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感動テクノロジーの世界No.2

オキュラスリフトで行く「ここではないどこか」

2014/11/25

DCEXPO2014

イベント会場や雑誌の特集記事などで「オキュラスリフト(Oculus Rift)」や「VR(バーチャルリアリティー)」の名前を見ることが増えてきました。皆さんはもう体験されましたでしょうか。こちらの記事で、最先端のディスプレー技術について取り上げましたが、第2回となるコラム「感動テクノロジー」ではその続編として、VRを急速に世に広める立役者となっている没入型3D HMD(ヘッドマウントディスプレー)「オキュラスリフト」を取り上げます。

オキュラスリフトは体験する人を「ここではないどこか」に連れていく。いま最注目のVRテクノロジーです。
最初に少々技術的な話になりますが、他のHMDと比べてオキュラスリフトが注目されている理由は、その性能に基づいた異次元の没入感にあります。110度という広い視野角を持つ3D映像、動作の遅延はギリギリまで抑えられ、解像度もバージョンごとに向上しています。最新の試作機「Crescent Bay(クレセントベイ)」ではフルHDを超える解像度に加え、3D音響や360度ヘッドトラッキングといった機能が搭載され、オキュラスリフトの視聴覚体験は、よりリアルの体験に近づいています。
ここからはオキュラスリフトで体験できることを大きく2つに分けて、その可能性をみていきたいと思います。

①「非実在世界」への没入

オキュラスリフトをかぶると、そこはアニメや映画の世界。上を向けばその世界の空が広がり、右を向けば憧れのヒロインが隣に座っていて、前を向けば主人公と会話をしたり握手をしたりすることも可能です。または、オキュラスリフトの代表的なコンテンツであるバーチャルジェットコースターのように、実際ではあり得ないアトラクティブな体験をつくり出すことができます。

視覚と体感の一致がヤバい

オキュラスリフトの本領は、オキュラスリフト以外の外部デバイスと組み合せたときに発揮されます。例えば馬に乗って旅をする「Hashilus(ハシラス)」という作品はロデオマシンに乗りながら体験します。馬の走るスピードに合わせてロデオマシンもコントロールされるため高い体感性があります。また走るほどに前から受ける風で疾走感が演出されていることも面白いポイントです。

ロデオマシン×オキュラスリフトで暴れ馬を乗りこなせ!
ロデオマシン×オキュラスリフトで暴れ馬を乗りこなせ!

また自らコントロールすることで、その世界を自由に飛び回ることができる作品もあります。「Little Witch Pie Delivery」はホウキにまたがって、上下左右にコントロールすることで自由に空を飛ぶことができます。足は床に着いているのにまるで浮いているかのような感覚になるから不思議です。

【企画制作:面白法人カヤック】
ホウキにまたがって空を飛ぶ。またひとつ夢がかなう。

②「あの時」を時空を超えて何度でも体験する

例えば、錦織圭選手とジョコビッチ選手の一戦。例えば、故中村勘三郎の最後の舞台。そんな、何度もタイムスリップしてその空間にワープしたい、そんな願いをかなえるのもまたオキュラスリフトの力なのです。
360度パノラマ動画撮影したコンテンツをオキュラスリフトで視聴することは、これまでの映像体験とはちょっと違うものになります。映像ではなくその空間の再現といえるものになるからです。見たい方向を自由に見られるというのは、視聴の自由度、またその空気感を体験するという意味で非常に価値のあるものになります。

[モデル:吉田早希] オキュラスリフトを活用した、VR動画の配信サービスはもう始まっている!
[モデル:吉田早希]
オキュラスリフトを活用した、VR動画の配信サービスはもう始まっている!

期待が高まる両眼視差撮影可能な360度パノラマカメラ

また少々技術的な話ですが、オキュラスリフトの特徴である両眼視差による3D映像表示。Sそれを360度パノラマ撮影で実現することは今まで難しいとされてきました。ですがその技術も確立されつつあります。来年には3D映像によるパノラマ動画をオキュラスリフトで見ることができるでしょう。これはわくわくします。
これから先いろんな貴重な瞬間。いずれ「あの時」と呼ばれる瞬間がたくさん訪れるでしょう。オリンピックを含め、これからたくさんの現場で両眼視差による3D映像表示用の360度パノラマ撮影がされるようになることを願っています。また、環境が整えばストリーミングでもオキュラスリフトでそれらの360度パノラマ動画を視聴することができると思います。オリンピックをオキュラスリフトで見る。そんな視聴方法が選択できる未来に期待したいですね。


VRのこれから

最後に、パーソナルVRという新しい文化の創造をするNPO法人として活動されているOcuFes(オキュフェス)代表の高橋建滋さんにお話を伺いました。

 

──オキュラスリフトをはじめVRは今後どのように広まっていくと思いますか。

高橋20年前の携帯電話がショルダータイプの珍しいもので、今はスマフォを当たり前のように持っているように、VRやHMDも今後日常の中に浸透していくと思っています。それこそ満員電車の中で、かばんの中からHMDを取り出すような身近な存在。そういう時代になると信じてます。

──今後チャレンジしたいことを教えていただけますか。

高橋今のオキュラスリフトは珍しさで皆取り上げてくれていますが、今後は便利だから、テレビより楽しいから使われる存在にならないといけないと思ってます。そのためにも驚きだけじゃなく感動を与えられるコンテンツ制作にチャレンジしたいです。

 

今後どんな感動を見せてくださるのか。期待しましょう。
以上、感動テクノロジー第2回コラムはオキュラスリフト特集でお届けしました。


電通エクスペリエンス・テクノロジー部は、デジタルもアナログも、さまざまなテクノロジーを掛け合わせて、今までにない感動体験(エクスペリエンス)を作り出すテクノロジー集団として活動中。実現不可能と思われるアイデアも、テクノロジーによって実現の糸口が見つかるかもしれません。
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