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地域の「クセ」が鍵を握る!持続可能な地方経済圏のつくり方No.1

電通のクセ者プランナーたちが提唱!地方創生の鍵を握る「クセ経済圏」とは?

2024/10/24

左から電通コンサルティング 加形拓也氏、47CLUB出向 森尾俊昭氏、ビジネストランスフォーメーション・クリエ―ティブ・センター 宮崎暢氏。
左から電通コンサルティング 加形拓也氏、47CLUB 森尾俊昭氏、BXクリエーティブセンター 宮崎暢氏。

日本の重要課題である「地方創生」。この10年、さまざまなまちづくりプレーヤーが地域課題に取り組んできました。

しかし、個々の取り組みで成果を挙げている例はあるものの、全国的に見ると、地方の活性化はまだまだ十分とは言えません。この状況に危機意識を持ったのが、電通の“クセ者”プランナー3人。

地域の単位を柔軟に捉え、「場所」をブランディングするメソッドを構築・実践してきた宮崎暢氏。

地域に腰を据えて「産業振興」と「観光戦略」に取り組み、当事者のモチベーションマネジメントを重視する森尾俊昭氏。

エクスペリエンスデザインやマーケティングの手法で地域の事業開発をサポートし、東大のまちづくり大学院での研究活動や行政職員の経験もある加形拓也氏。

本連載では三者三様の視点から浮き上がってきた地方創生の課題と、それを打開するための新概念「地域のクセ」について語り合います。

<目次>

三者三様のアプローチで地域課題に取り組んできたプランナーたち

地方創生を持続可能にするために必要な、「何か」とは?

入れても、出さないために。「クセ障壁」が地域の経済圏を守る!

今回のまとめ

三者三様のアプローチで地域課題に取り組んできたプランナーたち

電通ビジネストランスフォーメーション・クリエ―ティブ・センター 宮崎暢氏
電通BXクリエーティブセンター 宮崎暢氏

加形:今回は初回ということで、われわれがなんでこの連載を始めるに至ったのか?というお話をしたいんですが。この3人はみんな、それぞれ違ったアプローチで地方創生に関わってきたんですよね。まずそこの自己紹介から始めましょうか。

宮崎:じゃあ私から。dentsu abic projectの代表をしている、宮崎です。abic projectとは、自治体や企業から寄せられた地域課題を、電通の得意とするブランディングのメソッドを使って解決していこうというものです。また、県や市といった自治体単位での地域ブランディングでだけはなく、いろんな単位で「場所」を捉え直した、プレイス・ブランディングというものを提唱しています。

関連連載:場所をつくりたくなる、プレイス・ブランディング! 
 

ちなみに、私は埼玉県の川越市出身でして、“小江戸”と呼ばれるような古い町並みが、戦争や震災を乗り越えて、そのまま残っている場所で育ったんですね。そこで育まれた郷土意識が、地域ブランディングの仕事につながっているところはあります。

加形:ああ、形式的な話ではなく、自分のオリジンの話から始めるのは良いですね(笑)。森尾さんはいかがでしょうか?

森尾:現在、47CLUB(よんななクラブ)に出向し、地域の良いものをブランディングしたり、販路を拡大したりしています。私は仙台育ちなんですが、東日本大震災で郷土が一変してしまったことで焦燥感に駆られ、仙台に5年間駐在して、壊滅的な被害を受けた宮城や岩手の水産業の復興をお手伝いしました。

当時の東北の水産業は、基本的には一次加工というか、出荷して、食品メーカーに納めるというスタイルで、自分たちのブランドというものを持っていない会社がほとんど。販路を断たれた水産業を稼げる産業にしていくには、産地として付加価値を高めるブランディングが必要だと考え、宮城県の産地魚市場のブランディングや域内消費拡大施策の立案、岩手県のほたてのブランディングに取り組んできました。

関連記事:復興は終わらない~岩手県大槌町長と大槌湾ほたて養殖組合長に聞く

 

その後は2017年に北海道の阿寒湖温泉の観光協会に出向し、「長期滞在型リピーター」を増やすことに取り組みました。というのは、一過性の観光客をマスツーリズムで集めていても、これから人口が激減するし、団塊世代も旅行にはつらい年代に入っていくので、観光客もどんどん減るんです。そこで、一過性で終わらない、持続可能な来訪者層を厚くしていくことに着目したんです。その延長で、宮崎さんたちと一緒に「関係人口」(※)を増やすことにも取り組みましたよね。

※関係人口=
“定住人口”でも、観光という一時的な“交流人口”でもない、地域外の人が持続的に地域と関わり続けるケースのこと。地域と外部の接触点を増やし、地域づくりの担い手になることが期待される。
 

宮崎:観光ももちろん大事なんですが、地域の活性化を継続的で持続可能なものにするには、「観光以外」のアプローチが重要なんだということは、この10年で明らかになってきました。「持続可能性」はこの連載の重要キーワードですね。

加形:最後は私ですね。電通コンサルティングで、主に民間企業の事業や商品開発のサポートをしている加形です。現在はそのうち何割かが、地域の方たちと一緒に商品や事業を開発する仕事になっています。

地域との関わりは、ある大手旅行代理店さんとの仕事がきっかけでした。震災後に、その旅行代理店で「お仕着せではない、その地域らしい観光商品を、地域の皆さんと一緒につくっていく」という事業を立ち上げることになり、商品開発や事業開発のメソッドがある電通も合同で取り組むことになったんです。

そうして地域のいろんなステークホルダーや、行政の方たちと深く関わるうちに、だんだん地域全体がどういうふうに経営されているんだろうということに興味が出てきました。さっき森尾さんや宮崎さんが言ったように、地域振興って「観光」だけじゃ成り立たないなと。

森尾:私は産業振興から入って、その後観光に行ったんですが、加形さんはまず観光に取り組んだんですよね。

加形:はい。ちょうどその頃、政府が地方創生を掲げて、中央官庁の人材を地域の自治体に派遣するという事業を始めたんですが、いくつかの自治体は民間人材を求めていました。その一環で私も、富山県の上市町に職員として派遣されることになりまして。自治体の経営全般、移住・定住などにも関わるようになりました。

例えば、住民と一緒にゲストハウスの設立や運営に関わったり、一緒にいろんなビジネスを立ち上げたり。上市町への派遣が終わってからも、地域の仕事は続けていて、現在は、いわゆる地域のキープレーヤーである地銀さんや新聞社さん、電力会社さん、その地域で100年事業をやっている企業など、地元に危機感を持った方たちが合同でビジネスをつくる支援もしています。

関連記事:デジタルのノウハウで“移住”を促進!上市町の試みとは?

 

森尾:加形さんのご出身は千葉県ですよね。

加形:はい!都心までは2時間近くかかる千葉市のニュータウンで育ちました。日本の戦後経済って、東京を中心とした首都圏に3000万人もの人々が暮らし、特に国道16号線に象徴されるような郊外型のマーケティングが大量生産、大量消費の社会を支えてきた側面が大きいと思います。大人になって「自分はまさにその申し子として育ったんだな」と気づきました(笑)。電通では、その大量生産・大量消費の社会に向けた商品開発にも関わっていたんですけど、肯定的な意味でも、反省を込めても、その経験が、地域の方たちとともに考える際のフレームにもなっています。

それで、ここから本題なんですが、まずはお二人のお話にあった「持続可能性」についてです。単発の施策で、観光客が増えたといって喜んでいるだけでいいのかな?ということを、腰を据えて考えたり、語り合ったりするタイミングなんじゃないかなって。

森尾:私の持論として、地方の活性化に必要なのは何よりも産業を興していくことなんですよ。観光庁の資料によると、定住人口1人が地域に与える経済効果を満たすためには、宿泊の観光客なら25人、日帰りの観光客なら81人必要だっていうんです。

■資料:観光行政の動向について
https://www.env.go.jp/content/000109790.pdf

 

つまり、結局は定住人口がちゃんと維持されない限り、どれだけ観光客を呼んでも、地域の経済はサステナブルにならないということなんです。そして定住人口を維持するためには、雇用が必要ですよね。そしてきちんと質の高い魅力的な雇用を生むためには、産業振興が必要だろうと。

加形:定住人口が減った分は、観光客のリピーターや「関係人口」を増やして経済圏を維持しようという取り組みも、われわれはやってきました。とはいえ経済効果を考えたら、もちろん定住人口が増えた方がいいですよね。

関連記事:ITの力で“関係人口”を増やせ!郡上市のシビックテック事例

 

森尾:はい。さらに言うと、地域を活性化するには、基本的に“地産外商”。つまり地域で産出したものを外に売ること。お金に限らず、外から価値を流入させつつ、外に価値を流出させないという考え方が必要です。

地方創生を持続可能にするために必要な、「何か」とは?

47CLUB出向 森尾俊昭氏
47CLUB 森尾俊昭氏

加形:地産外商、いわば「入れるけど、出さない」という考え方は、今回われわれが提唱する概念と非常に密接に関わってきますね!私はいろんな地方で、面白い事業をつくり、地域の人たちがその運営に関われるようにする取り組みをしてきました。地域の持続可能性っていうのは、そういう取り組みの積み上げにすぎないと思っていたんですね。でも、さっき言ったように、だんだんもっと俯瞰(ふかん)して、地域全体を見てみたくなって。それで東京大学の都市計画の大学院に入り直したんですよ。

森尾:その行動力がすごいよね(笑)。

加形:そこで勉強をして、大きな視点での地域の課題というのがよく分かってきました。一方で、われわれみたいないわゆる「まちづくり界隈」ってあるじゃないですか。そういうプレーヤーが考える「地方創生」と、地域の人たちが本当に欲しいものって、意外とずれてたりするなということにも気付き始めて。

森尾:都会から見た「地方はこうあってほしい」っていう憧れ像ですね。

加形:笑顔のおじいちゃんおばあちゃん、みたいな。それで、いわゆる「まちづくり界隈」で良いとされているものって、例えば地産地消のマルシェとかなんですよ。農家の人たちが泥のついた不ぞろいな野菜を持ってくる。そこで生産者と消費者が直接つながって、思いが伝わるみたいな。誤解しないでほしいんですが、そういう取り組みももちろん素晴らしいことだし、われわれ自身もそういう「まちづくり」をやってきています。だけど、持続可能な地域をつくる、という観点では課題もあって。そういう施策だけでは、とても地域の雇用や人口を支えることにはならないなと。

森尾:地元の人たちが、本当にそれだけで「自分ゴト」としてモチベートされるのか?というと、そうじゃない気がしますね。

加形:じゃあ地域の本音はどこにあるのか?私が赴任先の人たちに「この町にどんなものが欲しいですか?」って聞くと、マルシェより「ファミレスが欲しいです」という声が大きかったりするんですよ。なんでかというと、ファミレスって座席の区切りの高さが大きかったりして、プライバシーが守られるからなんです。近所の人の目を気にせずにおしゃべりしたいっていう、この欲望こそは、「都会から見た、こうあってほしい地方像」とはかけ離れているけど、すごくリアルなんじゃないかなって。

森尾:都会では担保されているけど、地方で担保されていないプライバシーの問題はあるんでしょうね。私も三陸沿岸の猟師さんと話していたら「うちの町にマクドナルド来ないかな~」って言われたことがあります。

加形:別にマルシェや泥のついた野菜がリアルじゃないって話じゃないんですが、地方創生には、こういう「地元の人たちのリアル」という観点が少し欠けているのかなという話を、この3人でしていたんですよね。

森尾:「こうだったらいいな」という理想像に基づいたプランニングじゃなくて、3人とも地域の見えづらいところまでどっぷり入り込むタイプなんですよね(笑)。

加形:そんな話をしているうちに、電通に長くいて、生活者の本音ってどうなのよ、とか、本当にこれで人の心が動くのかな、っていうことを、曲がりなりにも一生懸命考えてきた3人が、地域の持続可能性について、何か仮説を立ててみてもいいのかなって思ったんですよね。

宮崎:外からだけじゃなくて、地域の人も、地域の活性化と「自分たちのリアル」をあまり結びつけていないところがあって。一時期、地域の観光PR動画をつくってバズらせるというのがはやりましたよね。何PV稼げるか?みたいなことに関心がいきがちになっていて。インパクトがあってバズったら、そのときは盛り上がりますが、その動画を見た外の人が、地域とどういう関係を持とうと思うのか。そして、地元の人が、その動画を見て、自分たちの地域をどう捉えようとするのか。疑問に感じるところがありました。

森尾:たしかに。「隣町のバズった動画みたいなのをうちでもつくってほしいんだけど」とお願いされることもありましたね。これもやっぱり、その土地に内在する価値を生かすような論理整合性がないと、持続可能性がないんじゃない?という話ですね。

宮崎:バズればいいというものじゃなくて、その動画を見た外の人は「関わってみたい」と思い、地元の人は「うちの地元ってこんなに良かったんだ」と感じられるエッセンスが入っているべきだと思うんです。その地域を「ああ、自分たちはこうなんだ」と捉え直せるようなアプローチですね。もちろんそれを踏まえた上手なPR動画もたくさんありますが、ここはちょっと落とし穴があるなと思って。

森尾:PR動画だけの話じゃないですが、地元の人の、自分たちの持つ文化や行動様式に対する愛着、つまり「シビックプライド」を、いかに掘り起こして構築できるかが大事なんですよね。PR動画が、シビックプライドの共有化ツールとして機能することが大事なんだと。それも、都会の目線で考える地方像ではなく、その地域にリアルに内在しているものである必要があります。

加形:それこそ宮崎さんのやってきた、地域のブランディングっていう話につながるわけですね。ブランディングとか、マーケティングとか、プロモーションとかの手法を使って、地域の人たちの意識を変えていくという。

宮崎:地域のブランディングって何のためにやるのかというと、要はいろんな施策をバラバラにやるのではなく、「1つの傘」の下で動かしていくことで、ドライブさせられるんですよね。そのために、地元の人がずっと持っていた共通の「何か」を見極めて、1つのブランドをつくり上げていくわけです。しかもそれをむき出しのままではなく、「これを担ぎたい!」と思えるようにデザインしていくのがすごく大事で。そこはクリエイティブの役割だと思います。

森尾:ブランディングって、言ってみればその地域における「合言葉」だったり、さらには「その地域で育まれた自分たち」をうれしく思えるような、そういう琴線に触れるようなムーブメントをつくることだと思います。そして宮崎さんがいうように、言葉をベクトル化するというか。動画にしても、見た人に対して「この地域は、こっちの方向に成長していくんだ!」という方向性を示すものとして設計しなきゃいけない。つまり、ブランドをつくるのって、「目的地を設定する」という役割もあるんです。1つの傘をつくったことで、あらゆる施策がその目的地に向かうようになりますから。

宮崎:森尾さんが取り組んできた、モチベーションマネジメントの領域ですね。ちなみにブランディングっていうと、「高級ブランド」みたいな意味に取られてしまったりするんですが、そうではなくて。ある「イメージ」をつくっていくために、さまざまなコンテンツや体験を用意していく活動プロセスのことだと思ってもらいたいですね。

加形:地方創生を考えるときに、大きく分けると3つのアプローチがあるかなと思っていて。今のブランディングの話が1つ、それとも関連しますが、「入れるけど、出さない」経済圏の構築が1つ。そして、そういう仕組みを成立させるために、人の心や行動をどう動かしていくのかという、人間にフォーカスした体験設計です。

関連記事:地域活性化のカギは地元情報メディアにあり「TOWN JOURNAL OMITAMA」の挑戦


森尾:これらは相互に関連しているんですが、持続可能性という観点では、いかにその地域の中でお金とか行動がうまく循環していくか。そして外から来るものを余さずいただき、中からは漏れない。地域蓄積型の経済循環をいかに構築していくかというのが大きなテーマです。

入れても、出さないために。「クセ障壁」が地域の経済圏を守る!
 

電通コンサルティング 加形拓也氏
電通コンサルティング 加形拓也氏

加形:と、いうことが、ずっと地方創生に取り組んできたわれわれが言いたいことなんですが。でも、こういう話をするときに、専門用語を使ったらもうおしまい!みたいなところもあって。つまりブランディングとか、フレームとかいう言い方をしちゃうと、専門家しか入っていけない狭いところに入っていってしまうのではないかな、と。もっと多様な方が関われるように、より本質的な、平たい言葉でもしっかりと概念を伝えたいと思っていたんですよね。

森尾:私も、農業生産者の方と飲みながら「大事なのはシビックプライドです」って口走った瞬間に「何言ってんだ」となって、「ああ、専門用語を使ったことで自分ゴト化してもらえなくなっちゃったかな」と感じたことがありました。

加形:もちろんフレームは超大事だし、フレームに伝えたいことがしっかり入るとパワーを発揮することも実感しているんだけど、でもそのままだと伝わりにくいし、考え方も狭くなっちゃう。

森尾:1つのフレームをつくってそれを横展開していくのは、われわれがやってきたことですが、地域の取り組みでは、1つのフレームが万能に通用するわけじゃないんですよね。地域それぞれの個性が違いすぎるので、フレームそのものもかなり、土地に合わせてカスタマイズしなきゃいけないというのがある。そんなときに、3人で話していて出てきた言葉が「その地域のクセ」という言い方なんです。

加形:あんまりかっちりした定義はないんですけどね。ただ、この言葉が出たときに、「フレーム」というよりも、うまく地域の本質をつかめるなという感覚がありました。「クセ」みたいなゆるい言葉にすると、地域の人たちも自分ゴト化しやすくなるし、架空の地方像みたいなものから、一気にリアルに踏み込めるんですよね。

森尾:そう。あえてフレームじゃなくて「この土地のクセってなんだろう」という捉え方をすることで、「フレーム」みたいなかっちりした言葉では取りこぼしていた本質みたいなものが見えてくるんじゃないか、ということですね。

宮崎:取りこぼされているものがあったんだって気づくのは、すごく意味があると思います。3人で「入れるけど、出さない」という議論をしていたときに、「そういえば、価値を外に逃さない見えない障壁みたいなものが、地域にはあるよね」という話になったんですよね。地域独特の行動様式のようなものが、価値を外に流出させない障壁として機能していると思って。

森尾:関税障壁ならぬ「クセ障壁」が地域を守っているんじゃないか?というね。地産外商で、外貨を取ってくるけど、その土地から出ていく価値や資本を少なくしていくことが大事なんですが、これをガチガチのフレームで考えようとすると、なんか窮屈なんですよ。「外に金を持っていかせるな」みたいなことって疲れちゃうし。だけど、その地域の持つ行動様式や文化を「クセ」と捉えることで、無理なく経済圏を守っていけるんじゃないかなって。私はそういう強い経済圏を、「クセ圏」と呼んでいるんです。

宮崎:地域の方たちも、分かりづらいヨコ文字の言葉だけじゃしっくりこないところもあると思うんですよ。もっと聞いただけでイメージが湧くような言葉を使うことが、打開策になるんじゃないかな。

加形:フレームで解決するにしても、ちょっと捉え方を変えてみると、いろんなことが見えてくるんじゃないかということなんですよね。クセという言葉を、「フレーム」とかを全部包含した概念として、可能性を探っていきたい。

というわけで、この連載では「クセ」というキーワードで、各地のサステナブルな地域づくりの事例をひもといていきます。読者の皆さんにも「そういえばうちの地元のこれって、クセなんじゃないか?」と考える機会にしていただければ幸いです!

<今回のまとめ>

  • 従来の「まちづくり」の手法だけでは、持続可能な経済圏をつくりきれないかも?
  • 大事なのは当事者たちが自分ゴト化できる地域の魅力、シビックプライド
  • お仕着せの専門用語より「地域のクセ」という言葉を使うことで、本質を逃さない

地域のクセ

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