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【グローバル】加速するサステナビリティ&サーキュラーエコノミーNo.13

韓国のサステナビリティ潮流は、 「ゼロ・ウェイスト」と「エシカル消費」

2022/03/31

─16カ国サステナブル・ライフスタイル意識調査からのトレンド②─

2021年7月、電通グローバル・ビジネス・センターと電通総研は共同で、12カ国(日本、ドイツ、イギリス、アメリカ、中国、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)を対象に「サステナブル・ライフスタイル意識調査2021」を実施。さらに10月には、4カ国(ブラジル、オーストラリア、韓国、スウェーデン)を対象に追加調査を行いました。

前回に続き、合計16カ国のサステナブル・ライフスタイル意識調査から、今回は、韓国のサステナビリティトレンドの前編として、環境意識をとりあげます。

<目次>
韓国のサステナビリティ意識は高いか?
新たな低炭素ライフスタイル「ゼロ・ウェイスト」
エシカル消費意識の高い韓国
 



韓国のサステナビリティ意識は高いか?

まず、調査対象の16カ国の中で、韓国のサステナビリティ意識の特徴を見てみましょう。韓国は「サステナビリティのイメージ」「関心のある社会課題」「社会課題の情報接点」については、日本、ドイツ、イギリスに近い結果となりました。

一方で、「環境税の許容度」「消費への考え方」など、コスト負担にポジティブなのは、中国、インドとASEANに近い傾向です。

国別一覧表

韓国で関心が高い社会課題としては、「自然災害」「経済の停滞」「大気汚染」がトップ3にあげられています。韓国では、毎年春になると大陸から風にのって運ばれてくるPM2.5による大気汚染が問題になっています。野外活動が制限され、空気清浄機が購入されるなど、人々の暮らしに大きな影響を与えています。

2019年には「大気汚染及び気候変動に対応する国際フォーラム」が開催され、中国の生態環境部とパートナーシップを結んで、問題解決に向け連携して取り組むことが決まりました。多くの人が気候変動は韓国だけで解決できる問題ではなく、隣接国と連携して対応する必要があることを肌で感じています。

また、韓国のサステナビリティのイメージとしては「地球環境」だけでなく、「循環型社会」や「技術的進歩」もあげられており、先に見た社会課題「経済の停滞」に対する解決策とつながって認識されている印象です。

「人の暮らし」と「産業の発展」が密接にかかわっているということが高く認識されています。調査でも、「『気候変動』と『飢餓』と『再生エネルギー転換』は、密接に関連があると思う」と「『気候変動』と『飢餓』と『再生エネルギー転換』はそれぞれ別の課題だと思う」のどちらを選ぶか、という質問で、前者を選んだ人が67.6%と、他国よりも高い数値になったことからも確認できます。

『気候変動』と『飢餓』と『再生エネルギー転換』は、密接に関連があると思う

韓国の「SDGs」の認知率は16カ国の平均値と同じである49.2%と、日本より20%も低いですが、「カーボンニュートラル」は75.0%、追加で聴取した「ネットゼロ」も72.8%の高い認知率です。なお、持続可能な経済モデルとして注目される「サーキュラーエコノミー」も71.2%の認知率でした。韓国は炭素削減関連技術の進歩によって、経済発展を図ることを目指している影響もありそうです。

サステナビリティ関連用語の認知率


 

新たな低炭素ライフスタイル「ゼロ・ウェイスト」

炭素削減に向けた韓国の努力は、暮らしの中にも表れています。「電車、バスなど、なるべく自家用車を使わずに移動する」は45.4%で、韓国が16カ国中最も高いスコアです。これは都市部で交通網が発達し、自家用車なしでの移動が中心ということだけでなく、「CO2削減」を意識している人が多いことが背景にあります。

日常生活に取り入れているもの

「エコバッグを使用する」は16カ国平均並みですが、韓国では1999年から大型マートを中心にレジ袋が有料化され、エコバッグ以外でも「段ボール2次使用」や「貸し出しRe-Useエコバッグ」などのレジ袋の代わりになるものが定着しています。そのため「ビニール袋をもらわないようにしている」という表記で聴取していたらもっとスコアが高く出た可能性があります。

エコバッグ
E-マート(韓国の大型マート)の自主包装台: 段ボール2次使用、配達用貸し出しRe-Useエコバッグ、環境部のレジ袋禁止案内ポスター

韓国では大型マートの有料レジ袋のように、1995年から「ごみ排出の従量制」が実施されていて、ゴミの種類と量ごとに地域指定のゴミ袋を有料購入して捨てることになっています。そのために、「リサイクルと分別ができないゴミを捨てること=有料」という認識が強く、節約のためにも、捨てられるゴミの量を減らす生活習慣が定着しています。(例:30L/1枚、ソウル市一般ゴミ基準、約50円)

ゴミ関連
マンションのゴミ分別場、有料ゴミ袋20L/10L、環境部の分別ガイド

また、最近では本来のゴミをなくすという意味だけでなく、「低炭素社会実現に向けた行動」という意味で、「ゼロ・ウェイスト」が新たなライフスタイルとして注目されています。

そのトレンドは2021年10~12月まで韓国の地上波テレビ「KBS2」で木曜日の夜10時に放送されてネットで話題になったバラエティ番組「今日から無害に~炭素ゼロプロジェクト」からも確認できます。

この番組は、自然の中に滞在しながら炭素ゼロ生活に挑戦するというもので、人気女優と俳優夫婦の3人が田舎に暮らしながら、多様な低炭素ライフスタイルを実践。削減された炭素の分だけ木を寄附する内容でした。

この番組の面白かったところは、出演者だけではなく、番組撮影チームも最低限の人数で、撮影現場にペットボトルのミネラルウォーターの代わりに浄水器を持っていくなど、低炭素に向けて本気の努力を見せたところです。良い点だけでなく、低炭素ゼロ・ウェイストへの不便さもそのまま番組で紹介。視聴者にその不便を受け入れられるか判断ができるよう提示したことも視聴者の心を動かすコンテンツパワ―になりました。私もその影響を受け、容器のない固形シャンプー「シャンプーバー」に挑戦しました。

「ゼロ・ウェイスト」の観点では、プラスチックで作られた詰め替えパックより、根本的にゴミの量を減らせる紙のエコパッケージが人気です。寄付や中古売買も、お店や人の移動で炭素が発生するオフラインより、オンラインが良いと考えられています。そのため、寄付や中古売買ができるECサイトが支持されています。

なお、コロナで一時中止になりましたが、2022年6月からはカフェ内での使い捨て紙・プラスチックコップとストローの使用禁止法が再開される予定です。この件についても、単純に使い捨て用品・プラスチックの使用を減らすことが良いとされるのではなく、「マグカップを洗う水や洗剤の使用と、労働力とを天秤にかけたうえで、その行動が環境保全のために正しいといえるか」といった議論も活発です。

プラスチックストロー禁止
韓国政府から各店舗に提供するプラスチックコップとストローの使用禁止法に関するポスター

多角的に環境への影響を考えた議論がされている、韓国ならではの低炭素社会実現に向けたゼロ・ウェイストのムーブメントには今後も注目です。

韓国のゼロウェイストライフ


 

エシカル消費意識の高い韓国

SDGsのターゲットになっている2030年のイメージに関する質問では、日本・韓国共に「技術進歩」「デジタル」が上位で、環境問題というよりも先端・発展系の未来が想起されていました。また、16カ国の中、韓国で唯一 「バイオ技術」が3位になっていることには注目です。国に対する現状評価でも、韓国は日本に比べて「幸せ」の同意スコアが約20%も低い半面、「希望」「成長・投資」の同意スコアは約14%も高いことが特徴的です。現在の暮らしに課題を感じているからこそ、未来への変化が求められているのかもしれません。

2030という言葉から連想すること
国と社会に当てはまるキーワード

韓国の未来への期待は消費の意義に対する態度の変化からも確認ができます。2010年の調査と比較して韓国は「公的な意義を優先したい」が2021年に45.0%と、26.6%増加しています。一方、日本は「公的な意義を優先したい」が6.7%減少して38.4%となりました(減少したのは日本・スウェーデンのみ)。これは、2030年のイメージにもあった「将来への不安」が作用しているのかもしれません。

消費に向ける優先意義変化

また、韓国は金銭的・物理的な不便があっても、地球環境に配慮したライフスタイルを取り入れようとする意思がすべての項目で16カ国平均より高いのが特徴的です。

よりよい未来のために、日常的に意識している行動に近いもの

環境負荷低減の代償として、商品購入時のコストアップへの受容をみてみると、韓国はすべての商品カテゴリで、1.3倍でもコストアップを受容する割合が、16カ国平均よりも高くなっています。特に家電・車・食品/飲料など、低炭素化の動きが活発なカテゴリで受容性が高く、エシカル消費の形で意思を表現していることがうかがえます。

環境負荷低減が50%低減するならば、価格が1.3倍高くても許容できる

韓国において「環境を守るためにできることはしたい」「より良い未来へ貢献したい」という意思が強く表れているのは、「炭素削減の必要性」と「気候変動の危険性」が社会全般に共感されているからでしょう。企業が人々を巻き込んだサステナビリティを推進する際は、その地域ごとの関心文脈に沿ったメッセージとアクションが求められるのではないでしょうか。

【調査概要】
タイトル:「サステナブル・ライフスタイル意識調査2021」
 調査手法:インターネット調査
 実施主体:株式会社電通、電通総研
 調査時期:2021年7月8日~20日
 対象国:12カ国(日本、ドイツ、イギリス、アメリカ、中国、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)
サンプル数:4800人
 対象条件:18~69歳男女、ASEAN6カ国は18~44歳男女

タイトル:「SLS2021追加調査①10月」
 調査手法:インターネット調査
 実施主体:株式会社電通
 調査時期: 2021年10月17日~30日
 対象国:スウェーデン、ブラジル、オーストラリア、韓国
サンプル数:2000人
 対象条件: 18~69歳男女
 
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