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キメゾーの「デジタルソリューションがよく分かっていねえ」No.2

draffic(統合ソリューション局 森下治秀)

2013/10/29

電通が開発した、人の動きを可視化する新ソリューション「draffic」(ドラフィック)。

その正体に迫るべく、デジタルリテラシーゼロのキメゾーが担当者の電通コミュニケーション・デザイン・センター(当時)森下治秀さんに話を伺ってきました。

森下氏とキメゾー
 

──「draffic」は「ドラ焼き」が由来なのか? なにせ俺は甘党で、昨日も独りでケーキバイキング…

森下: (仏のような笑顔で)これはね、全然ちがいます。
“Distribution(分布)”と“Traffic(人の往来)”を組み合わせたものです。

──ドラ焼きじゃないとしたら、結局これは何なんだ? 話が見えなくなってきたぞ。

森下: 簡単に言うと人の流れ、いわゆる「顧客導線」を膨大なデータを元に可視化するサービスです。いつ、どれだけの人が、どこに行って…という人の流れが分かる、ありそうでなかったサービスなんです。

──そもそも、なんでこんなこと始めたんだ? ポケットマネーのためか?

森下: 「ゼンリンデータコム」さんに蓄積されていた、利用者の許諾を取っている数十万人分の位置情報データを、何かに活用できないか?というところから2011年にスタートしました。実際サービスをローンチさせたのは2012年です。

──ポケットマネーのために?

森下: いえ、電通として街や企業が抱える「課題」だったり「新しい発見」を抽出し、適切なソリューションを提供するためです。

──具体的にどういう情報が「見える化」されるんだ?

森下: 時間軸に沿った位置情報を、ビジュアルデータで示せるんです。人がどこから来て、どこへ向かうのか、一目で分かります。流通各社でも、ここまで細かいデータを持っていなかったので、画期的なことなんです。「条件設定」も細かくできるので、例えばあるお店に2時から3時の間に来た人たちの動きを抽出したり、滞在時間が分かったりします。

──俺が今朝電車で一目惚れしたあの子も追跡できるのか? 昔好きだった鳩江の今も? 失踪した姉の行方も? なぁ、教えてくれよ!

森下:(じらすようにゆっくりとお茶を飲んだ後で)許諾を得ているとはいえ個人情報ですので、システム上、特定の個人の動きが特定される情報は吸い上げられないようになっています。あくまで統計データとして、ランキング形式などでデータを抽出できるだけなんです。

──具体的な実績はあるのか? 絵に描いた餅なら、承知しないぞ。餅といえば、俺は甘党であんころ持ちに目がなくて…

森下:(容赦なく話を遮る)ある鉄道会社の事例なんですけど、駅のリニューアルに伴って、そのビフォー/アフターでどのように人の流れが変わったか、を可視化して課題を浮き彫りにしています。

──「draffic」があるおかげで、初めて分かるってことか。

森下: はい。あとは、ある地方自治体にも導入していただきました。観光客が日帰りなのか、その場合に滞在時間はどれくらいなのか、それとも一泊しているのか、などの細かい動きを分析して課題を抽出しています。それによって生活者の方々が、もっと暮らしやすくなったり、訪れたくなる街になることに寄与できると思ってます。

──将来的には集まったデータをもとに、逆に建物をつくったりするのかい?

森下: それはいい視点ですね。まさに「draffic」は、不動産業界も興味を持たれているんですよ。なにより社会的にも意義があるサービスで、例えば災害時の人の動きを解析すれば、この場所に備蓄をこれくらいストックしておこうとか、案内の仕方もどこにパワーを入れればいいのかが分かってくるんです。

──なんか、いいサービスに思えてきたな。

森下: そうなんです。本当に無限の可能性を秘めています。

──将来的には個人情報も吸い上げるのか? 俺は家とハローワークを行き来する有意義な暮らしをしてるが、この個人情報も買ってくれるのか?

森下: そういうものではありません。先ほども申し上げた通り、「draffic」は「統計データ」を安全に扱っていくための仕組みなんです。

──ところで森下は今まで何の仕事をしてたんだ? 「追跡」つながりで、プロの探偵か?

森下:(この日一番の真顔で)いえ。今年の2月までは大阪に住んでいて、街を歩くとポイントがたまる「チェックインサービス」のプランニングをやっていて、その流れでdrafficチームに行き着きました。

──データを料理する醍醐味って何だ? どんなときに快感を感じるんだ?

森下: チームで、新しい行動インサイトを発見するとビックリして、やったー!と思いますね。

──最近森下は、人生において何か発見したか? 意外とプチトマトが食べられないとか。

森下: おととい人生初パーマを当てたんですけど、意外と似合っていることを発見しました。この髪の流れと人の流れが、どこか似ていることも(笑)。

★Before
★After

 

──何言ってるかまったく分からないぜ。ところで電通さんとしては、「draffic」データを元に具体的に何するんだ?

森下: 屋外広告や交通広告、チラシとかのテーブルメディアプランに汎用できるパターンは多いです。あとはアプリ開発だったり、デジタルサービスに乗せたり、課題に沿った街のブランディングを担ったり。ありとあらゆるソリューションを、オール電通として提供しています。

──オール電通って、オール電化と関係してるのか?

森下: (何も聞こえなかったように)ある流通会社の新店オープンの例でいうと、オープンした後は、前年比130%くらい交通量が増えていました。ですので、新たに流入している人を囲い込み、リピーターになってもらうための施策が必要です。ただこれが仮に80%だったとしたら、対応策は変わりますよね? もう一度マス広告を使って流入数を増やしましょう、とか。とにかくデータを元に、臨機応変にソリューションを提供しています。

──「drafficグランプリ」みたいなものを作ったらどうだ? 1年前と比べていちばん人が増えたエリアを表彰して、日本中に新しい観光スポットを増やすんだ。

森下: なるほど、それはちょっといいアイディアですね。

──じゃこのアイディア買い取ってくれ、300万円でどうだ?

森下:「draffic」は、本当に発見が多く見つかるサービスです。

人の流れをビジュアルデータで見るだけでも興味深いですし、ぜひ気軽にご連絡ください。

──じゃ200万円でどうだ? なぁ…。