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STARTUP GROWTH TALKNo.2

約37兆円の「かくれ資産」を動かす!リユースで地球課題の解決に挑むバイセル(後編)

2021/12/01

スタートアップ企業の起業家、経営者、投資家、CMOなどが、会社や事業の成長過程で直面した課題をどのように乗り越えてきたのかをお伝えする本連載。

前回に引き続き、リユース業界で急成長を遂げるBuySell Technologies(以下、バイセル)代表取締役社長兼CEOの岩田匡平氏とビジネス・プロデューサーの高塚文彰による対談をお届けします。

前編ではリユース市場に変革をもたらすバイセルの戦略についてお伝えしましたが、後編ではグロース期に抱えていた課題や、それをどのように乗り越えていったのかをお聞きしました。

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(右から)バイセル 代表取締役社長兼CEO 岩田匡平氏、電通 Startup Growth Partnersチームリーダー 高塚文彰

グッドコンプライアンスな体制づくりに先行投資

高塚:岩田さんがCEO就任後、具体的にどのような課題に対して、どのような変革に取り組んできたのかを教えてください。

岩田:何よりも最初に、コンプライアンスの意識改革を徹底的に行いました。そもそもリユース業界では、「高額なものを、いかに安く買い叩けるか」が正義だと思っている人も少なくありません。でも、そのようなマインドセットの事業がサステナブルなわけがないので、「お客さまのために価値を提供して、お客さまに喜んでいだき、その対価をいただく」という考え方を徹底して教え込みました。

高塚:でも、ある意味これまで「正義」とされていた考え方を変えることは簡単じゃないですよね?

岩田:もちろん、「Good Compliance is Good Business」を諦めずに言い続けることも重要ですが、同時に不正や不誠実な対応ができない仕組みを作ることも大切です。オペレーション体制の再構築もそうですし、買い取った切手の入れ替えを防ぐために開封できない袋に入れて管理するなど、細かな部分まで徹底的に不正を起こさない仕組みづくりを徹底していきました。

これらの対策は全て「コスト」になるのですが、磨き続けることで顧客満足度や信頼関係の向上につながり、結果として利益に結びついています。

高塚:なるほど。そこは他社がバイセルのビジネスモデルを真似ようとしても難しい理由の一つですよね。

岩田:はい、単純にコストでしかないので、目先の利益だけを追っていたら絶対にできない施策だと思います。もちろん、当社もまだ完ぺきだとは思っていないので、現在進行形で磨き続けている部分です。

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岩田匡平氏

Salesforce直伝の組織改革を導入し、CPAが大幅に向上!

岩田:次に、セールス・イネーブルメント(営業力改善・強化)に取り組みました。実は以前、成長し続ける組織を作る方法が知りたくて、実際にSalesforceさんにお邪魔して見学させてもらったんです(笑)。そこから学んだことを取り入れて、67項目のチェックリストに基づく査定スタッフの評価制度を作りました。

その結果、営業成績上位プレイヤーと下位プレイヤーで明確に差がある項目がいくつか見つかったんです。そこで、トッププレイヤーたちの仕事ぶりをロールプレイングを通して他のスタッフたちに浸透させました。

高塚:なるほど、どのような項目の違いが顕著だったのでしょうか?

岩田:例えば、着物に関する知識ですね。トッププレイヤーたちは、お客さまの想いが詰まった着物を決して疎かにしません。豊富な知識で着物の価値を理解し、大切に扱ってくれるスタッフだからこそ、お客さまも心を開いてくださります。その違いが営業成績に直結している点を数字で把握できたのは大きな発見でした。

高塚:確かに、着物の知識が営業成績を左右するとは、実際に調べてみないと発見できない課題かもしれません。

岩田:その他にも分析することで初めて見つかる違いは色々とあります。「差分を見つける→トッププレイヤーのやり方を浸透させる→評価する→差分を見つける」というサイクルを繰り返すことで、訪問あたり獲得粗利を大幅に改善することに成功しています。

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高塚文彰

テレビCM×実店舗で、新たなリード獲得チャネルを開拓

高塚:もう一つ、御社はテレビCMの出稿に力を入れている点も特徴的だと思います。

岩田:そうですね。テレビCMを続けられるようになったこと自体が大きな変革です。やはり認知度は爆発的に上がりましたし、先述した改革も功を奏して、ROI(投資利益率)を維持しながらマスマーケティングを継続できている点はグロースに欠かせないポイントだと思います。そこは高塚さんにもご尽力いただけて感謝しています。

高塚:ありがとうございます。そうおっしゃっていただけると本当に励みになります。

岩田:私も広告会社出身なのでよく分かるのですが、限られたリソースをビッグアカウントだけでなく、私たちのような企業に熱量を注いでくれる点が非常に心強かったです。

高塚:そこはやはり、バイセルのビジョンやロードマップに深く共感しましたし、本当に可能性を感じたので、できる限り深くコミットしたいと思っていました。最近、バイセルは実店舗をいくつか出していますよね?出店の効果はいかがでしょうか?

岩田:おかげさまで非常にうまくいっています。当初、店舗は若年層の方々がブランド品やジュエリーを売りにくることを想定していたのですが、着物や切手、古銭などを持ってきていただけるシニア層が大勢いらっしゃいました。これもテレビCMの効果だと感じています。

ちなみに、なぜわざわざ店舗まで足を運んだのかを聞くと、「見ず知らずの人を家に上げるのは不安だ」という声が多くありました。つまり、われわれにとって店舗は「リード獲得」のための貴重なチャネルだということ。実際に店舗から訪問につながるケースも増えています。

高塚:現在は5店舗をオープンされていて、今後の展開も非常に楽しみにしています。最後に、バイセルの「夢」を教えていただけますか?

岩田:「捨てるのではなく、つなぐ」には、本質的な価値があると思っています。その影響力をもっと高めて、日本経済に寄与するレベルにまで上げたいと考えています。「この企業があるから、今の世の中はこうなっているよね」と言える企業が各業界にあると思うのですが、バイセルはリユース業界でそのような存在になりたいです。他のプレイヤーとの協業も視野に入れて、日本のリユース市場を盛り上げていきたいと思います。

高塚:今回は事業戦略の策定からグロース期の「成長痛」の乗り越え方まで、スタートアップの皆さまのヒントになる話をたくさん伺えましたし、私自身も非常に勉強になりました。今後ともよろしくお願いいたします!
 

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