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未来づくりは未来の意思を可視化するところから始まるNo.2

10年後のライフスタイルは、どう変わる?
~生活行動時間を可視化してみた~

2023/12/06

未来の事業創造連載の第1回では未来の顧客像「Future Persona」とその導出法を解説しました。今回は、第1回でも触れた「Future Time Use(フューチャータイムユース)」について、より詳しくご紹介します。

Future Time Useは、未来の生活行動時間を可視化したツールです(リリースはこちら)。このツール開発にも携わった筆者が、現在のデータをもとに可視化した生活行動時間の変化から、未来にどういう人がいて(=Future Persona)、どういうライフスタイルを送っているのかを構想してみたいと思います。

<目次>
未来事業創研が開発したFuture Time Useとは

未来は家の中で過ごす時間が増える?

未来のくらし:一人行動が増えて意識が自分に向かうように

未来事業創研が開発したFuture Time Useとは

ビデオリサーチのMCR/ex(※1)で導き出した生活行動時間の時系列データ(全部で49項目)を、コウホート分析(※2)という統計的手法を使って分析。さらに未来事業創研の各領域の専門家の意見を交え2030年代の生活行動時間を総合的に予測したものが、Future Time Useです。

この未来の数字は、あくまで未来における平均的な行動時間を示しています。一人一人個別に見た場合には、もっと仕事をしている人も、もっと家事・育児に時間をかけている人も、はたまた、一日の大半をネットゲームに費やす、という人も存在するでしょう。そのため、ここでいう未来の生活行動時間は、未来の世の中の「標準的な行動時間」であることを前提に見てください。

※1=MCR/ex
Media Contact Report/exの略。特定の1週間について、生活者の行動を「基本的な生活行動」「メディア接触」「買い物行動」の視点から、曜日別に時間軸に沿って捉えるデータベース。最小15分単位で捕捉し、1日の流れの中でいつ何をしているのかを把握するという日記式の調査
 
※2=コウホート分析
長期的な継続調査データから、その変化の要因を加齢を要員とする影響(年齢効果)、時勢を要因とする影響(時代効果)、世代差を要因とする影響(世代効果あるいはコウホート効果)に分離する分析方法。コウホートとは、出生年(あるいは出生年代)を同じくする集団を指す
 

〈MCR/exで実態を捉える4の側面〉

〈MCR/exで実態を捉える4の側面〉
※買い物行動はオプション項目
MCR/exについて:https://www.videor.co.jp/service/media-data/mcrex.html

未来は家の中で過ごす時間が増える?

それでは、これからはどういう行動時間が「増える」、あるいは「減る」のでしょうか?

まず、各セグメント(今から10年後の10~60代×男女別の計12セグメント)において顕著な変化を示すポイントを下にまとめました(図表1)。

2030年代の10代(=現在の10歳未満)では学校で過ごす時間が減り、20代(=現在の10代)では自宅内でのインターネット利用時間が増え、30~40代(=現在の20~30代)は家の中での仕事時間、すなわち在宅勤務時間が増加します。50~60代(=現在の40~50代)では睡眠時間が増加することが分かってきました。

増える行動時間と減る行動時間

ここから見えてくる未来のくらしの全体的な傾向として、「未来の生活者は家の中で過ごす時間が相対的に増加」することが分かります。未来の10代でイエソト学校の時間が大きく減る(逆にイエナカ勉強時間は男性で15分、女性で17分増加)以外は全てイエナカに関係する時間が顕著に増えていることからも明らかです。一日=1440分という上限時間の中で、特に30代女性はイエナカ仕事だけでも時間が8.7%増(125分/1440分×100で計算)になると予測されます。

ここからは私たちが考える「未来のくらし方」を具体的にご紹介します。

未来のくらし:一人行動が増えて意識が自分に向かうように

未来においては睡眠時間が今よりも大きく増加し、休養・くつろぎ時間も増加することが予測されました。通常の場合、睡眠は一人で行う行動であるため一人行動時間がそのまま増加する要因になります。休養・くつろぎは複数人で行うこともあると思いますが、基本的には自分一人で「ふーっ」と息をつくことがほとんどでしょう。

この2つの生活行動時間からも一人行動が増えることが指摘されますが、ここには数字は記載していないものの食事時間が減少するセグメントもあることが今回分かりました。食事は友人や家族など、人と一緒にとることも多いことを考えると、その食事時間が減るということは、相対的に一人で過ごす時間が増えることになると思われます。

こういった未来予測を裏付ける未来のライフスタイルインサイト情報として、未来予測支援ラボのHPにある「未来を予測するキーワード」では、「自分らしさサステナビリティ」というキーワードを紹介しています。

これは、自分らしさを取り戻すために、あえて一人で過ごすことを選択するくらしを表現したキーワードです。一人行動をすることで自分自身を見つめ直したり、自分はこういうことをしたかったんだという気づきを得たり、世の中を哲学的に考えたりする人が将来もっと現れてくるのかもしれません。

これ以外にも、アイディエーションした未来のくらしとして

  • 学校で過ごす時間が減少。自宅でのVR環境で教育を受けるなど、学校教育を受ける場が多様化
  • 時間という資源を有効活用する“時間富裕層”が増える!
  • 働く場所が自由に選べて、田舎でポツンと住まうワークスタイル

などなど、筆者が一人で構想してもいくつも出てきます。

皆さんも、「こういう生活行動の変化があるなら、他にもこういうライフスタイルが出てきそう」などいろんな感想を持たれたのではないでしょうか。

未来事業創研が開発したこのFuture Time Useは、Future Personaを思い描く材料になるだけでなく、未来の「あるべきくらし」を構想して、それに向けてどういう商品・サービスの提供の仕方があるかを考える基盤にもなり得ます。もしご興味を持たれたらお気軽にお問い合わせいただければと思います。

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