電子書籍『ソーシャルデザインの広め方』(3)

Dentsu Design Talk №22

  • 永井 一史
  • 福島 治
  • 並河 進

2014/03/09

電子書籍『ソーシャルデザインの広め方』(3)

 

株式会社ブックウォーカーが展開するコンパクトな電子書籍専用レーベル【カドカワ・ミニッツブック】か ら、「DENTSU DESIGN TALK」シリーズの第三弾が配信されました。
第三弾は、HAKUHODO DESIGNを設立した永井一史さん、ADKを経て福島デザインを設立した福島治さん、電通ソーシャル・デザイン・エンジンの並河進さんによる『ソーシャ ルデザインの広め方』です。社会との関係を模索し、ユニセフ「祈りのツリープロジェクト」でつながった3人のトークを少しずつご紹介致します。

 

 

<個人の動機をソーシャルグッドとどう繋げるか>

 

並河 個人の動機とソーシャルイシューを繋ぐということがすごく大事ということですよね。「祈りのツリー」のときも、デザイナーが自分のデザインしたものが銀座で飾られるのがモチベーションになるという永井さんのやり方を見ていて、設計の仕方としてすごくリアルだなと思いました。

僕は「被災地のためだったらみんな来るよ」という発想ではなくて、自分ひとりで見たときもそうだし、構成するチームメンバーのこともそうだし、個人の動機とソーシャルイシューが重なることが大事だと。そういう意味では、例えばさっきの偽善の話も、参加している人たちが100パーセント誰かのためにというと、やってあげているという意識になってしまうけど、できることなら50パーセントぐらい個人の動機で参加していけば、それが裏切られたということではなく、自分が満たされるということで済むのかなという気はします。

 

永井 そういう設計ができるというのは、送り手と受け手を同時に考える広告やコミュニケーションを仕事にしている人ならではの視点かもしれません。

 

福島 グリーンズの提案する「ソーシャルな出来事を自分ごと化する」というのも、結局人間ってそうしないと自分の問題として捉えないじゃないですか。オリンピックでも何で日本を応援するのかとか、甲子園も出身県の球児を応援するのかって、やっぱり自分と重なるところを人間って見つけたがっていて、それを応援したい気持ちがあるからで、それが自分の趣味だったり、人との繋がりだったり、仕事だったりというのは、さっきの宗教とは違う視点で、自分がやるべきだっていうことに繋がっている。

僕は「祈りのツリー」の言い出しっぺだったんですけど、永井さんが「デザインという視点を外したら僕たちがやる意味がないし、曖昧な動機になってしまう」というのを最初からきちんと言われて、僕はとにかくお金を集めましょうよと言っても、「いや、ダメだ」と。

我々がやるべきことは何か、誰に共感してもらって、最終的にどういうゴールを目指すか決めようということで、何度も話し合って我々のプロジェクト像が明確になっていきました。永井さんと僕はその話のなかで、「自分たちの職能って一体何だろう? デザインって何だろう?」と常に考えて、いろいろと気づくことがありました。今、並河さんがおっしゃったことはまさにそうだなと共感します。

 

並河 日本の場合は、ベースとなる倫理観とか規範が共通のものが大きいので、それ以上のものは個人の動機にまかせて、やりたい人はやるし、やりたくない人に無理やりやらせることはないし、そういうのが考え方のベースとしてあるじゃないですか。そのときに無理やり倫理的なことをやろうとすると、日本の場合すごく抵抗感がある。そこが西洋の場合と違いますよね。本当は個人の動機を尊重する形で設計して、ベースとして社会を良くしたいというのをみんな持ちながら、個人の動機を尊重するというそういう形のソーシャルグッドの作り方というのが、うまくシステムとして作れれば、世界中どこでも一番良いやり方のような気がします。

 

永井 いいことを無理強いするのではなくて、個々の気持ちの中にあるものを上手に引き出すことでポジティブなアクションにつなげる。そこにこそコミュニケーションやデザインのできることがあると思います。

 

 

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