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DENTSU DESIRE DESIGNが考える、「欲望理論」からのマーケティング再構築No.18

プレゼント意識を通じて探る、若者の“ホンネ“

2024/12/18

「DENTSU DESIRE DESIGN(電通デザイアデザイン:以下DDD)」は、企業から見えにくくなってきた現代の消費者像を、今一度「欲望(Desire)」を起点とした消費意識からひも解こうとするプロジェクトです。 
 
本連載では、DDDメンバーが、「欲望」を起点とした消費者インサイトへのアプローチ方法と今後の展開について紹介しています。 
 
「モノ消費よりコト消費」――そんな言葉が一般化して久しい昨今ですが、実際に人々はどの程度「コト」を求めているのでしょうか? 

今回はDDDメンバーの東狐瑞穂が、最新の「心が動く消費調査」(詳細はこちら)の結果から見える「プレゼント」への意識を通じて、現代の若者の欲望と価値観について紹介していきます。 

<目次>

最新の調査結果から見えた「コト消費」の強さ

コト消費は本当に主流?性別・年代別で見たプレゼント意識

モノ派が多い若年層の真相―タイプ別で探る傾向

 

最新の調査結果から見えた「コト消費」の強さ

本記事では、モノ消費を「物理的な品物」、コト消費を「体験や時間」を消費することだと定義しています。 それを踏まえると、コロナ禍が明けて以降、イベントや外出が比較的自由になり、モノよりもコト(体験)を大切にする消費傾向がより一層強まってきたという声をよく耳にします。 

DDD#18_図版01

しかし、それが全ての世代に当てはまるのでしょうか? 
 
Z世代である僕の感覚では、まだまだモノに惹かれてしまう…なんて若者も多いのではないかと感じています。はやりのブランド品や最新のガジェット、華やかな見た目のプレゼントは、SNS映えするだけでなく、「もらった満足感」が直感的に伝わりやすいものです。 

そこで、「心が動く消費調査」の結果を用いて、プレゼント意識を起点にした価値観の分析を行いました。 

プレゼント選びにおいて、人々は何を重視しているのでしょうか? 
ここでは、プレゼントに関してもらう側と贈る側の両方の視点から、調査項目の一つとして提示した以下の2つの質問を参考に分析してみます。 

【質問項目】 

  • 恋人やパートナー・配偶者からのプレゼントは、もらう品物にお金をかけてほしいか?それとも一緒に過ごす時間にお金をかけてほしいか? 
  • 恋人やパートナー・配偶者へのプレゼントは、あげる品物にお金をかけたいか?それとも一緒に過ごす時間にお金をかけたいか? 

まずは、プレゼントをもらう側の視点として、どちらにお金をかけてほしいのかという質問の結果について見ていきます。 

DDD#18_図版02

プレゼントをもらう側の意識については、「品物にお金をかけてほしい」(「そう思う」「どちらかと言うとそう思う」計)が33.2%、「一緒に過ごす時間にお金をかけてほしい」(「そう思う」「どちらかと言うとそう思う」計)が66.8%と、コト派がモノ派より2倍以上多いという結果でした。 

次にプレゼントを贈る側の視点も入れて、比較をしてみました。

DDD#18_図版03

ここでは、プレゼント意識において「お金をかけたい対象×お金をかけてほしい対象」の順番で、各タイプを「モノ×モノ派」「モノ×コト派」「コト×モノ派」「コト×コト派」の4つに分類しています。 
 
恋人やパートナー、配偶者に対して、「品物にお金をかけたい&品物にお金をかけてほしい」と回答した、最もモノを重視する「モノ×モノ派」は、23%(「そう思う」「どちらかと言うとそう思う」計)。 
 
一方で「一緒に過ごす時間にお金をかけたい&一緒に過ごす時間にお金をかけてほしい」と回答した、最もコト(体験)を重視する「コト×コト派」は、48.6%(「そう思う」「どちらかと言うとそう思う」計)と、ここでも2倍の差が開きました。 
 
ここからは、プレゼント意識においてもモノよりコト消費という傾向が顕著であると言えるでしょう。 

コト消費は本当に主流?性別・年代別で見たプレゼント意識

次に、上記と同じ分類を性別ごとに見てみました。 

DDD#18_図版04

「一緒に過ごす時間にお金をかけたいが、品物にお金をかけてほしい」と考える「コト×モノ派」には、比較的女性が多く、その逆の「品物にお金をかけたいが、一緒に過ごす時間にお金をかけてほしい」という価値観を持った「モノ×コト派」は比較的男性が多い傾向が見られました。 
 
続いて年代別構成比を見ていきます。ここで注目したいのは、各タイプにおける30代以下の割合です。 

DDD#18_図版05
※構成比(%)は小数点以下第2位で四捨五入しているため、合計しても必ずしも100%にならない場合があります。

「モノ×モノ派」は41.5%、「コト×モノ派」は41.0%、「モノ×コト派」は39.0%とそれぞれ40%前後である一方で、「コト×コト派」は29.0%と、他より10pt以上の差があります。これは20代以下に絞った場合でも、同様の結果が得られました。 
 
つまり、若年層(30代を含む)に限ると、現代においてもまだまだプレゼントにおけるモノ消費が強いという傾向が見てとれます。 

モノ派が多い若年層の真相―タイプ別で探る傾向

30代以下に限って見た場合、「モノ×モノ派」「コト×モノ派」「モノ×コト派」「コト×コト派」には、それぞれどのような特徴があるのでしょうか。

DDD#18_図版06

ここで注目したいのは、調査内の別項目として質問した「【A】人と一緒に行動するのが好きだ【B】一人で行動するのが好きだ」との関係性です。 

結果は、「【B】一人で行動するのが好きだ」が「コト×コト派」で最も高くなり、「モノ×モノ派」で最も低くなりました。
コト(体験)を重視する人は、一見すると人と一緒に行動することを好むように思えますが、他者との全般的なかかわりにおいてそうなのではなく、恋人やパートナーに対するプレゼントでは、コト(体験)を共有したいという意識が強い傾向があるというインサイトが見えてきます。 

プレゼント選びにおいては、こうしたタイプ別の特性を踏まえることで、より的確な提案が可能になるでしょう。 
 
ここまでの分析を通じて、「コト消費」が主流であるものの、30代以下に限るとまだまだ「モノ消費」が強いということ、そしてプレゼント意識について重視するポイントが異なるだけでなく、お金の使い方や生活における考え方などにも違いがあることが明らかになりました。
 
プレゼントはただの贈り物ではなく、想いを伝え、関係を深める大切な手段です。だからこそ、プレゼントには、贈る人の価値観がおのずと反映されるのだと思います。 
 
モノ消費からコト消費への流れも、他者との関わり方や大切な人に気持ちや思いを贈る手段が、時代と価値観の変化に合わせて変化している一例と捉えることができます。 

クリスマスが近づく今の時期だからこそ、ぜひこの調査結果を大切な人へのプレゼント選びに役立てていただければ幸いです。 
 
今後もDDDでは、心が動く消費調査を行い、消費者のトレンドについてウォッチしていきます! 
 
興味を持たれた方は、ぜひお問い合わせください。 

 
【お問い合わせ先】 
DENTSU DESIRE DESIGN(電通デザイアデザイン) 
E-Mail:ddd-project@dentsu.co.jp 
  
【調査概要】 
タイトル:第9回 「心が動く消費調査」 
調査目的:変化し続ける社会環境により、可視化されにくくなりつつある消費者意識を消費者の欲望視点から分析し、今後の日本の消費社会を読み解く  
・対象エリア:日本全国 
・対象者条件:15~74歳男女 
・サンプル数:計3000サンプル 
       (15~19歳、20代~60代、70~74歳の人口構成比に応じて割り付け ) 
・調 査 手 法:インターネット調査 
・調 査 時 期:2024年11月8日(金)~11月13日(水)  
・調 査 主 体:電通 DENTSU DESIRE DESIGN 
・調 査 機 関:電通マクロミルインサイト 
 

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