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Dentsu Design TalkNo.3

角田陽一郎×中村洋基×朴正義×澤本嘉光
「明日のテレビをつくる」会議!(前編)

2013/11/08

Dentsu Design Talk 第96回(2013年3月5日実施)は、「『明日のテレビをつくる』会議!」と題して、視聴者参加型のインタラクティブなテレビ番組の制作についてトークが繰り広げられた。登壇したメンバーは、TBSテレビの角田陽一郎氏、デジタル技術を活用したクリエーティブを得意とするPARTYの中村洋基氏、インタラクティブ番組を実現する表現開発を牽引するバスキュール社長の朴正義氏、CMプランナー・クリエーティブディレクターの澤本嘉光氏(電通コミュニケーション・デザイン・センター)の4人。 

(企画プロデュース:電通人事局・金原亜紀  記事編集:菅付事務所  構成協力:小林英治)

 

まずは、角田、中村、朴の3氏が関わって制作したTBSの生放送インタラクティブ番組『MAKE TV』(2012年3月6日深夜放送)の映像を交え紹介。アメリカのポップデュオKerminのデビュー曲「クラッシュ・ユア・パーティー」のミュージックビデオを番組内で制作する企画で、視聴者はスマートフォンやタブレットの専用アプリを通じてリアルタイムで制作に参加できる。収録では巨大倉庫のセット内をKerminの2人が移動していき、各所でテレビ画面に「PUSH」の文字が表示されると視聴者はアプリのスイッチを連打。その数が一定以上になると、セットの「CRASH」ギミックが作動し、パーティーのセットを次々と破壊していくというもの。総プッシュ数は700万回以上を記録。TwitterやFacebookと連動することもでき、プッシュした際に参加者のアカウント名が画面に流れた。

中村氏は企画意図について、「スマートフォンやタブレットのマルチスクリーンの世界観とテレビを合成した、未来の姿のデモンストレーションでありプロトタイプの感覚でつくった」と述べた。それに対して角田氏は、テレビ局側の視点から、「『PUSH』の表示をテレビ画面のセンターに表示していいのか、画面の左上にスタジオ内のタレントを映したワイプを入れるかどうかが(局内で)相当議論になった」ことを明かし、さらに「参加していない人はテレビを見るのか、面白がってくれるのか?」という点が今後インタラクティブ番組を制作する上での一つのポイントになると指摘した。

続いて朴氏が、同じくTBSの視聴者参加型討論生番組『大炎上生テレビ』(2012年9月28日深夜放送)を紹介。視聴者は番組内でパネリストが主張する意見にアプリからYESかNOのボタンで投票し、投票結果がリアルタイムで画面に反映され、アカウントと連動したTwitterのつぶやきも表示される。『MAKE TV』と異なるのはアプリの画面もリアルタイムで変化する点。「スマートフォンの画面が完全に番組の進行とシンクロしているという点で、最初のチャレンジとなった番組だった」という。「テレビとスマホ」連動番組の今後の流れについて中村氏は「テレビが変わらないと駄目だという危機感を持っている人が、テレビ現場の若い人を中心に出始めている」と感じているという。

一方で角田氏は、テレビ番組が主に視聴率に左右されるスポンサー収入だけで賄われていることへの疑問からデジタルやイベントに関心を持ち始めたという。「最初にコンテンツとしてライブイベントの興行収入を得て、それをテレビでも楽しむという構造にすれば両方から収益がある。そして、さらに放送中も視聴者がスマホなどで参加できる演出を組み込むことで、そのようなメディアへの参加者の敷居をグッと下げられるのではないかというのが今の考え」だと述べる。

では、「テレビとスマホ」連動のスタイルは過渡期のものなのか、さらにその先にある「明日のテレビ」はどういう形になるのだろうか?

後半に続く】
※Dentsu Design Talk は毎週金曜日に更新予定です。