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社歌で経営課題を解決!「社歌コンテスト」No.13

枚方市、自治体として社歌コンテスト初優勝の裏側

2023/04/24

社歌

2023年2月3日、社歌日本一を決める「NIKKEI全国社歌コンテスト2023」(通称:社歌コン)決勝戦・表彰式が開催され、応募総数125作品の中から枚方市が「最優秀賞」および「水谷靖賞」に輝きました。

受賞を記念し、同市広報プロモーション課の杉本けよう氏と松井佑樹氏に特別インタビューを実施。楽曲制作の狙いやコンテスト応募の経緯、受賞後の反響などを、社歌コンテスト発起人である電通のプランナー森本紘平が聞きました。

【社歌コンテスト】
JOYSOUNDが特別協力する、企業の社内外コミュニケーション活性化を企図した社歌動画日本一決定戦。ウェブの一般投票や審査員審査を経て、決勝進出12社を決定。決勝はリアルイベントのプレゼンテーションと動画上映で順位を決める。2016年にスタート。19年から日本経済新聞社主催の日経社歌コンテストとなる。単体企業の正式な社歌はもちろん、企業の非公式ソング、商店街や連合企業の応援歌、学校や自治体のテーマソング等あらゆる経済活動に関わる方々の思いが詰まった楽曲を「社歌」と捉えている。
 


「音楽で地元に恩返ししたい」 ミュージシャンの熱い思いから始まった

森本:自治体初となる最優秀賞受賞、おめでとうございます。

松井:ありがとうございます!!

森本:思わず口ずさみたくなる楽曲、そして子どもたちの笑顔が印象的な応募動画に多くの人が感動したのではないかと感じます。今回の楽曲「この街が好き」を制作された背景を教えていただけますか?

杉本:フォークデュオ・元「TANEBI」のメンバー、枚方市出身の上田和寛さんの熱意からすべては始まりました。上田さんは上京後にメジャーデビューを果たすなど精力的に活動される中で、これまで自分を支えてくれた家族や仲間、生まれ育った枚方の街の大切さに改めて気付いたそうです。そこで「音楽で地元に恩返しをしたい」という思いから、枚方市のテーマソングを作りたいと市に何度もご提案いただいていました。当初はなかなか実現が難しかったのですが、大阪北部地震起きた際に元TANEBIが義援金を寄付してくださるなど、市とのご縁が深まったこともあって、市長からも「ぜひお願いします」と打診があり、正式に楽曲制作プロジェクトがスタートしました。

松井:楽曲制作にあたって、まずは歌詞のイメージを膨らませるために、枚方を盛り上げる市民たちのグループ「ひらかたプロデューサーズ」を中心としたワークショップを開催しました。枚方市民や元TANEBIのお二人も参加されて、枚方の街に対する思いを語り合いました。

杉本:枚方市PR大使のキャラクター「みっけちゃん」も、筆談でワークショップに参加してくれましたよね(笑)。

森本:「ひらかたプロデューサーズ」とは?

松井:SNSで枚方の魅力を発信したり、定期的に開催されるミーティングで枚方市のことを考え、語り合ったりするコミュニティです。参加条件は「枚方が好きであること」。現在、市内外の200人以上の方が登録されています。

森本:ユニークな取り組みですね!

楽曲制作のプロセスに、市民同士がつながる機会をつくる

森本:その後、ワークショップで集まったキーワードをもとに元TANEBIのお二人が作詞作曲をされたのでしょうか?

杉本:その次のプロセスとして、市民からボーカリストを選ぶオーディションを開催しました。小学生からシニアまで幅広い世代から多数の応募をいただき、元TANBEIのお二人に審査していただきました。メイン版は2名、ダンスリミックス版は1名の方をそれぞれ選考した上で、元TANEBIのお二人に作詞作曲していただいた楽曲でレコーディングを行いました。

森本:完成した楽曲を聴いた市民の皆さんの反応はいかがでしたか?

松井:「ひらかたプロデューサーズ」をはじめ、楽曲制作に関わってくださった方々がとても喜んでくれました。「感動して涙が出た」「枚方市民で良かった」といった声も頂けて、私たち市職員もすごくうれしかったですね。

杉本:最初は楽曲制作に関わった方々を中心に盛り上がっていたのですが、地域コミュニティの集会や学校の給食の時間に流してもらったり、地域の文化祭や合唱祭で歌ってもらったりと、少しずつ市民の方々に知っていただく機会が増えていきましたよね。

森本:楽曲制作のプロセスに、市内外の大勢の人たちが関わっていますよね。手間や労力をかけてでもワークショップやオーディションなどを実施しているのには何か狙いがあるのでしょうか?

杉本:広報プロモーション課の基本的な方針として、人とのつながりを大切にしています。私たちの仕事は、人と人とをつなぐ場をつくること。市民と行政のつながりをつくること。動画1本、記事1本を作る時も、できる限り多くの市民と関わり、一人一人をつなげていくことを意識しています。そのような関係性を築いていくことが、ひいては災害に強い街づくりや、行政の透明性、誰もが安心して暮らし続けられる街につながるのではないかと考えています。

3年ぶりの夏祭り。「みんなの笑顔に会いに行く」をコンセプトに

森本:社歌コンに応募されたきっかけを教えていただけますか?

杉本:当時の市の職員が「面白いコンテストがある」と見つけてきてくれたんですよね。ちょうど楽曲が完成したタイミングで多くの人に知ってもらうチャンスだと思い、2019年に初めて応募しました。当時、最優秀賞は逃してしまったのですが、「歌詞に名言賞」を受賞できたことは励みになりました。

森本:その後もずっと応募してくださっていますよね?

杉本:はい、2023年が4度目の挑戦でした。ここまで継続してチャレンジできたのは、いつも熱い応援メッセージを送ってくださったり、投票にご協力いただける市民の方々のおかげです。

森本:今回、最優秀賞を受賞できた要因はどこにあるとお考えですか?

松井:決勝当日の会場でよく言われたのは、「子どもたちの笑顔が良かった」ということ。今回の応募動画は盆踊りバージョンということで、お子さんを含めた市民の皆さんが夏祭りを楽しんでいる姿をメインにしたので、そこがうまくハマったのかなと思います。

杉本:コロナ禍を経て、3年ぶりに各地で夏祭りを開催できるようになったので、「みんなの笑顔に会いに行く」というコンセプトを掲げたんですよね。コロナ前は当たり前だった行事やイベントが貴重な時間に変わるというストーリーが、多くの人に共感してもらえたのではないでしょうか。

森本:応募動画はどうやって作ったんですか?

松井:私が撮影・編集を担当しました。各地域や保育所、幼稚園の夏祭りで「この街が好き」の盆踊りに取り組まれるという話を聞き、広報活動の一環として取材に行ったところ、みんなの笑顔や祭りの情景がすごく良い感じに撮れたんです!自分もその場にいるかのような感覚を体験してもらいたかったので、主観映像にチャレンジしてみました。

杉本:松井さんの腰のベルトにカメラを付けて撮影したら、全然撮れていなかったこともありましたよね(笑)。

松井:はい、最初は手探りでした(笑)。でも最終的には市民の皆さんの笑顔や、開催に向けて頑張る先生たちの姿をうまく一つの動画にできたので良かったです。

社歌

森本:最優秀賞を受賞されて、まわりの反響はどうでしたか?

杉本:楽曲制作に関わってくれた市民や市の職員は、みんなびっくりしていましたね。とっても喜んでくれました。

松井:決勝戦のあと、盆踊りの撮影や投票で大変お世話になった幼稚園にお礼で伺ったら、園児や先生方がみんなで花道を作ってくれたんです。「枚方のスーパーヒーローです」なんて言ってくださって。日本一の社歌に選んでもらっただけでもすごいことなのに、こんな一生できないような経験までさせてもらって本当にありがたいです。また、枚方市内のマクドナルドさんからお祝いの言葉をいただきまして、枚方市内約10店舗のお店で店内のサイネージに「枚方市おめでとう!」という動画を流していただきました。さらにマクドナルドさんのご厚意で、食事する際のトレイマットにも同様のメッセージを載せていただきました。

社歌
社歌

森本:素敵なエピソードですね。マクドナルドさんの話もとても温かいですね。枚方市が日本一に輝いたことで、他の自治体も勇気付けられたのではないかと感じています。

松井:たまに「社歌ちゃうやん」っていうツッコミを頂くこともあるのですが、企業だけでなく自治体や学校法人の応募も正式に認められているイベントなので、多種多様な組織にどんどん参加していただいて、一緒に盛り上げていけたらいいなって思います。

杉本:社歌コンをきっかけに、市民とのつながりをさらに深めていくことができるので、迷っている自治体の方はぜひチャレンジしてみることをおすすめします。

森本:今後、どのようなことにチャレンジしていきたいですか?

松井:日本一の社歌に選んでいただいた「この街が好き」をどんどん広げていき、枚方市の人口約40万人全員が歌えるぐらい浸透してくれたらうれしいですね。それから、個人的には枚方市のプロモーションビデオを作るなど、今回の制作プロセスをうまく活用して、いろんな観点から市の魅力を発信していきたいなと考えています。

杉本:楽曲制作や社歌コンへの参加を通じて、たくさんの市民の方々とつながることができましたが、もっともっとつながりを作りたいと思っています。何が起きてもみんなで乗り越えていける、明るくて一人一人の自己肯定感が高い街にしていきたいですね。

森本:音楽を起点に、組織やチームをより良くしていく。そのような社歌コンの本質的な価値を、枚方市はまさしく体現されていると感じました。このつながりを大切にしていきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

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