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就職人気企業ランキングはもう古い!?今の就活生インサイトとは
2024/03/06
コロナ禍によって就職活動がオンライン化し、就活生と企業のつながり方も大きく変化しました。本記事では、就活生の声をもとに2023年の就職活動の動向を振り返りながら、これからの時代に求められる企業の採用ブランディングの形について解説します。
<目次>
▼就職先を決めるのは、オンラインよりもオフライン!?
▼就職人気ランキングよりも、従業員からの口コミが大事!?
▼企業の人的資本開示と採用ブランディング
▼エントリーが1.5倍以上拡大した事例も!「就活ジャーニーマップ」で立体的なアプローチ
就職先を決めるのは、オンラインよりもオフライン!?
コロナが5類感染症に移行して、世の中はオフラインでのイベントが増えていますが、就職活動はオンラインがメインとなっています。2024年1月に行った就活生への調査でも、「就職活動はオンラインの方が多い」と答えた学生が8割を超えました。
オンラインのメリットはたくさんあります。就活生は、準備や移動の時間が減り、説明会に参加するハードルが下がります。企業は、説明会などの実施・運営の工数が減り、効率的に学生と接点を持てます。コロナを機にオンラインという選択肢が増えたことで、就職活動が最適化されたと見る向きもあります。
しかし一方では、就活生が就職先を決める上で、「オフラインで企業と接触することを重視している」という声も多く上がっています。
会社説明会のように就職先を広く調べる段階では、参加しやすいオンラインを重視しています。一方、インターンシップやOB・OG訪問のように就職先を見定める段階では、会社や従業員の雰囲気を知り、働くイメージをつかみやすいオフラインを重視しているようです。
また、理系学生は研究が忙しくて就職活動に時間を割けず、必然的に大学の先輩やリクルーターなどによるオフライン接点からの情報の影響の度合が高くなるという特徴もあります。
オンラインによる就職活動が主流となっていますが、企業はオフラインの接点をつくり、企業や従業員の雰囲気など、就活生に働くイメージを持ってもらえる情報を伝えていくことが大事になっています。
就職人気ランキングよりも、従業員からの口コミが大事!?
学生は就職先を考える上で企業のリアルな情報を求めていますが、知りたい情報にも特徴があります。就職人気ランキングの情報は就活生にとって大事な情報ですが、企業のよりリアルな情報である従業員からの評判を重視しています。
転職市場では、従業員による会社の評価を集約するサービスが増えていますが、新卒の就活生も従業員からの評判を参考にすることが今のスタンダードになっています。
企業のホームページや説明会などの一次情報に加えて、従業員からの口コミから裏付けとなる情報を得ることが安心材料になっているのかもしれません。今後は従業員からの評価が高い企業が求職者に選ばれることが増えると考えられます。就職先として選ばれるためには、企業内のリアルな情報を的確に集約して採用コミュニケーションで伝えていくことが求められるでしょう。
企業の人的資本開示と採用ブランディング
企業のリアルな情報という点では、2023年3月期決算から上場企業などを対象に有価証券報告書の中で人的資本の情報開示が義務化されます。人的資本の情報開示とは、企業に所属する人材が持つ能力(人的資本)にまつわる情報をさまざまなデータを用いて社外のステークホルダーに公開することを指します。
情報開示する内容は、義務付けされている内容と開示が推奨されている内容の2つに分かれます。義務付けされている内容としては、育児休業の取得率、男女間の賃金差、女性管理職の比率などがあります。
開示が推奨されている内容としては、内閣官房が策定した「人的資本可視化指針」に記されている開示が望ましい7分野19項目(7分野は、育成、ダイバーシティ、健康・安全、労働慣行、エンゲージメント、流動性、コンプライアンス/倫理)があります。これらは、企業価値を高める視点から各企業ならではの指標や開示内容を定めることが求められています。
人的資本の情報発信は、株主、顧客、従業員など、さまざまなステークホルダーに影響を与えますが、採用においても大きな影響があります。企業の働く環境のリアルを知ることができる情報として、就職先を選ぶ上で今後重要になるでしょう。
では、人的資本開示を採用活動にどのように生かしていけばいいのでしょう。人的資本開示が義務化されている有価証券報告書を参考にしている就活生は10%に満たないのが現状です。
情報を確実に届けていくためには、人的資本開示の情報をもとに、就活生に向けたコミュニケーションを実施していくことが求められます。例えば、人的資本開示に向けて集めた情報を採用ターゲットのインサイトに基づいて加工し、採用ウェブサイトや企業説明会で発信するのも一つの方法です。
例えば、人的資本開示の情報を踏まえた上で、採用メッセージを開発し、OB訪問などの場で従業員から発信していくといったように。つまり、企業が集約している人的資本の情報を、採用ターゲットの視点に立った内容や方法(メディア)で効果的に届けていくことが大事です。今後、採用は人事部や採用担当だけの課題ではなく、経営や現場を含めた企業全体が一体となって取り組むことが必要になると考えています。
エントリーが1.5倍以上拡大した事例も!「就活ジャーニーマップ」で立体的なアプローチ
電通では企業の採用ブランディングを支援するために、人基点のマーケティングメソッドを活用した「就活ジャーニーマップ」を開発しました。これは、マーケティングに用いられるカスタマージャーニーの考え方を応用した分析フレームで、働く人・仕事の内容・働く環境の3つの観点から就活生に伝えるべき各社の強みとなり得るリアルな情報を採用ターゲットに対して、より効果的に伝えていくために用いるものです。
この「就活ジャーニーマップ」に基づき、企業の採用ターゲットのインサイトを、電通が保有するZ世代に関する知見や調査を基に分析。その上で、各社の採用担当者・内定者・従業員に対する調査をもとに、就活生に伝えるべき各社の強みとなり得るリアルな情報を抽出した上で、就職活動における企業の認知から内定の承諾までの各フェーズにおいて、重要なコンタクトポイントや有効な訴求を体系化した上で、コミュニケーションを設計・実施します。
就活生が求める企業のリアルな情報をより効果的に届けていくためには、就職活動のフェーズに応じて、採用ターゲットのインサイトを踏まえた訴求内容とコンタクトポイントの設計が重要であると考えています。
この「就活ジャーニーマップ」を用いた結果、「企業認知率が20%以上拡大」「ターゲットからのエントリーが1.5倍以上拡大」「採用ウェブサイトへの流入が1.5倍以上拡大」「求職者からの企業イメージの変化、就職人気ランキング200ランク以上向上」など、さまざまな成果が生まれています。
オンラインとオフラインの融合、就活生が求めるリアルな企業情報の開示など、就活は変化しています。ご興味のある方は、「採用ブランディングエキスパート」までお問合せください。
採用ブランディングエキスパート
Z世代と呼ばれる高校生や大学生が対象の新卒採用や、第二新卒など若手の社会人経験者採用に向けた企業の採用ブランディングを支援する電通のコンサルティングチーム。新卒採用ウェブサイト、インターンシップ、パンフレット、企業のSNS、各種広告メディアなど、就職活動における重要な接点を用いて、企業の採用課題に沿った施策の企画から実施までを一気通貫でサポートします(リリースは、こちら)。
【調査概要】
・出典:サークルアップ調査
・調査時期:2024年1月22日~1月26日
・調査対象:大学生サークル専用アプリ「サークルアップ」に登録する大学3年生~4年生
・サンプル総数:107ss
・調査地域:全国