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令和のテレビパワーNo.6

テレビタイム広告枠購入の"決め手"を高速に可視化するには?

2021/05/10

テレビタイム広告枠の重要な指標である「テレビ視聴率」。ただし、この指標のみでクライアントの“マーケティングに資する”テレビプランニングを提供することはできません。かつ、クライアントからは“枠の定量的価値の可視化”、いうなればテレビタイム広告枠購入の“決め手”をスピード感のある提供体制で求められるシーンが多くなっていると感じます。

本稿ではそのようなシーンのソリューションとして開発したツール「People Driven Score」について、開発の背景にあった課題感や具体的な活用シーンを中心にお話しいたします。

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ワンストップなテレビプランを迅速に提供したい

「People Driven Score」開発には、大きく二つの背景がありました。

まず、これまでのテレビタイムプランニングは、プランニングの川上で精度高くマーケティングターゲットを抽出しても、肝心の枠購入シーンのタイミングで旧態依然とした“性年代の基本階層でのコストパフォーマンス評価”に帰着しがちでした。

そのため、川上のプランニング時と最終購買時でターゲットの分析レベルにギャップが生まれ、プランニングフローの中でのボトルネックが生じていました。そのボトルネック解消の一助になるツール開発を行いたいと考えたのが背景の一つです。

もう一つの背景は、各々のテレビタイムプランナーの分析、評価、整理、提案のフローを“高速に”できるようにしたい、ということです。これまでは高度なターゲットプロファイリングを行うシーンでは、はじめに社内別部署のリソースをアサインし、ゼロからオリエンを行い、アウトプットされた分析結果を各プランナーが整理し、提案するという、数多くの中間プロセスが存在していました。

しかし今では開発ツールを活用することで、その中間プロセス(の一部)をショートカットすることが可能となりました。これによりクライアントから意思決定を頂くまでの中間ディスカッションに時間をかけることが可能になります。

マーケティングデータ(意識/購買)を活用し、番組購入の“決め手”を迅速に提供

「People Driven Score」の活用シーンを少し具体的に挙げてみましょう。

「男女20-34歳(MF1)の視聴率をベースとして、ビール飲用ライト層で、かつ動画配信サービスをよく利用している人をマーケティングターゲットと設定し、そのターゲットが見ている番組ランキングをコスト効率が良い順番で提示してほしいです」

例えば、上記のオーダーのように、マーケティングターゲット視聴率をベースとした番組候補の可視化にも即座に対応が可能です。

peopledrivenscore01

上図をご覧ください。PM視聴率(※1)と意識データをマージさせてコストパフォーマンスを出すことで、A番組の優位性が一目瞭然です。

このようにマーケティングターゲットベースの番組パフォーマンスを定量的に可視化することで、クライアントの番組選定の決め手になると考えます。また、意識データについては「es XMP」(旧CUBIC)のデータソース(約3000項目の意識データを搭載)を採用しているので、あらゆるマーケティングターゲット階層を再現することが可能になるのです。

次に、PM視聴率に購買データを掛け合わせたパターンを紹介します。

「ビール購入割合と視聴率の掛け合わせを基準に、費用対効果も加味した番組をランキングで提示してほしい」。このようなニーズも多々あるでしょう。

peopledrivenscore02

PM視聴率と購買データをマージさせてコストパフォーマンスを出すという、先述の意識データを用いた分析フローと同様のアプローチになります。このような購買データを軸としたプランニングのケースにも対応が可能です。データソースは電通グループ独自のデータ基盤であるPeople Driven DMP®の購買データを連携させ、番組ごとのポテンシャルを可視化しています。

「テレビは視聴率よりも“深い”定量評価指標はないのか?」というクライアントからの問いをこれまで多く耳にしてきました。その一つの解が、今回開発した「People Driven Score」でご提示できると考えています。マーケティングターゲットを軸に番組価値を定量的に示すことができれば、より正確かつ迅速な広告枠購入につながることはもちろん、意思決定や効果測定が必要なシーンでの社内説明の一助にもなるでしょう。

※1 ビデオリサーチ社が展開するピープルメーターというシステムを用いて調査する視聴率データ。関東地区/全国32地区。

テレビの定量的価値が、より求められる時代

テレビの価値の論証アプローチは、日々めまぐるしく変化していきます。その変化の中でテレビ広告のプロフェッショナルである私たちが、「それは分かりません」「その可視化は難しいです」という答えを決して出してはいけないと思っています。しかし、今までのテレビプランニングは“人”起点の価値を可視化することから(一部)逃げてきた歴史があると考えます。

その歴史を打開する一歩が「People Driven TV Planning」であり、そのプランニング概念をもとに開発に至ったのが「People Driven Score」です。今後もこれらのツールをアップデートする計画がありますし、すでに2021年4月改編作業時にも一部先行導入・活用いただいており、大変多くのクライアントから実プランニングを経て良いと評価するご意見を頂戴しております。

引き続き時代のニーズ、広告主のニーズに向き合い、テレビ広告がクライアントのマーケティング活動に資するメディアであるために、高度化、高速化を目指し、「テレビ広告のDX化」に取り組んでまいります。