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実証!OOHが生む「世の中ゴト効果」No.3

第3回:「世の中ゴト効果」で、OOHプランニングは進化していく

2022/01/14

街の屋外看板や電車内の広告など、家の外での広告接触を担うOOH(Out Of Home)。

OOHは効果検証が困難なため、今まではリーチ・サーキュレーションなど「どれだけの人が接触しうるか」が重要指標でした。しかし実際にOOHに出稿する目的は、「世の中の話題にしたい」「話題化によって生活者の態度変容を効果的に起こしたい」など、リーチ・サーキュレーションでは説明できない効果を狙う企画が多くなってきていると強く感じています。

電通は、OOHにはこのような「世の中ゴト効果」があるのでは?という仮説から、効果検証プロジェクトを発足。実際に「世の中ゴト効果」を可視化しました。そこから、態度変容基点で効果的なプランニングをサポートできるツール(β版)を開発。実際に利活用できるソリューションの構築に向け、2022年から本格始動していきたいと思っています。

第1回:OOHには秘めたる価値「世の中ゴト効果」がある! 
第2回:OOHの「世の中ゴト効果」を実証せよ!

最終回の第3回は、OOHの「世の中ゴト効果」によって、プランニングの未来をどう変えていくかについて語り合います。

プロフィール写真
【参加メンバー】
小林春輝:OOH局にて位置情報データを活用したOOH広告の効果検証メソッド「OOH LIQUID」の開発に従事したのち、LIVE BOARDに出向。LIVE BOARDではドコモデータ(モバイル空間統計®※1+その他位置情報等)を活用したプランニングツールの開発サポートや、データドリブンなプランニング・効果検証を担当している。
 
福田博史:第3統合ソリューション局 シニアソリューションディレクター。さまざまなメディアのソリューション開発・立案を担当し、今回のOOHメディアの「世の中ゴト効果」プロジェクトの推進メンバーも務める。
 
粕谷厚介:アウト・オブ・ホームメディア局 メディアプランナー。OOHメディアを中心としたメディアプランニング~検証フェーズまでを一手に担う。幅広い業種へのLIVE BOARD
のセールス実績を持ち、日々、OOHの未来を開拓している。
 
古池茜:OOH局プランナーを経て、現在はデータ・テクノロジーセンターで「テレビ×デジタル×OOH」のトリプルメディアを活用したオン・オフ統合プランニング~効果検証スキームの開発まで携わる。
 
 ※1 「モバイル空間統計」は株式会社NTTドコモの登録商標です 

 

“人”基点のプランニング実現によって目指すゴール

福田:第2回で紹介したLIVE BOARD検証プロジェクトを通じて、OOHの「世の中ゴト効果」が証明されました。今後は「世の中ゴト効果」をプランニング段階から企てていくことが、重要なテーマになってくると考えています。

ライブボード紹介スライド1
ライブボード紹介スライド2

小林:そうですね。近年は個人の趣味・嗜好(しこう)に最適化された「パーソナル」なデジタル広告が重宝されていますが、実は、購入などの意思決定フローには「世の中(他の人)がどう考えているか」の影響も大きいことを定量的に示すことができました。今後、メディア選定の際に、「世の中ゴト効果」が期待できるOOH広告を一層検討してくれるようになっていくとうれしいです。

福田:効果に着目してプランニングするのであれば、単純なリーチ・フリークエンシー(広告の接触人数・接触回数)といった指標ではなく、「どのようにOOHを出稿すれば、どんな態度変容を、どんな人たちに起こしていけるか」という“人”基点でのプランニングが求められていきますよね。

今回、LIVE BOARD検証基盤のノーム値(同じ手法で行われたアンケート調査の統計データの基準値)を活用しながら、“人”基点のプランニングに一歩近づいたという話も聞いていますが、詳細を教えてもらえますか?

小林:ちょうどLIVE BOARDで「世の中ゴト効果プランニングツール β版」を開発しています。全体のメディア予算に対して、どのくらいの予算配分でテレビとLIVE BOARDに出稿すると、態度変容(サービス認知・特徴理解など)を最大化できるのかをシミュレーションする機能を備えたツールです。正直、精度を高めていく余地はまだありますが、目安を出せるようになっただけでも、“人”基点のプランニングへの大きな一歩だと思っています。

OOH態度変容シミュレーション

KPIに設定できる態度変容の指標には「サービス認知」「特徴理解」「興味」「利用意向」「来店」があり、今までにない“人”基点でのOOHプランニングを実現しています。さらに、最適化された予算配分で、どのくらい態度変容効果をリフトさせられるかの目安も定量化することができるようになりました。

このシミュレーション結果は、本来、商品・サービスの業種やカテゴリー、マーケットへの普及度、あるいは性年代やライフスタイルによって異なるはずです。今後は、事例を増やし検証を重ねることで、より精緻なツールにアップデートしていきたいです。

福田:今までのプランニングの中に、「世の中ゴト効果」という、新しい物差しが加わったことで、OOHプランニングには注目が集まりそうですね。2022年がスタートしましたが、OOHメディアは“プランニング進化元年”になっていきそうな予感がしますね。

「世の中ゴト効果」をドライブさせる、クリエイティブの可能性

福田:今回の検証結果を受けて、日々営業としてクライアントと接している粕谷さんはどう感じましたか?

粕谷:今回、感覚的に捉えていた「世の中ゴト効果」がドライブしていく基準を、「700万インプレッション程度の出稿量」と数値で可視化できました。クライアントにとっても価値を感じていただけると思います。「世の中ゴト効果」という考え方には大きなポテンシャルがあるし、納得感もあります。今後はさらにファクトを積み重ねて盛り上げていきたいですよね。

古池:私も大きな可能性を感じました。ただ、案件によっては「700万インプレッション」が予算感に合わないケースもあると思います。インプレッションの規模を減らした場合においても、効果的なクリエイティブやエリア・タイミングの出し分けなど、組み合わせの工夫次第で「世の中ゴト効果」を生み出せることを証明していきたいと思いました。

世の中ゴト効果 出稿量の閾値

福田:おっしゃるとおり、インプレッションをベースとしたプランニングに加えて、クリエイティブも重要な広告効果のファクターであることも忘れてはいけないですよね。デジタルハリウッド大学の平手友梨奈さんを起用したOOH広告は、まさにクリエイティブの力で認知がスケールした好例ですよね。クリエイティブと場所(OOHメディア)のシナジー効果は、今後まだまだ検証していく余地があると思っています。

粕谷:「組み合わせの工夫」という古池さんの言葉は、本当にそのとおりだと思いました。 クリエイティブやエリア・タイミングはもちろん、LIVE BOARD以外のOOH媒体も組み合わせていき、最適配分によって「世の中ゴト効果」を最大化できれば、OOHのプランニングに変革が起きると思います。

「世の中ゴト効果」で、OOHのプランニングは変わる

福田:“人”基点のプランニングといえば、生活者のメディア接触から実際の購買行動までを効果測定できる「docomo data square™」など、ドコモ位置情報データがありますよね。担当されている古池さんは、より深い検証をされていると思いますが、今まで携わった事例の中で、何か面白い事例はありましたか?

古池:ある放送局の事例ですが、LIVE BOARDへの接触が番組視聴にどう影響しているのかを効果検証したところ、放送直前(1〜2日前)に接触した人よりも、もう少し前(3〜4日前)に接触した人のほうが、LIVE BOARD接触による番組視聴率の向上が見られました。

この結果を“人”基点で検証すると、特にコロナ禍において「平日に外に出ている人」と「休日に外に出ている人」では、属性が全く異なることが分かりました。平日は「M2~M3層(サラリーマン)」が多く、休日は「F1~F2層(若年女性層)」が多い傾向があり、同じ場所(OOH媒体)でもリーチできる層が異なるのです。

今回の番組ターゲットは「M2~M3層」でしたので、M2~M3層の含有率が多い、放送の少し前(=平日)に広告に当てたとしても(番組放送直前でなくても)、番組視聴につながったのではないかと考えています。

つい「放送直前に広告を当てたほうが効果を得られる」と考えがちです。しかし、「テレビ番組の視聴」というKPIに対するOOHプランニングにおいては、「放送直前」というリーセンシー効果だけではなく、「テレビ番組のターゲットに合致する“人”が外出している曜日」という隠れた変数が重要であることを、“人”基点の分析により浮き彫りにできたことが新しい発見でした。

この視点は今回のケースに限らず、コンビニやスーパーのような低関与商材でも当てはまる可能性があると考えられるので、今後、より“人”基点のデータサイエンスを深めていきたいと思っています。

ライブボード接触タイミングごとの視聴率

福田:面白いですね。OOHにおいても「なんとなく正しい」とセオリー化されていることが多々あると思いますが、LIVE BOARDを活用して新しい実証データが積み重なっていくと、意外な発見があるのですね。効果的なプランニングの精度も高めていけそうですね。

粕谷:同感です。今までのOOHプランニングは、ある種の勘や感覚に頼る部分や、おのおのが異なる指標を持ち出して議論しているケースもあったと思います。そこに対して、「“人”基点の態度変容」というファクトに裏打ちされた“共通言語”を生み出せたことは、非常に意義のあることではないでしょうか。

福田:そのとおりですよね。「“人”基点で態度変容をどのように起こしていくか」という視点でOOHプランニングすることで、いわゆる“なんとなくOOH”という議論ではなく、より健全な議論になっていくと思います。そして、クリエイティブでもっと“人”に対して面白いことをやろうという企てと仕掛けが活発化してくるように思っています。

粕谷:“人”基点のプランニングを考えたとき、改めてLIVE BOARDの良いところは、ターゲティングはもちろん、エリアや時間帯も含めてカスタマイズできる点にあると思うんです。月曜〜日曜まで固定とか、上期/下期で枠が決まるとかではなく、届けたい相手に効率よく届けるために、エリアも日にちも時間もフレキシブルに対応できることが、まず従来のOOHにはなかったと思うんです。

小林:おっしゃるとおり、掲載のスタート日や入稿もデジタルメディア同様に柔軟なのも、LIVE BOARDの魅力です。クライアントの要望に合わせて「どのような人にターゲティングし、効果を最大化するか」というデジタル的なアプローチもできますし、いわゆる「世の中ゴト効果」のように、マス媒体であるOOHの強みを可視化して実行することもできます。

これらの強みをクライアントの皆さまに活用いただきながら、より便利で粒度の高いソリューションに磨いていきたいと思います。

福田:2022年はぜひ一緒に、OOHの「世の中ゴト効果」の価値を広めていきましょう。そして、面白い屋外にしていきたいですね。
 

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