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Shopify Plusなら、ECサイト開発も怖くない!No.1

Shopify Plusの機能と、その上手な向き合い方

2022/04/07

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Shopify Plusってなに?
 

コロナ禍をきっかけに注目を浴びている「Shopify」をご存じでしょうか。
Shopifyとはカナダ発の手軽にECサイトを作ることができるSaaS(Software as a Service)のマルチチャネルコマースプラットフォームで、日本国内でも導入数が急激に増えていることで話題となっています。

Shopifyにはさまざまなプランが存在しますが、その中でも最上位プランにあたるのが「Shopify Plus」です。通常プランのShopifyとは異なり、Shopify Plusは、国内でも導入数はまだまだ少なく、情報もあまり多くないため、「Shopify Plusってなに?」、「通常プランのShopifyとの違いが分からない」という方も多いと思います。

本連載ではShopify Plusのパートナーである電通デジタルの金本珠枝が、Shopify Plusのメリットや機能だけではなく、Shopify PlusでECサイトを立ち上げる際に重要となる要件定義の進め方、実際にECサイトを立ち上げた事例まで、あらゆる角度からShopify Plusを解説します。

第1回はShopify/Shopify Plusでできること、さらにShopify Plusにしかない機能と拡張性について紹介します。

ECサイトの立ち上げ時に越えなければならない課題

Shopify Plusの話をする前に、多くのECサイト構築プロジェクトに関わってきた立場として、よく耳にしてきたECサイトの立ち上げ時に起こる課題のうち、難易度の高いものを紹介します。

■EC事業を支える倉庫やフルフィルメントとの連携
ECサイトを運用する上で欠かせないのが、倉庫での商品管理および商品の発送業務です。それらのEC運用で使用しているシステムであるOMS(受注管理システム)やWMS(倉庫管理システム)との連携をどうするかだけではなく、最適な運用フローも検討しなければなりません。

事業の根幹を支える基幹システムとの連携
サプライチェーン、会計、販売管理、生産管理など、事業の根幹を支えている基幹システム。運用によってはECサイトと基幹システムをつなげなければならない場合もあります。基幹システムは各企業独自で開発されていることが多く、この連携の仕組みを開発するにあたり難易度が高いことがほとんどです。

CDP、LINE、MA、分析ツールといった外部ツールとの連携
マーケティング施策の実施や、データ基盤としての役割を担っている外部サービスやツールを既に利用していたり、ECサイトの立ち上げのタイミングで新たに導入したい場合は、自社ECサイトとの連携をどう行うか検討しなければなりません。

各種販売チャネルの連携と拡大
楽天などのECモールやSNS、オフライン店舗といった自社ECサイト以外の販売チャネルを既にお持ちの場合は、自社ECサイトと各販売チャネルとの連携が必要です。また、事業成長やコンタクトポイントを増やすために、販売チャネルを拡大したいというニーズも多いです。

大量のアクセスと注文数への対応
限定商品や人気商品の販売時は、瞬間風速的にアクセス数が増えることがあります。アクセス数が増えるということは注文数が増えるということにもつながるため、それに備えたインフラ環境やシステム基盤を用意する必要があります。

既存会員IDとの連携
マーケティングが複雑化する中、ユーザー理解をより深めることが求められていますが、そこでポイントとなるのが会員IDの一元化です。マーケティングの質の向上を目的として、「既に持っている会員IDをECサイトでも使えるようにしたい」という課題を多く聞きます。

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Shopify/Shopify Plus両方の機能と特徴

このように、ECサイトを立ち上げるには難易度の高い課題がいくつもありますが、Shopify/Shopify Plusの機能と特徴を理解し、活かすことで、それらの課題をクリアすることが可能です。

先述したそれぞれの課題に照らし合わせた形で、ShopifyとShopify Plusの両方がもつ機能をいくつかご紹介します。

  • Shopifyの公開アプリ(※1)をインストールするだけで売り方や運用に合わせて機能をアドオンできる
  • 商品情報や注文情報といったECサイトで取り扱うさまざまなデータを容易に取得・連携できるAPIが豊富に用意されている
  • Shopifyと親和性の高いツール(CDP、WMS、OMS、MA、チャットツール、その他マーケティングツールなど)が多く存在する
  • 販売チャネル(楽天、SNS、Googleショッピング広告等)の拡大機能が用意されている
  • 稼働率99.8%、堅牢で安定したインフラ環境で構築されている

これらの内容から、通常プランのShopifyでもECサイトを立ち上げるだけではなく、定期購入/ポイント機能/レビュー機能といったECサイトのフロント側のカスタマイズや、会員削除/領収書や請求書の印刷機能といったEC運用で必要な機能の追加、また各種外部システムとの連携も可能だということが分かります。

※=1 アプリとは、Shopifyにインストールするだけで機能を追加できる仕組み。また公開アプリはShopifyのアプリストアで販売されているアプリを指す。

Shopify Plusにしかない機能と拡張性は?

では、Shopify/Shopify Plusの機能と特徴を踏まえ、最上位プランである「Shopify Plus」を選ぶ基準はなに?と疑問を持った方もいらっしゃるかと思います。

ポイントとなるのが「Shopify Plusでしか利用できない機能と拡張性」です。

なお、拡張性とは機能追加のしやすさとその性能向上を指しており、Shopify Plusにすることで通常プランのShopifyでも持っている機能がアップグレードされるものもありますので、ぜひ参考にしてください。

既存の会員IDと連携・一元管理できるAPIの利用許可
Shopifyとは異なる会員管理システムと連携するためのAPIは、Shopify Plusでしか利用できません。そのため、先述の課題にある「会員IDの一元化」を実現したい場合は、必ずShopify Plusを選ぶ必要があります。

このAPIを使うことで会員管理システムとの連携を実現することはもちろん、1つのログインIDで他のサービスだけではなくECサイトでもログインできるようになるため、ユーザー体験の向上も見込めます。

APIの制限解除と高速化による、大量のアクセスと注文数への対応
Shopifyの堅牢なインフラ環境については先述した通り、大量アクセスや注文数に耐えられる安定性があります。Shopify Plusでは通常プランのShopifyと比較してAPIの容量・速度が約2倍に上がります。これが何を意味するのかというと、各機能の処理速度が上がることによって、サイトの表示や購入などのレスポンスが圧倒的に早くなるということです。

ECサイトにおけるページ表示や処理のスピードがCVRに大きく影響が出るとお考えの場合はShopify Plusを選ぶことをおすすめします。

チェックアウトページのカスタマイズ
Shopifyでは配送先住所や決済情報を入力するページのことを「チェックアウトページ」と呼びますが、Shopify Plusではチェックアウトページのカスタマイズが可能です。

例えば、

  • 名前のカナ項目や配送日時指定など、デフォルトにはない独自の入力項目の追加
  • アップセルを目的としたレコメンド商品の表示
  • プログレスバーや購入方法など独自コンテンツの追加

といったものが挙げられます。

ただカスタマイズはできますが、Shopify側でも推奨されてはおらず、開発・運用ともに難易度が大変高いため、できる限りデフォルトの機能のままとすることを電通デジタルではおすすめしています。

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Shopify Plusでも実現できないこと

ここまでShopify Plusの機能や強みでもある拡張性についてご紹介しましたが、Shopify Plusを選んでも実現できないこともあります。

ECサイトは通常のサイトとは異なり、さまざまな機能で構成されています。そのため、実現できないこともしっかりと理解した上で導入/対処方法の検討をすることが大変重要ですので、ぜひ参考にしてみてください。

管理画面のカスタマイズができない
Shopify Plusには商品管理、顧客管理、注文管理、ページテンプレート編集といったECサイトを運営していく上で必要な機能を管理画面で操作することができます。この管理画面について注意が必要なのが、管理画面自体をカスタマイズできないという点です。

例えばEC運用に合わせて注文情報を管理するステータスの文言を変更したり、クーポンの条件となる項目を追加したりといったことができません。

もし管理画面自体のカスタマイズが必要な場合はShopify Plusの拡張性を生かし、カスタムアプリ(※2)としてShopifyと連携したシステムを開発しそこで管理を行うか、管理画面の仕様に合わせてEC運用を行うことで対処が可能です。

最低限の会員管理機能
Shopify Plusには会員管理機能が備えられていますが、名前・メールアドレス・パスワードを基本とした最低限の項目でしか管理ができません。また、エンドユーザーが利用するマイページから編集できるのは配送先情報のみで、会員情報のキーとなる名前・メールアドレスを編集することが基本機能ではできません。

この対処方法としては、Shopifyの公開アプリの導入もしくはカスタムアプリを開発することで解決できます。

また、Shopify Plusには外部の顧客基盤と連携できる仕組みがあるため、そこで登録された情報と連携することで対処することも可能です。

ただし、Shopifyの公開アプリを導入する際は外部のインフラ環境にECサイトで取り扱う情報を保存するため、セキュリティの判断として導入が難しい場合もありますので、注意が必要です。

利用できる決済サービスが決まっている
ECサイトで欠かせないのが「決済」ですが、Shopifyで利用できる決済代行会社が決まっており、それはShopify Plusを選んだ場合も変わりません。もし既存のECサイトで既に決済代行会社と契約をしている場合、Shopify Plusで使えないという場合もありますので、その点は注意が必要です。ただし、利用できる決済サービスや決済代行会社もアップデートされていますので、Shopify Plus導入時に必ず最新情報をチェックしてください。

※=2 そのECサイト独自で開発するプライベートなアプリ
 

電通デジタルが考えるShopify Plusとの向き合い方

Shopify Plusのメリットとして、「ECサイトをすぐに立ち上げられる」、「販売チャネルの拡大や各種外部システムとの連携の仕組みが多く存在する」などが挙げられますが、電通デジタルとして考える一番のメリットは、「EC事業の成長に合わせてECサイトの拡大をし続けられる」という点だと考えます。

EC事業の成長は

  • ECサイトという基盤を立ち上げるフェーズ
  • 成長させる運用体制を整え課題を解決するフェーズ
  • 売上や利益を最大化するフェーズ

の大きく3つに分けることができます。

Shopify Plusはマーケティング施策を実施する仕組みが多く用意されており、機能開発もしやすいという特徴があるため、EC事業の成長フェーズに合わせてECサイトを拡大・カスタマイズしていくことが可能です。

ですから、EC事業自体の目標や拡大計画、ECの運用体制、基幹システムや導入済のマーケティングツールとの相性といった多角的な観点から、「Shopify/Shopify Plusのどちらにするか」、「他のECプラットフォームとするか」を選ぶことがECサイトを立ち上げる上で大きなポイントであると考えます。

なお、電通デジタルではShopify Plusの特徴や機能を熟知したメンバーによるコンサルティングや機能開発だけではなく、データを起点としたマーケティング施策の実施などさまざまな支援を行っています。

今回は、EC開発の課題を解決し得る、Shopify Plusならではの機能を解説しました。次回はECサイトを立ち上げる際の重要フェーズ「要件定義」について、Shopify Plusを使った進め方を紹介します。

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