シニアはスマートフォンをどのように使いこなしているかNo.4
超高齢社会を先取る、スマホ起点のシニア向けマーケティングソリューション
2023/01/25
電通シニアラボが実施した各種調査を基に、現代のシニアのスマートフォン(スマホ)利用状況や、それによって生活がどのように変わったかをひもといていく本連載。前回までは、シニアのスマホ活用の実態と、今後のマーケティングのカギとなる、スマホの利用の仕方を基にしたタイプ分けについてお伝えしてきました。
今回はデータクリーンルーム(※1)「dds(docomo data square※2)」を活用した、シニア向けマーケティングソリューション「スマートシニア・ソリューション」をご紹介します。
電通シニアラボとは
「超高齢社会における社会課題解決」をテーマにシニアに関する知見の研究を通じてさまざまなインサイト・ソリューション開発を行う電通の社内横断プロジェクト。
ホームページ:https://www.projects.dentsu.jp/seniorlab/
※1 = データクリーンルームとは
※2 = dds(docomo data square)
NTTドコモが提供するデータクリーンルーム。国内初(※3)の取り組みとして、テレビCM、ウェブ広告、デジタルOOH広告の接触から商品購買までのID単位(※4)の効果測定がプライバシーが保全された環境で分析可能となっている。
詳しくはこちら:https://dentsu-ho.com/articles/7972
※3 = 2020年8月3日、ドコモ調べ。
※4 = IDとは、アカウント識別子や広告識別子などユーザーに付与された任意の識別番号のこと。ID自体にユーザーの名前、住所、電話番号、電子メールアドレスなどの個人情報は含まれない。
データを活用することでフルファネルでシニアにアプローチできる!
前回の記事でご紹介したように、シニアのスマホ利用が当たり前の時代になってきました。
シニアラボではddsを使い、シニアのスマホの利用状況を基にした4クラスタへのタイプ分けを実施。その内のECやコード決済を使いこなす「EC・決済層(※5)」や、情報系アプリなどで知りたい情報に自らアクセスしている「情報収集層(※5)」などは、日常的にブラウザアプリやニュースアプリ、SNSなどを活用しており、シニアに対してもデジタルメディアが有効になっていることが分かりました。
デジタルメディアに加えて、ddsに連携された、ユーザーから事前に同意(※6)を得たスマホの位置情報や興味関心データなどを活用することにより、下図のようにフルファネルでシニアにアプローチが可能になります。
※5 = 各クラスタの詳しい定義については前回の記事を参照
※6 = ドコモでは独自に策定した「NTTドコモ パーソナルデータ憲章」に基づきユーザーのパーソナルデータを取り扱っている。また、ユーザーには自分の同意取得状況を管理できる「パーソナルデータダッシュボード」等を提供している。
「位置情報」の活用で屋外広告と折り込みチラシを進化
ddsでは、スマホの位置情報やシニアの興味関心データなどに基づき、屋外広告や折り込みチラシにおいて効率的なプランニングや効果検証ができます。
まず屋外広告では、LIVE BOARD(詳細はこちら)のデジタルサイネージを活用することで、たとえば「健康食品に興味のあるシニア」「スポーツに興味があるシニア」などが多くいるロケーションを特定し、ターゲットに適切なコンタクトポイントで有益な情報を届けることが可能です。
また、広告掲出後、スマホの位置情報(個人を特定しない)に基づいて屋外広告への接触・非接触を推定し、シニアの態度変容(購買率やアプリのダウンロード率の変化など)が生まれたかについても検証することで広告効果を可視化できます。
折り込みチラシは今もシニアの情報接点として非常に有力です。ドコモの調査(※7)によると「よく見る広告」においてテレビCMに次ぐ有力な接点としてランクインしており、効果的な活用が求められます。こちらもddsが保有するスマホの位置情報から推定した、個人を特定しない形での居住地データや興味関心データなどを活用することで、よりターゲットへと届きやすい効果的なプランを組めます。
※7 = NTTドコモ調べ
調査時期:2021年10月 対象者:60歳以上の男女
シニアの「実店舗誘引」と「購買リフトの検証」が可能に!
2021年にドコモは「ドコモ広告 セールスプロモーションPKG」を発表しました。これによりドコモメディアやSNSなどで、性別や年代などの属性データや位置情報などを活用した配信に加えて、dポイントやd払いが使用できる店舗の購買データを活用したターゲティングや購買リフトの検証などが可能になりました。
このパッケージはシニアに対しても有効な手段になっています。前回の記事で分析したように「EC・決済層」は既にSNSやキャッシュレス決済を日常的に使っており、「情報収集層」はポータルアプリを使いこなしています。そのため、シニアに対しても広告を通した実店舗誘引や、購買リフトの検証ができます。
下図はここまでご紹介したソリューションの活用例です。
まずLIVE BOARDでターゲットが多くいるロケーションに広告を出し、新商品の認知を獲得します。次いで「docomo Ad Network」やSNSを通した広告でdポイント還元のキャンペーンを告知し来店誘引を強化。その後来店したシニアがd払いやdポイントをつかった決済をすることで購買データを取得します。これらのデータを使い、広告への接触・非接触を分析することで来店誘引や購買率への効果を検証できます。
このような取り組みによって、スマホを活用したデジタル販促の実施のみならず、シニアにとっても知りたい情報を得られ、ポイントを獲得できるなど、生活者にメリットのある顧客体験を作り出すことが可能になります。
紙DM×データ活用で精緻なターゲティングを実現
折り込みチラシと同様に、紙のダイレクトメール(DM)もテレビ・新聞に次ぐ有力な接点です。前述の調査データ※7において、DMも上位にランクインしており、効果的な活用が求められます。
ドコモは、約8500万人のdポイントクラブ会員のうち、多くの会員からDM送付の許諾を得ており、その中にはシニアも多く含まれます。ddsには性年代・居住地・興味関心事等のデータが蓄積されているため、例えば下記のように「旅行好きな男性のアクティブシニア」「美容に関心がある女性シニア」などのセグメントを作成し、効率的にDMを送付できます。DMで商品やサービスの特徴を丁寧に説明することは、シニアの行動喚起につながります。DMのターゲティングをより精緻化することで、効率的にシニアが求めている情報を届けられるのです。
シニアマーケティングでも精緻なPDCAを行う時代へ
これまでは「PDCA」と聞くと、対象となるのはデジタルデバイスを使いこなす若年層~中年層の印象が強かったかもしれません。しかし、シニアもスマホを使いこなすようになってきたため、ddsではシニアに対しても実行動データに基づいた精緻なPDCAができるようになりました。
この記事ではご紹介しきれなかったソリューションや詳細なデータを取りそろえていますので、シニアマーケティングにご興味のある方はぜひ電通シニアラボにお問い合せください。
【問い合わせ先】電通シニアラボ:senior-lab@dentsu.co.jp 担当:小磯・松實