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ドコモのデータ基盤「docomo data square」が実現する次世代マーケティングNo.2

約8500万会員、位置情報、購買情報。ドコモのデータクリーンルームのすごさとは?

2022/01/05

個人情報保護の潮流の中、長年サードパーティクッキーに頼ってきたデジタルマーケティングの世界が、大きく変わろうとしています。 

これまで以上に「良い顧客体験の創出」と「ユーザープライバシーの配慮」が重要となる“Cookieフリー時代”(前回記事参照)の到来に向けて、これからの打ち手について頭を悩ませているマーケティング担当者も多いのではないでしょうか?

本連載では、ユーザープライバシーを守りつつ、従来と同等以上に高度なデジタルマーケティングを可能とする「データクリーンルーム」の可能性と魅力について、NTTドコモの「docomo data square」を例に紹介します。

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今回はNTTドコモで、ドコモのデータを活用したマーケティングソリューションを活用推進している林洋嘉氏をゲストに招き、「ドコモデータ」「ドコモメディア」の価値を中心に、電通データ・テクノロジーセンターのプランナー木下定知が話を聞きました。

電通データ・テクノロジーセンター木下定知氏、NTTドコモ林洋嘉氏
電通 木下定知氏とNTTドコモ 林洋嘉氏
<目次>
ユーザーが「自分が何に同意したのか」をいつでも確認できることが重要
「8500万人の会員数」と「大規模なオフラインデータ」がドコモの強み
広告配信だけじゃない!データクリーンルームを用いた「dポイント×販促」の未来

ユーザーが「自分が何に同意したのか」をいつでも確認できることが重要

木下:前回紹介したように、“Cookieフリー”時代が現実のものとなりつつある今、デジタルマーケティングやデータの世界でさまざまなパラダイムシフトが起きている印象があります。NTTドコモでデータ利活用に取り組まれてきた林さんは、どう考えていらっしゃいますか?

林:同感です。特にユーザープライバシーの保護が、ますます重要になってきていますね。しかしこの「保護」は、「ユーザーが提供するパーソナルデータを適切に管理・利用できている」という状況があって、初めて実現可能なものだと考えています。

このために、ドコモでは「NTTドコモ パーソナルデータ憲章」というものを策定し、これに基づきパーソナルデータを取り扱っています。データ活用においては、ユーザーからの同意を事前に頂いております。それに加えて透明性を確保するため、「自分が何に同意したのか」をいつでもウェブから確認でき、一定の範囲でオプトアウトもできる「パーソナルデータダッシュボード」と、「自分のデータはどう扱われているか」を分かりやすく説明する「知ってナットク!ドコモのデータ活用」を、2019年から提供しています。

木下:私はこのパーソナルダッシュボードのニュースを見た当時、「かなり先進的な取り組みだな」と思った記憶があります。自分のデータがどのように使われているか不安に思うユーザーもいる中で、いつでも・分かりやすく「自身のデータがどのように使われるのか」を確認できるような仕組みは、当時はまだほとんどありませんでしたから。漫画なども用いながら、企業目線でのデータの活用のされ方だけでなく、ユーザー目線でのメリットが分かりやすく伝えられていると思いました。

知ってナットク!ドコモのデータ活用
https://www.nttdocomo.co.jp/utility/personal_data/
ユーザーにも伝わりやすいように漫画を用いて、パーソナルデータの使われ方やユーザーへのメリットを伝えている。

「8500万人の会員数」と「大規模なオフラインデータ」がドコモの強み

木下: そのようなドコモの保有するデータ(以下、ドコモデータ)ですが、その大きな特徴が、保有しているデータの「種類」や「量」です。私も普段仕事をご一緒していて、ID単位でさまざまなサービスのデータがひもづいているのを見るにつけ、まさにビッグデータだと感じています。林さんから見て、ドコモデータの強みはどんなところにありますか?

林:まず、約8500万人の「dポイントクラブ会員」がいることです。ドコモの戦略としてdポイントクラブ会員の拡充を図ったことで、携帯キャリアとしてのドコモユーザーに限定されない、より多くの方に「dアカウント」を取得していただき、ドコモの各種サービスを利用していただけるようになりました。

もちろん、携帯キャリアとしての強みもあります。例えばID単位でひもづいた大規模な「位置情報データ」を扱えることです。さらに、「dポイント」「d払い」など決済に関わるサービスを展開しているため、オフラインを含む購買・利用データがあるのが強みだと思っています。

dポイントクラブ会員を軸とした事業を推進

木下:コロナ禍でECの利用が進んでいるとはいえ、店頭での購買はまだまだ主流です。今後キャッシュレス決済が浸透していく中で、より一層オフラインデータの重要性は増していきそうですね。2020年8月から電通と共に提供開始したデータクリーンルーム「docomo data square」のリリースでも、「オフラインでの購買・来店効果をマルチメディアで検証できること」を一つの強みとして打ち出しています。

これにより、今までキャンペーンの効果や次回以降の打ち手が分かりづらかったメーカーや小売店舗が、ID単位でのマーケティングができるようになりました。

「docomo data square」とは?

NTTドコモと電通グループが提供するデータクリーンルーム。国内初(※1)の取り組みとして、テレビCM、ウェブ広告、デジタルOOH広告の接触から商品購買までの効果測定が、ID単位(※2)で可能となっている。データクリーンルームについての詳細は前回記事を参照。

※1 2020年8月3日、ドコモ調べ。
※2 IDとは、アカウント識別子や広告識別子などユーザーに付与された任意の識別番号のこと。ID自体にユーザーの名前、住所、電話番号、電子メールアドレスなどの個人情報は含まれない。

docomo data square
林:docomo data squareでは、ドコモ自体が「dポイント」「d払い」などで持っているオフラインデータに加えて、マツモトキヨシ、エディオン、高島屋といった企業にもご協力いただき、それぞれのオフラインでの購買データがID単位でつながる世界が実現できています。

ドコモが保有するデモグラフィック(性別・年代などの属性情報)などの情報と、リアルな世界での行動や決済などといった活動のひもづけができたからこそ、テレビCM、デジタル広告、DOOHといったマルチメディアでの効果測定が可能になりました。

現在、ID単位でひもづいたメディア(以下、ドコモメディア)は、以下のようなものがあります。

■ドコモメディアの例

  • 「dポイントクラブアプリ」など、決済に近い広告枠に配信できるサービス、「docomo Ad Network(docomo ADNW)」
  • リッチな情報量と適切なタイミングでコミュニケーションできるメール型広告「メッセージS
  • 位置情報などのドコモデータを活用することで、屋外のDOOHをネットワーク化し、さまざまなターゲティングやモーメントを捉えた配信のできる「LIVE BOARD

加えて、

  • ドコモデータを用いて、Facebook、Instagram、Twitter等のパートナーメディアへの配信

も可能になっております。これらを組み合わせることで、例えば、

  • 潜在顧客にFacebook、Twitterで認知・興味を促す
  • 店舗周辺にいる人にLIVE BOARDやメッセージSで再想起
  • 店頭ではdポイントクラブアプリで最後の一押し
  • 商品購入後には、次回使えるクーポン等をメッセージSで送信し再購買を促進

と、さまざまなファネルにおいて、ユーザーに適切なコンタクトポイントで、有用な情報を届けることができ、メーカーや小売店舗の販促活動にご活用いただけると考えています。

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ドコモメディアを活用した販促施策

広告配信だけじゃない!データクリーンルームを用いた「dポイント×販促」の未来

木下:豊富なドコモデータを活用することで、「各メディアへの広告配信」から「オフライン(実店舗)での購買」までを一気通貫で見ることができるのは、ユニークな点ですよね。

リリースされてから1年強で、多くのクライアントにdocomo data squareを活用いただいており、

  • 小売店舗業種で、テレビCM・デジタル広告を横断した、ROASの可視化
  • メーカー業種で、購買しやすいターゲット像を明らかにし、流通送客と商品販促の実施

など、購買データを軸にして「広告」だけでなく、「販促」の領域でも意義のある使い方をしていただいています。今後ドコモとして取り組んでいきたいことはありますか?

林:情報を正しく幅広く届けるとともに「ユーザー行動のきっかけになるインセンティブ」も一緒に提供できる商品として、「ドコモ広告 セールスプロモーションパッケージ」を2021年春に実現しました。

具体的には、先ほどお話しした「ID単位でひもづく豊富なデータを活用したマルチメディア配信」に、さらに「dポイントの活用」というオプションをプラスしたものです。ドコモのアセットを盛り込んだ本商品で、広告配信から購買計測・分析を行い、販促施策にご活用いただければと思います。

また、将来展望としては、この営みをさらに加速させるために、データやメディアをどんどん拡充していきたいですね。マツモトキヨシ、エディオン、高島屋に代表される商品購買情報の接点は、拡大を進めていきます。そこにドコモメディアや他社メディアなど、ユーザーのコンタクトポイントを増やす活動も同時進行で進めることで、さまざまなニーズに応えられるプラットフォームを提供できればと思います。

木下:「販促」の領域でデータを活用することにより、「ユーザーが興味のある情報が届くようになる」「dポイントでお得に買い物ができる」など、ユーザーのよりよい顧客体験に還元できていますね。進化を続けるドコモデータやドコモメディアには今後とも要注目です。本日は貴重なお話をありがとうございました。

NTTドコモ林洋嘉氏、電通木下定知氏

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