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社歌で企業の課題解決!「社歌コンテスト」No.8

社歌コンテスト最優秀賞!昭和女子大学、日本一の裏側

2022/03/30

2022年2月10日、社歌日本一を決める「第三回NIKKEI全国社歌コンテスト」決勝戦・表彰式が開催され、応募作142曲の中から昭和女子大学が「最優秀賞」および「川嶋あい賞」に輝きました。“日本一”という結果を残せたことはもちろん、楽曲制作や応募の過程でもさまざまな成長や気づきが得られたそうです。

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受賞を記念し、同大学の総務部・比嘉秀之氏と広報部・手塚瞳氏に特別インタビューを実施。楽曲制作の狙いやコンテスト応募の経緯、受賞後の反響などを、社歌コンテスト発起人の電通・森本紘平が聞きました。

100周年を機に、学園の思いを一つに。学生主体のイメージソングプロジェクト

森本:最優秀賞受賞、おめでとうございます。楽曲や動画のクオリティはもちろん、決勝戦のプレゼンテーションも見る人の心を揺さぶる、素晴らしい内容だったと感じます。今回の楽曲「For Our Dreams」を制作された背景を教えていただけますか?

手塚:2020年に創立100周年を迎えた本学園では、100周年記念事業としてシンボルマークやLINEスタンプの作成など、さまざまな活動を行ってきました。その一環として、在学生や卒業生、教職員の学園に対する愛着心を高め、次の100年に向けて思いを歌い継いでいく目的で立ち上げたのが、学園イメージソングプロジェクトです。

比嘉:もともと本学園は創立時から歌を大切にする文化が根付いていまして、附属校も含めると約30曲の歌があり、いろんな行事や節目のタイミングで歌い継がれてきました。慣れ親しんだ歌もたくさんあるのですが、100周年を機に改めてみんなの心を一つにする歌を作りたいという思いから生まれたプロジェクトなんです。

森本:決勝戦では学生さんがプレゼンテーションを行っていましたが、学生主体のプロジェクトなのでしょうか?

手塚:そうです。企画の発端は職員ですが、やはり歌い継いでいく本人たちの思いを大切にしたかったので、私たちはあくまでもサポートする立場で、作曲の依頼から歌詞の募集・編纂、ミュージックビデオ制作の依頼まで、あらゆる作業を学生が主体となって進めました。

meeting

森本:そうなんですね、メロディや歌詞はどのように作っていったのですか?

手塚:世界的な作曲家・ピアニストである松本俊明さんに作曲をお願いし、歌詞は学生や附属校の生徒、児童、教職員から広く募集しました。最初はあまり集まらなかったのですが、食堂に募集案内を置かせてもらったり、共感してくださる先生に授業で取り上げてもらったり、松本さんから作曲を学べるワークショップを開催したりと、学生たちがあらゆる手段を考えて実行し、たくさんの歌詞を集めることができました。集まった歌詞を楽曲の目的や学園の歴史などと照らし合わせながら一つの歌詞にまとめたのも学生たちです。

歌詞
集まった歌詞の一部
歌詞2

森本:歌詞制作だけでなく、イベントの企画や運営、関係者との調整、プロジェクト全体の管理など、非常に難易度の高い作業が多いプロジェクトだと思うのですが、学生さんたちにお任せすることに不安はなかったんですか?

手塚:学生たちの熱量でプロジェクトを動かしたほうが、大人の私たちが考えるよりも絶対に面白くなるし、彼女たちなら絶対にできると信じていました。クリティカルな抜け漏れのチェックや、軌道修正が必要な時のアドバイスなど、職員がコントロールすることは最低限に留めていました。

森本:理想の上司と部下の関係性ですね(笑)。

比嘉:理事長や学長も常日頃から「学生の主体性を大切にしなさい」と言っているので、教職員にもその姿勢が身に付いているのだと思います。やれるところまでやらせて、本当に崖から落ちそうな時だけ助ける、というスタンスです(笑)。

レコーディング
レコーディングの様子

ミュージックビデオに込めたのは、学園が持つ“縦横”の魅力

森本:ミュージックビデオも秀逸ですよね。学生や生徒だけでなく教職員や警備員の方々が登場されていて、まさしく心を一つにするという言葉がぴったりな印象を受けました。映像はどのような経緯で作ったのですか?

手塚:楽曲が完成した後、もっと学内外に効果的に広めたいという思いで企画しました。制作会社の選定からオリエンテーション、コンペの選考まで、すべて学生主体で行っています。

コンペ
オンラインで行った企画プレゼンの様子

森本:すごい、われわれ広告会社の仕事と同じようなことをしていますね(笑)。ちなみに、選定基準にはどのようなものがあったのでしょうか?

手塚:なるべく公平に選考できるようにと学生が評価シートを制作し、コンセプトとの整合性や設計力など、けっこう細かく項目を立てて検討させてもらいました。特に著名人だけでなく一般人の撮影にも強みがあるかどうかは重視していたポイントの一つです。

シート
評価シート

森本:なるほど、出演者の皆さんが本当に良い表情をされている理由が少し分かった気がします。

比嘉:正直、最初にミュージックビデオを作ると聞いた時は学内がざわつきましたよ。いきなり学生や教職員がダンスの練習を始めたけど何なんだ?と(笑)。でも完成した映像を見て、出演者の多様さや過去・現在・未来の描き方など、学園全体が立体的に表現されていることに感動しました。OBの集まりや同窓会などでも「昔を思い出しました」と、非常に好評なんです。

撮影
撮影の様子

手塚:制作会社へのオリエンテーションで、学生たちが「時間軸も、学園の多様な側面も表現したい」と伝えてくれたおかげで、学園の魅力を縦横たっぷりと描いたミュージックビデオが完成したと思っています。

楽曲制作のプロセス自体に、学びの方針を体現する

森本:今回、社歌コンテストに応募されたきっかけを教えていただけますか?

手塚:楽曲が完成したものの、コロナ禍でなかなかお披露目する機会がなく、もっと皆さんに知っていただける場を探していました。社歌コンテストの存在自体は知っていたのですが、たまたま日本経済新聞に昭和女子大学の活動を取り上げていただいた時、その対向面に社歌コンテストの広告が載っていたんです。もう、これは運命だなと(笑)。学生たちも是非チャレンジしたいと言っていたので、思い切って応募してみたんです。

森本:応募時から予選を通過できる自信はあったんですか?

手塚:もちろん、できるだけ多くの人たちに知っていただきたいという思いはありましたが、決勝に進めると知った時はプロジェクトメンバー全員がざわつきましたよ。そこからは、みんなで過去の決勝戦の映像を見ながら、どのようなプレゼンテーションにするか試行錯誤の日々でした。

森本:そして当日、見事に素晴らしいプレゼンテーションを披露して優勝されました。あの時の心境はいかがでしたか?

手塚:決勝に残れただけでも十分なのに、3位以内に残った時点ですでに動揺していました。最優秀賞が決まった時は、もう感極まって大変でした(笑)。

比嘉:学内ではちょうど理事会が開催されていて、手塚さんがテレビ電話で決勝の様子を中継してくれていたんです。その場で最優秀賞を報告できて、理事会に参加されている皆さんも非常に喜んでいましたよ。

森本:まわりの反響はいかがでしたか?

手塚:決勝戦の夜は、教職員やOBの方々からのメールが止まりませんでした。学生たちのもとにも卒業した先輩からのメッセージがいっぱい届いたそうです。決勝前にも、一見クールに見える教職員からすれ違いざまに決勝戦のアドバイスを頂くこともあり、本当にたくさんの方々が応援して支えてくださったことに感謝しています。

森本:改めて話をお聞きしてみると、社歌コンテストで最高の結果を得られたことはもちろん、そこに至るまでのプロセス自体が学生さんの人生の糧になっていると感じました。プロジェクトの経験がそのまま社会に生かせそうですよね。

手塚:はい、本学園では「夢を実現する7つの力」を学びの方針に掲げ、例えば「課題を発見し目標を設定する力」や、「一歩を踏み出し行動する力」を大切にしています。このプロジェクト自体が7つの力を伸ばすきっかけになったと思いますし、私たち職員も学生たちの取り組みからたくさん学ぶことができました。

比嘉:決して順調なことばかりではなかったのですが、壁にぶつかるたびに何とかもがいて突破しようとする学生たちの姿は、本当に見ていて頼もしかったですし、その熱量にこちらが突き動かされることも多々ありました。

手塚:この活動をどんなに頑張っても、単位取得にはならないんです(笑)。それでも一生懸命、熱量と時間を割いてくれた学生たちが「日本一」を経験できたことは最高のご褒美になったと思います。本当に日本経済新聞社さんやJOY SOUNDさん、ココペリさんはじめ関係者の皆様、素敵なコンテストを作ってくださってありがとうございます。

森本:企画側のわれわれこそ、応募していただいたことにとても感謝しています。「社歌」と聞くと企業のイメージが強いと思いますが、学校や自治体も含めた、あらゆる組織やチームを音楽でより良くしていくことが社歌コンテストの本質的な価値です。今回、昭和女子大学さんが「最優秀賞」という形でその本質を示してくれたのではないかと思っています。改めて、最優秀賞おめでとうございます!

【プロジェクトメンバー(学生の皆さん)のコメント】

■Aさん
受賞が決まった瞬間、プロジェクトに関わってくださった人たち、サポートしてくださった人たちの顔が浮かび、感謝の気持ちで胸がいっぱいになりました。受賞後、以前お世話になった先生からお祝いのメッセージを頂いたり、学生たちが授業でこの曲を取り上げていることを聞いたりと、私たちの知らないところでも少しずつ浸透しつつあると感じています。社歌コンテストは、「For Our Dreams」を学園の伝統にしていくための大きな一歩になりました。

■Bさん
大変なこともたくさんありましたが、最優秀賞を頂けたことで全てが報われた気がします。私たち学生がプロジェクトを進める裏側で、実は職員の方々が本当にいろんなフォローをしてくださっていたことを知りました。みんなの力で勝ち取った日本一を誇りに思います。

■Cさん
ようやくミュージックビデオが完成した時に感じた大きな達成感。それを上回るほどの喜びを、今回の受賞で味わうことができました。学園の思いを込めた楽曲を公の場で評価していただき、JOYSOUNDさんでのカラオケ配信も決まったことで、もっと多くの人たちにこの歌を知ってもらえるといいなって思います。

■Dさん
私はもともとミュージックビデオの出演者でしたが、楽曲や振り付けの素晴らしさ、何よりも先輩方の熱量に感動して、プロジェクトへの参加を希望しました。本当に大好きな曲なので、より多くの人たちに歌い継がれ、踊り継がれていくことを願っています。

■Eさん
この度は素晴らしい賞をいただき、誠にありがとうございます。仲間と試行錯誤し多くの方々のサポートの中で完成した「For Our Dreams」ですが、日本一になるほど大きく育つのを間近で見ることができ、大変うれしく思っています。この楽曲が今後も新たな伝統として成長し、学生はじめ昭和女子大学と関わるすべての人々を繋ぐ懸け橋になれば幸いです。

■Fさん
ミュージックビデオの製作など様々な場面で学内の仲間や制作会社の皆様と協力したことで、今回のように全国から高く評価していただける素晴らしいものを生み出すことができました。これまで「For Our Dreams」が学内で伝統になるようさまざまな方面にアプローチしてきましたが、今回の最優秀賞受賞により、学園が誇れる伝統の一つになったら大変うれしく思います。

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