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こどもの視点ラボ・レポートNo.8

【こどもの視点ラボ】大学生と高校生も!こどもになってくれた

2023/12/25

タイトル画像

こどもの視点ラボは大人がこどもになってみることで、こどもへの理解を深めるための活動をしています。今回は、ラボのコンテンツを体験してくれた学生さんたち、そしてラボの研究を参考に文化祭などで制作してくれた「こども体験」についてご紹介したいと思います!

立正大学での「こどもの視点教室」の様子。
立正大学での「こどもの視点教室」の様子。

まずは「こどもの視点教室@立正大学」。ラボ・レポートNo.5でお世話になった岡本依子先生の授業を受けている学生たち40名が、実際に「ベイビーボイス」を体験してくれました。話した言葉がすべて泣き声に変換されてしまうベイビーボイス。岡本先生が「ただ装着して話すんじゃなくて、友達にいま思っていることを伝えようとしてみたら?」と学生たちにアドバイスしてくださり、みんな、友達に向かって思いを伝えようと奮闘してくれますが……。

「オギャーオギャー(昼ごはん一緒に食べよう!)」「え?なになに」
「ほぎゃーほぎゃー(早くゲームやりたい!)」「なんだろ?もう1回言って」
「ふんぎゃーふんぎゃー(ねむい。ねむいー!)」「いや、ぜんぜんわかんない」

大学の教室に響きわたる赤ちゃんの泣き声と学生たちの笑い声。なかなかにシュールで面白い光景でした。

ベイビーボイスを実際に体験中の立正大学の学生さんたち。
ベイビーボイスを実際に体験中の立正大学の学生さんたち。

石田:子ども教育福祉学科で保育や教育を志している学生さんたちで、私たちの6つの研究紹介もみんな熱心に聞いてくれました。

沓掛:男子学生も多かったね。赤ちゃんに触れることが日常生活で少ない学生も多くて、ベイビーボイスへの戸惑いも感じられたけどほぼ全員に体験してもらえたのが良かった。教室中が泣き声にあふれて大変な状況になっていました(笑)。

石田:講義の後、「赤ちゃん側の伝わらないもどかしさが実感できた」「今までは赤ちゃんが泣いていると早く泣きやんでくれないかなぁと思ってしまっていたけれど、何を訴えているのか考えようと思えた」など、たくさんのうれしい感想を聞くことができました。

沓掛:僕は「こどもに寄り添うとは言っても、想像だけでは難しいなと感じていた。体験することで、こどもがどうしたらより豊かな生活を送ることができるのか、こどもの困りごとをどうしたら軽減することができるのかを考えられるようになると思いました」という感想が印象的でした。頭ではわかっていても実際やってみると想像以上に大変なこと、作っていた自分たちも感じていたことなので。

石田:「こどもたちが楽しく生活を送れるように、大人の私たちが見る視点を変えていくことで世の中は変わっていくと思う」というコメントがとても頼もしいな、と思いました。

沓掛:「こどもたちのことだけを考えるのではなく、今回学んだことを活かして子育てに悩んでいる保護者を支えていけるようにしたい」という感想もうれしかったです。保育者、教育者の立場だからこそ説得力を持って伝わる言葉があると思うので。ぜひ生かしてもらいたいです!

大学の文化祭で。「こどもの歩幅」など新しいアイデアも!

石田:さて次は、ラボの研究を参考に制作&発表してくれた学生さんたちのご紹介です。長野県の上田女子短期大学 幼児教育学科・関ゼミのみなさん。2022年の文化祭で「ベイビーヘッド」や「2歳の朝食」、「4mの大人たち」などを自作してくれました。

ゼミ内で「こどもの理解者を増やそう」という目標を持ってボランティアなどに取り組んでいたところ、偶然インスタで流れてきた「こどもの視展」のリール動画を庄村愛里花さんが見つけてゼミのみんなにシェアしてくれたのがきっかけだったそう。

沓掛:ゼミ生と関裕子先生から「文化祭で制作させてもらっていいでしょうか?」とメールをいただいた時は、どうやって学生たちでプロダクトを作るんだろう?と思っていましたが、発表後に動画や写真を送ってもらって度肝を抜かれました。「え!こどもの視点がホラーになってる!?」と(笑)。

石田:文化祭アレンジでハロウィーンっぽい仕様になっていたんだよね。

沓掛:ちょっとホラーなエンターテインメントにアレンジされていて、とてもチャーミングで。ラボの研究を読み込んで作ってくれているのがわかって、学生さんたちの熱意に感動しました。

上田女子短期大学での制作&展示風景。リアルな4mの大人の展示も。
上田女子短期大学での制作&展示風景。リアルな4mの大人の展示も。

石田:自分たちのアイデアをカタチにした体験もあって驚きました。

沓掛:「こどもの歩幅体験」が秀逸だったよね。歩幅が狭くなるように、編んだ毛糸で2つのつながった輪っかを作ってそれを足に装着。大人役の学生と一緒に歩いて体験するというもの。シンプルなんだけど、その手があったか!と僕たちの方が勉強させてもらいました。

石田:これは発起人の一人である丸山愛乃さんが、実際に小さなおいっ子くんと手をつないで歩いていた時に「こどもは大人と歩幅が全然違うんだな、合わせてあげないと」と思った経験から考案したそう。

沓掛:僕たちも体験させてもらったんだよね。

石田:はい。文化祭がとても好評だったということで、その後、学校を飛び出して商業施設で展示されたところに、私たちもお邪魔して体験させてもらいました。大人の歩く速度の速さを思い知ったよね(笑)。

「こどもの歩幅」をラボメンバーも体験
「こどもの歩幅」をラボメンバーも体験/左からお話を伺った庄村愛里花さん、町田百穂さん、丸山愛乃さん

沓掛:歩幅については、僕たちも今後研究したいな、と考えさせられました。あと、アンケートを入れるBOXが背の高い郵便ポストになっていて。最後までこどもの気持ちが体験できる仕様になっていてとても気が利いてるなぁ、と感心しました。

石田:商業施設を訪れた時は、2022年の文化祭で体験を作ってくれた学生さんが、保育士さんになって活躍されていたね。「職場でこどもたちと接している時、ときどきラボの研究を思い出します」と話してくれてとてもうれしかったです。

UCV(上田ケーブルビジョン)レポートで紹介された展示の様子「初開催 “子ども目線”で考える子育てアリオ上田」https://ucv.co.jp/program/report/22649/


高校生考案のカラフルな展示。フォトブースも!

集合写真

石田:最後にご紹介するのは、こちらも「こども体験」を自作してくれた静岡県立富岳館高等学校のみなさん。今年11月の文化祭で発表してくれました。

沓掛:ベイビーヘッドは風船張り子で作ったそう。来場者にリアルに大きさを実感してもらうために学校の制服を着たボディにのせて入り口に展示。インパクトがあって立ち止まって見学してくれる人が多かったそうです。

制作過程

石田:大きな牛乳に加えてパンケーキも一緒に展示してあるのがかわいかったね。「大人ランドセル」は男女問わず誰でも使えるカラフルなレインボーカラーにしたそう。生徒さんたちの強い希望で入学式を想定したフォトブースを設置したとのことで、高校生らしい楽しいアイデアだな、と思いました。

沓掛:「学校」という場所ならではの見せ方がとても上手ですよね。来場者からは「こどもの視点に驚きました」「パンケーキの大きさにびっくり」「かわいくカラフルで楽しめました」などの感想があったそう。保護者のみなさんからも勉強になったという声が多かったそうです。

展示の様子

石田:文化祭の後には、生徒さんたちから「自分たちで一から作ったことで、普段感じられないこどもの大変さを知ることができました」「体感した経験を活かして、こどもの成長を見守れる大人になりたい」という直筆のお礼の手紙を受け取り、ラボメンバーみんなでとてもうれしく読ませてもらいました。

沓掛:若い世代が「こどもの視点」に興味を持って、自分たちで行動を起こして、さまざまな取り組みをしてくれたことがうれしかったよね。

石田:本当にそうだね。次の研究へのパワーをもらった気持ちです!では今回のまとめです。

●赤ちゃんや幼児に実際触れたことのない人が増えているけれど、「こどものことを知りたい」と思っている若い世代がたくさんいることを実感。

●ラボの体験は、保育や教育を志す学生たちに「こどもの気持ちになって」の意味を肌感として理解してもらうツールとしても有効。

●体験するだけでなく、自分たちで作ってみる、アイデアを出してみるなどの能動的な行動は「こども理解」「こどもとの適切な関わり」への大きなパワーになる。
さて最後に。今年、こどもの視点ラボの活動はキッズデザイン賞を受賞。「こどもの視展(主催:ITOCHU SDGs STUDIO 協力:こどもの視点ラボ)」はグッドデザイン賞、ACCにおいてPR部門シルバー、デザイン部門ブロンズ、ブランデッド・コミュニケーション部門ブロンズを受賞しました。自分たちの研究が評価されたことを大変うれしく思っています。来年からまた新しい研究&体験を発表していく予定ですので、今後もぜひこどもの視点ラボの活動にご注目ください!

受賞一覧
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