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日本の社会課題を解決する「M&A」No.2

M&Aは企業の「上流課題」を解決する究極のソリューションだ

2021/11/02

今や「M&A」は、あらゆる企業の経営戦略に欠かせない最大のソリューションです。本連載では、今の時代にM&Aが企業や社会に何をもたらすのか、その本質的な価値を分かりやすくひもときます。

電通グループも、業界最大手の日本M&Aセンターと業務協定を結び、企業の経営課題解決の大きな武器として「M&A仲介」を行っています(前回記事参照)。

今回は、日本M&Aセンター取締役の渡部恒郎氏をお招きし、電通の片山俊大がお話を伺いました。“業界再編M&A”の第一人者として活躍する同氏が語る、M&Aが日本社会に提供できる価値とは?

<目次>
実はM&Aを選ぶ企業の多くは、売り手も買い手も「成功している企業」
「コミュニケーションの連続」で成立するM&Aは企業同士の結婚である
M&Aを通じて、企業の「上流課題」に挑む日本M&Aセンターと電通

 

日本M&Aセンター渡部氏、電通片山氏

実はM&Aを選ぶ企業の多くは、売り手も買い手も「成功している企業」

“失われた30年”の間も成長を続けてきた日本のM&A市場。
“失われた30年”の間も成長を続けてきた日本のM&A市場。 ※レコフM&Aデータベースより抜粋
  

片山:日本M&Aセンターは、業界でダントツの実績を誇る最大手です。その中でも渡部さんはM&A成約実績No1のM&Aプレーヤーとして、数多くのM&Aに携わり、まさしく日本の業界再編をけん引された一人だと思います。近年、M&Aの市場はますます急拡大しているように感じますが、プロから見て実際のところいかがでしょうか?

渡部:おっしゃる通り、M&A件数は現在かなり増えつつあります。売り手企業は年商2億~100億円ぐらいの規模が多く、買い手企業は半数ぐらいが上場企業です。M&Aと聞くと、「倒産寸前の赤字企業を買収する」というイメージを持たれる方も少なくありませんが、実はM&Aを実施した売り手の多くは、黒字の優良企業なんです。

片山:実態としては、成功している企業が戦略の一つとしてM&Aを選択するケースが多いんですね。さて、M&Aは100件あれば100通りのやり方が存在します。ビジネススクールで学べるロジックや知識も大事ですが、何よりも「経験値」が非常に重要な分野です。渡部さんは具体的にどのような業界のM&Aに携わってこられたのでしょうか?

渡部:製造業界をはじめIT、食品、建設など幅広く、北海道から沖縄まで全国津々浦々、さらに海外に拠点を持つ企業も担当しました。特に2012年ごろからは、当時まだ誰も信じていなかった「調剤薬局の業界再編」が必ず起きることを見据えて、先駆けて調剤薬局業界のM&Aに注力してきました。

他にも、IT業では東芝情報システムとデンソーという大手同士の資本提携、RistというIT系スタートアップ企業と京セラコミュニケーションシステムのM&Aなども担当しています。

片山:ありがとうございます。日本で最も多くの案件数を手掛けてきた渡部さんは、本当にシンプルにすごいことを成し遂げている方だと思います。それに渡部さんは、担当された企業が製薬会社や製造会社、IT企業など、私たちが広告コミュニケーションでお手伝いしているクライアントと非常に親和性が高いですね。

近年、電通もクライアントから、ビジネスの「上流」の戦略を求められるようになっています。M&Aはまさに企業の上流課題を解決する手段なので、その分野で圧倒的な実績を誇る日本M&Aセンターや渡部さんとタッグを組めることを大変心強く感じています。

「コミュニケーションの連続」で成立するM&Aは企業同士の結婚である


 
電通の掲げる「Integrated Growth Partner」コンセプト映像。


片山:電通は中期ビジョンとして「Integrated Growth Partner」(以下、IGP)を掲げ、クライアント企業と社会の持続的成長にコミットするパートナーであることを目指しています。これは、日本M&Aセンターが掲げる「M&A業務を通じて企業の“存続と発展”に貢献する」という経営理念に近しいものがあると感じています。改めて、M&Aが企業にどのような価値をもたらすのかを教えていただけますか?

渡部:私はM&Aを、「売り手と買い手の“ビジョン”を実現するための手段」だと考えています。売り手企業は、創業時の「こうしたい」という思いを込めたバトンを渡す。買い手企業も自社が掲げているビジョンにより早く、より良い状態で到達するためにバトンを受け取る。両社のビジョンをつなぐことが、M&Aが企業にもたらす重要な価値の一つです。

片山:ビジョンのバトンパスが次々と生まれることで、その集大成として、日本経済全体の持続的な発展にもつながるわけですよね。

渡部:はい、そう思います。現在、年間5万社程度が廃業しており、その半数以上が黒字の中堅・中小企業だといわれています。黒字ということは、日本経済に何らかの価値をもたらし、社会のためになっている企業です。その日本経済を支えている企業が毎年たくさん廃業していること自体が、大きな課題だと思っています。

片山:これまで積み重ねてきた資産や人材も含めて、廃業するとなくなってしまう。それでもM&Aではなく廃業を選んでしまう背景の一つには、M&Aに対するネガティブなイメージがあると思います。売り手・買い手が共に幸せになり、大きく成長できるという、「M&Aの本質的な価値」を社会に正しく伝えていくことも、日本経済が持続的な発展をする上で非常に重要だと思います。

渡部:そこは電通が得意とする領域だと思うので期待しています。私は電通とM&Aというのは、親和性が高いと思います。電通はコミュニケーションの会社だと思っているのですが、M&Aのプロセスも、全てはコミュニケーションの連続ですから。

片山:まさにそこなんですが、私が日本M&Aセンターとご一緒するようになって一番驚いたのが、コミュニケーションの部分です。世の中にはM&Aにドライなイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、むしろ「会社同士の結婚」と言っても過言ではないほど、濃厚なドラマとウェットなコミュニケーションがあります。

会社を動かしているのは「人」ですし、人の気持ちはお金ではなく感情で動くことがたくさんあります。特に日本M&Aセンターはコミュニケーションを大切にされている会社なんだということがよく分かりました。電通が大切にしてきたことと通じるものがあると思います。

渡部:同感です。そしてコミュニケーション以外の部分でも、大企業の事業ポートフォリオ再構築や、メディア企業の事業変革と事業アップデート、スタートアップ企業のイグジット(出口戦略)など、電通に知見とネットワークがある領域のM&Aを一緒に推進していけると考えています。私たちは中堅・中小企業のM&Aを中心に手掛けていますが、電通と組むことで、これまで以上に可能性が広がっているのを実感しています。

片山:ありがとうございます。特にBtoC商材のブランド戦略はほぼ事業戦略と同じなので、ブランドポートフォリオ=事業ポートフォリオと考えると、戦略の選択肢としてM&Aは避けて通れないものなんですよね。また、日々お付き合いしているスタートアップのIPO(株式上場)に代わるイグジット(出口戦略)としてM&Aという選択肢を提案できるようになることで、電通としても支援できる幅が広がると考えています。大企業からスタートアップに至るまで、電通のクライアントやパートナーにとって、M&Aはすでに欠かせない選択肢になっているという認識です。

今や広告業界も含めたあらゆる業界でゲームチェンジが起こり、影響力のある企業ですら一瞬にして崩壊してしまう例もあります。一方、パズルのように企業やポートフォリオの組み合わせを替えることで、一気に花開く事例もたくさん見ています。そのようにマッチングで経営課題の解決に直結するような付加価値を生み出しているのが日本M&Aセンターで、電通がやってきた代理業や経営課題の解決と似ていると、勝手に感じています(笑)。

M&Aを通じて、企業の「上流課題」に挑む日本M&Aセンターと電通

片山:さて、経営戦略の上流課題は数多くありますが、その中でもM&Aは圧倒的に重要かつクリティカルなものだと思います。また、業界再編を促すような影響力があり、社会全体にも大きなインパクトを与えます。私たち電通グループは、日本M&Aセンターと一緒にそのようなダイナミックなプロジェクトに挑戦できることを大変光栄に思っていますが、渡部さんはいかがでしょうか?ぜひ正直なところをお聞かせください。

渡部:元来、日本のバリューチェーンを商流面で担ってきたのが総合商社ですが、私たちは「M&Aによって日本全体のバリューチェーンを整理する」のが重要な役割だと考えているんですね。ただ逆に考えると、私たちは「バリューチェーンの整理」までしか担えないことが課題だったんです。

電通と組むことで、これからは「M&A以降の企業の成長」を、よりスピーディに前進させることができる。すなわち、売り手・買い手企業の“ビジョン”の実現をより早く、より良い状態で進めることもできるようになると考えています。そこが新しいチャレンジであり、とてもワクワクしています。

片山:ありがとうございます!電通としてもM&Aの「日本最強チーム」とタッグを組めることは本当に大きいことだと思います。電通はIGPを標榜(ひょうぼう)している以上、企業の上流課題を解決する究極のソリューションとして、M&A仲介は絶対になくてはならない武器です。

クライアントやパートナー企業の成長支援、業界再編、社会課題の根本解決など、私たちが普段向き合っている課題を解決する手段として、今後はもっとM&Aを活用していくべきだと考えています。ぜひ今後とも、日本企業と日本社会の持続的な成長を共に推進していきましょう!

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