸して21年、これまで約23万人の方たちが体験しました。

今、ミュージアムで体験できるのは二つのコンテンツです。一つは、ソーシャルディスタンスへの配慮として、暗闇に明かりを灯し、アレンジした期間限定の「ダイアログ・イン・ザ・ライト」。

対話の森 夜の高原

もう一つは、音のない世界で、言葉の壁を越えた対話を楽しめるエンターテインメント「ダイアログ・イン・サイレンス」。こちらもマスクをした新たなスタイルでの体験を楽しむことができます。

ダイアログ・イン・サイレンス



今、最も大切なのは「対話」かも

僕がオープンをうれしく思うのは、「対話の森®️」の信念が世の中に広がっていくからです。僕がコピーライターとして、思いを受け取り、書いたステートメント文章にこんな一節があります。

世代。ハンディキャップ。文化。宗教。民族。
世の中を分断しているたくさんのものを、
出会いと対話によってつなぎ、
ダイバーシティを体感するミュージアム。

緊迫化する世界情勢の報道で知る「分断」はもちろんのこと、僕たちが直面するリモート時代も、一つの分断といえるのではないでしょうか。

離れて仕事をすることでなかなか意思疎通を図れなかったり、ウェブ会議の回線の影響で聞き取りづらくてお互いに困ったり。こういう時こそ焦らずに、相手をよく見る、よく聴く。丁寧に向かい合う「対話」の意識が大切だと思うのです。

そもそも「対話」とは何でしょうか?

定義を一つに決めつけずに、みんなで考えることこそ「対話」なのではないか?

「対話の森®」のシンボルを考えるために、2020年の初め、僕たちは「対話」への思いを広く募りました。

あなたにとって「対話」とは?

「未知」を「知」に変える温かな気づき合い。by しらしょう

信頼のためのステップ。by くらげ

人と人が、お互いの文化を持ち寄り、
一緒に新しい文化を作ること。 by ひやまっち

一人一人の対話への定義が連なり、太陽のようにも、光のゲートのようにも見えるこのカタチが完成しました。

対話の森 ポスター
私自身の対話の定義は「相手から見える景色を想像すること」。次のことを知って、さらにその思いを強くしました。

「聴す」の読み方

これを「ゆるす」と読むと知ったとき、私は驚きました。相手の話を真摯に聴くことを傾聴といいます。聴くという行為は、相手の存在自体を受け入れること。だから「ゆるす」なのだと。

お互いに敬意を持ち、お互いを想像し、存在を受け入れる対話。それは「ゆるしあい」だと気付いたときに、「対話の森®」から広がる未来を想像して目頭が熱くなりました。この場に多くの人が集い、対話に花を咲かせ、成長し続ける森になることで、優しい社会をつくっていけたらな、と。

ここをつかむ超言葉術
ダイヤモンド社、320ページ、1650円+税、ISBN 978-4478110140 (写真/撮影:能登 直)

ダイアログ・イン・サイレンス「静けさの中の対話」が、日本初開催されたときのエピソードは、僕の著書『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』をぜひ。「言葉の正体」にたどり着くための大切な経験になりました。そして、僕が関わってきた「ダイアログ・プロジェクト」については、こちらの記事もどうぞ。

最後に、この文章を読んでくれているあなたにもぜひ伺いたいです。あなたにとって対話とは何ですか?ぜひ、聴かせてもらえたらうれしいです。

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